1,所長室に向かう
この基地が本来持っていた居住区画、研究区画に改名された、実験区画に立てられたプレハプ小屋とは雲泥の差がある。4部屋しかない部屋のウチ、二部屋をポールクレイマン所長は占有していた。それだけでも、所員に人気のある所長では無かったと推察できる。
「厳密には三つよ。事務をこなす所長室。それから、プライベートルーム。もう一つは、応接室と言う建前になってるわ。研究区画のラボを入れれば4つね。」
アイリーンも、所長のコトは好きではないようだ。おそらく、ここの所員達は、所長派とケストナー博士派に分かれて、権力闘争でもしていたのだろう。人間のやることは、どこでも同じだな。
研究区画での反省を踏まえ、ドロシィのオートパイロットシステムを入れて、コクピットから出る。オートモードとは言え、歴戦をくぐり抜けたドロシィだ。ここのリゲスにも、勝るとも劣るまい。
アイリーンが所長室に向かって走り出す。
「待てよ、ケストナー博士の部屋は、そっちじゃないだろう?」
「研究区画への隔壁は、所長室からしかコントロールできないのよ」
振り返ることなく、アイリーンは答えを返す。俺はただついて行くしかない。
1,アイリーンについていく
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