6月のすばなし
アナンシと五
ジャマイカの昔話

『子どもに聞かせる世界の民話』(実業之日本社)より
(7分ほど)幼児から
むかし,ジャマイカ島にアナンシがいました。アナンシというのは,時々人間になったり,時々大きなクモになったりするのですが,とにかく悪いやつでした。・・・と始まる,アナンシ話の一つ。

このアナンシが,自分の名前が大嫌いな「五」という魔女ののろいの呪文―「五」ということばを言ったものはその場で死んでしまえという―を立ち聞きし,わるだくみを思いつきます。サツマイモの山を五つつくり,数えさせて「五」といわせ,死んだところを食べてしまうという作戦。

アヒルやウサギはまんまとだまされますが,ハトはうまくいきません。業をにやしたアナンシは,とうとう自分のしかけたわなに自分がはまり,死んでしまいます。

ぺープサートにもなっていて親しまれているお話ですが,「見る」ものが何もない「すばなし」では,子どもたちの想像のなかで,アナンシはどんな姿なのだろうかと,一度聞いてみたい気がします。また,アナンシにだまされなかったハトは,本当に数が数えられなかったのか? 

空からすべてを見ていて,アナンシに一泡ふかせてやろうとした「演技」だったのか? これも,話し手によって見解が分かれるところ。子どもたちはどう思っているのでしょうか?

「おはなし」の初心者もよく聞いてくれるおはなしの一つです。

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