ルイベツ岳     遠きかな頂き
          
2006.09.09/単独

1063林班林道〜アイラル別川沿い林道〜南西沢〜山頂〜南西尾根〜アイラル別川


 ルイベツ岳は、日高主稜線の雄峰「幌尻岳」南西方向に聳える1500m級の静峰である。
 この山は、新冠湖から幌尻湖へと抜ける奥新冠発電所の北側山域に位置するが、今夏、新冠ダム林道ゲートが施錠されて遠き山の感がある。
 山行計画は、新冠ダムゲートを抜け、奥新冠発電所までの17Kmの林道越え、次いで険峻な林道を3Km程進んでから南西沢を辿り、山頂を目指すものであるが沢情報は皆無である。
 登山口となる新冠ダムは、イドンナップ岳(サツナイ沢・西尾根コース)への登山口にも至るが、新冠ダムゲートが先般施錠され、一般登山者の姿は見られない。
 早朝、南北に広がる新冠湖の湖畔林道は屈曲、高低差の少ない林道の覆道を抜けると延々と続いた湖面も消えて、林間に入ると程なく「岩清水」次いでゲート(通年)がある。
 このゲートは、想いで深く、昨夏「二股山」、今夏「ナメワッカ岳」を「ガイドブックにない北海道の山50」著者である八谷和彦氏夫妻と泊装備に自転車を押し、険峻な地形の林道を幌尻湖へと向かった記憶が懐かしい。…厳しい故に忘れられない山である。
 新冠川を渡ると石碑「S33年から5年の歳月にて竣工した発電所の林道工事に於いて57名の御霊が…」と奥新冠発電所が静寂を漂わせる。
 アイラル別川沿いの林道は工事中であり、通年通行の難しさを痛感、482橋を渡ると沢出合い地形が現れる。
 沢筋はC500と上流C510の2本があり、地図読みを繰り返し、沢口の左岸に岩壁があるC510へと入渓、明るくダイナミックな沢筋に高度を上げる。
 C750大二股、このルート最大の滝(左股:8m)が垂直に落下、右股から滝上部に降り立ち、C840二股(左股)を抜けると再び二股であり、右股は水流があるが涸沢の左股を選択する。
 大岩直登を3回程繰り返すと伏流水となるがC1040で再び水流を見るとC1070で滝(6m)を右岸に捲く。
 C1130で4m岩滝を左岸に捲くと程なく狭小の涸沢となり、更に200m程高度を上げる事ができた沢形は消え、浅い凹地扇形状の斜面に薄い藪が広がり、山頂まで残す標高は200m程である。
 山頂部ルートは、南西尾根の図根点1400と山頂部とのコル又は直登を思慮したが、後者の直登を選択すると快適な薄藪から背丈を越える笹藪、山頂直下のハイマツ帯を抜けると明るい山頂部に出る。
 頂きは、三角点が設置され胸丈程の灌木に囲まれているが展望は優れ、今夏に登頂したヌカンライ・ナメワッカ岳のルートを想い返して追う。
 日高主稜線の幌尻岳・戸蔦別岳・エサオマントッタベツ岳そして長大な尾根のイドンナップ岳が初秋の景観に広がり、この頂きは憧れが強かったと感慨深く眺める。
 下山路は、ルイベツ岳の山容を確認をと南西尾根を辿るが、直下のハイマツ帯次いで灌木等の密度は濃密であり、C1200で気力も限界と沢筋へと高度を下げる。
 この沢筋は、C630まで涸沢が続き、滝もなくガレ景観を降下する良ルートであるが難点は山頂へのルートには程遠い。
  備考:ルート候補は、南側の大理石沢が妙味あると思えるが、奥新冠発電所ゲートから新冠川沿い林道の「いこい橋」中央の回転くぐり戸ゲートもあり、新設された新冠ダムゲートから往復50Km弱の林道越えを強いられ、今回のルートでは往復40Km位である。
1 南西尾根から山容
2 C750大二股の左股8m滝
3 山頂からヌカンライ
4 山頂から幌尻岳

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