1,先へ進む


メインコンピューターへの道は二つ。保安要員室の横を抜ける正門と、ドールシークレットルームを抜けるいわば裏道の二つ。当たり前のように感じ始めている、破壊された保安要員室の先に、頑強なアイリスバルブの隔壁。

「手持ちのキーは、全滅だ…」
「シークレットルームの方まで、ロックされているなんて…」
「何か手はないか?、アイリーン」

物理的な鍵ならば、手はある。だが、電子的な鍵となればお手上げだ。映画のように、カードスロットを破壊すれば開くような、人に優しい施設じゃない。ドアロックが破壊されるような事態とは、非常事態。侵入者にしろ、脱走者にしろ、この施設から出る事はかなわない仕掛けだ。

電子的な破壊も出来ないわけではないが、軍の研究施設に設置された大型コンピューター相手では、さしものドロシィも子供扱いされる事だろう。

「この先に、非常用の生命維持システム室があるわ。そこのメインシステムは、設定上、メインコンピューターからは独立しているはず…もしかしたら、キーコードを引っ張り出せるかも知れないわ」

「良くは分からないが、ここで、アリババが来るのを待つよりはマシな事だけは分かるよ。」
「ダメもとで叫んでみる?。『開けゴマ』って、意外と開くかもよ。それとも、ダンスの方が良いかしら?」

妙なところで、壺に入ったらしいアイリーンは、笑いをこらえるのに必死なようだ。軽く流すレベルのまさに軽口だったのが、ここまで受けると、逆にバカにされているような気分にすらなる。

「中にいるのが、女神なら、喜んで踊るさ」
「あら、天の岩戸なんて、妙な事知ってるのね」
アイリーンの意外そうな声。モロに理系な科学の研究職についたアイリーンが、日本神話を知っている方が妙だと思うが。ふてくされて、そのまま伝える。

「それもそうね。『閃きは、雑学から来る』ってのが、父さんの口癖でね。その影響ね。」
「確かにそうだな…『僅かな可能性でも、想定しているから対応できる』ってのが、アレード少佐の自論でね。敵側の立場で、よく考えさせられたものさ」

「ねぇ、聞いてもいい?…どこに共通点があるの?」
「なんでも、知っておいて損はないってことさ」

世の中、知らない方が良い事も多々あるが、知らなければ対応する事も出来ないのが、人間だ。この事件の全貌を知らねば、対応できない。1パイロットでは対応しようがないかも知れないが…首謀者が分かれば、そいつと対立している派閥に駆け込めば活路は見える。

「アレード少佐か…この付近にいる可能性は高い。接触してみるのも手だな」

1,生命維持システム室へ入る。

2,アレード少佐を捜す



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