3、アイリーンを連れて、先へ進む。


メカドールの石頭では、例外は認めそうにない。所員だろうが、民間人だろうが、空き缶だろうが、とにかくエレベーターを起動させることを拒絶するだろう。

閉鎖空間の上に、死角も多く、敵か保護対象かの判別もつきにくい、そんな高ストレスの状態で、さらに味方と噛み合わない議論をして、俺のか細い神経をさらに削り取るのは、賢いとは言えない。

先へ進むことを告げると、アイリーンは、父親探しが続けられると安堵している。

>友軍反応 ZMD321ERIS捕捉

エリスもこちらを認識したらしく、作業を止めて、道を譲ってくれている。ざっと見た感じ、ワイヤートラップを仕掛けているようだ。エリスは、射撃重視タイプだったな。遠距離から射撃して、トラップを踏ませる作戦か。敵にはしたくないな。

>ERISより入電。接続します。

きやがった。ルナは大丈夫だったが、エリスはどうだ?

「ルナより伝達を受けています。私への経過報告は不要です。御武運を」
「あ・・ああ、君もな・・・」
予想外の出来事に、何とも間抜けな返事を返すのが、やっとだった。

「なんだか彼女、嬉しそうね」
モニターの端に、エリスの拡大映像がポップアップする。確かに、嬉しそうだ。アレが爆弾設置ではなく家事をしているなら、旦那に誉められた新婚の奥さんっと言った感じだろう。
「そうだな・・・何か良いことあったんだろうよ。」

メカドールにも感情を生むほどのAIが組み込まれているのだろうか?。確かに、ルナとエリスには、カロンやマルスとは、異なる印象を受ける。無機質ではあるが、機械らしさが少ない。ような気がする。

「それにしても、完全に操作をモノにしたみたいだな。モニターに映像を割り込ませるなんて、俺は一週間かかったよ」

後ろを振り返ると、アイリーンも嬉しそうに微笑んでいた。

1,さらに先へ進む



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