カメラバカの記-2

Leica-3gの思い出
20年も前の話。あこがれのライカを何とか手に入れ、首にぶら下げうきうきと町をスナップしながら、途中M書房に立ち寄ったときのこと。(ご主人はよく職場に注文本を届けたりしており若いときから存じ上げていた。当時彼はニッコールレンズをつけたNiccaをポケットから出して見せ私たちを羨ましがらせたものだ。その当時の私たちにとってはとても手の届かないカメラだった)その彼が私のライカを素早く見つけつくずく眺めたあげく「まてまて」と奥にいってカメラをもって出てきた。何と30年前の例のNiccaだった。そんなに痛んでもおらず手入れが行き届いているようである。「同じライカ型だからこのカメラにもはまるわけけだ」などと云いながらNiccaのレンズを外し、Leicaにはめたりして眺めていたが、突然「カメラ交換しようか?」とおっしゃる。「ええっ? 冗談でしょう?」彼「えへへへ」とまんざら冗談でもなさそう。「 Mさん、そりゃーないよ、Niccaなら俺も持ってる。こっちはLeica-3gだぜ、しかも赤エルマー」。「そりゃー、そうだが、でもいいじゃない?」とさすがに最後は冗談みたいになったが、あの時は本当にびっくりした。このライカを手に取るとあの時のMさんのことが思い出される。そのMさんも亡くなられたと聞く。(合掌)
CONTAX-G1
若いときからとにかくCONTAXやNikonがすきだった。しかし、いかにカメラバカといっても安月給の身、そんなに高いものはとても求められない。CONTAX2a、Nikon-S3やSPなどは銀座や新宿の中古カメラヤのショーウインドウの覗き見のハシゴがせいぜい、夢の夢だった。しかし3度目の勤めの退職直前にまったく装いも新たに京セラからCONTAX-G1が現れた。レンズ交換式のファインダーカメラでオートフォーカス。適度の重さ、鈍い光沢感、軽快なシャッター。レンズはカールツァイスTスター、28mm、45mm、90mmの3本、これが私の退職記念のカメラとなった。やはり一眼レフよりはこっちの方が性に合っており、銀塩カメラでは一番気に入っている。
カメラ遍歴の終わり
私のカメラ好きは今でも変わっていないが、年のせいもありカメラへの浮気はもう終わった。カメラ雑誌も読まなくなってから大分久しくなっており、今どんなカメラが話題になっているかもほとんど分からない。時代とともにカメラも進歩していくのは当たり前の話だが、何もかもオートというのも味気ない気がする。便利なことは確かだが、機械というよりは電気製品といった感じがする。昭和50年頃まではどんな新型のカメラでも操作が分からないという事はなかったが、電気製品となり下がった今のカメラはマニュアル書を見ないことには動いてはくれない。初めてカメラが自分のものになった頃の、絞りがこうで、シャッターは何分の一などといって手探りで写していた頃が懐かしく思い出される。失敗もまた楽しからずや、であった。人間の意志が写りの善し悪しに反映し、写真術なる言葉がぴったりくる感じもあった。クラシックカメラに惹かれるのもその頃への郷愁かも知れない。