ねつ造発覚に夢打ち砕かれ   投稿者 Ossy

山形新聞夕刊「私の主張」投稿全文 ’01/10/15(月)登載より

10月2日付の本紙「談話室」の「出来過ぎた話に乗せられた」は私も。県埋蔵文化財センターにより今年発掘調査された釜渕C遺跡。ここでは大正年間に偶然農民の手によって、は虫類のような奇妙な風貌の土偶が掘り出された。すぐ見近にあるその遺跡によって何千年も前から人々が暮らしてきたことが分かった。その人たちがどんな生活をしていたんだろうか、と興味を覚えたのはだいぶ前のことであった。稲作がまだなかったころの狩猟、採集生活で、とりわけ豪雪に埋もれる当地の暮らしを思うとき、どんな衣食住なのか、多大の関心があった。
  そんなときに尾花沢市袖原と宮城県中島山遺跡出土石器のかけらがぴたりと一致したという。アッ、これだ。釜渕遺跡で暮らしていた人々は冬期間避寒のため宮城県(太平洋側)に移住していた、と考えた。そんな折、舟形の西ノ前遺跡から八頭身のビーナス土偶が発見された。両者は世代が異なる血族関係にあったに相違ない。土偶はダサイか、前衛的かはまさに世代の相違だろう。春秋の集落挙げての移住旅行では舟形にも立ち寄って無事を確かめ合い交歓。また道々友人ともあって情報や、土産品を交換したりもして。結構楽しい行事であった。こうして私は楽しいことばかり推理して一人で喜んでいた。

そこにねつ造発覚。夢は打ち砕かれた。さてこの先は振り出しに戻って考え直しだ。さし当たって何を着せようか、防寒衣料品の工面からだ。楽しみやら悩みが交錯する秋空。