性はなぜあるのか

コンテンツ

人口膣と人口陰茎について(記事の転記)

性行為もできる人工膣の移植に成功、生体組織から培養&手縫いで成形

2014年4月14日の記事

米国のウェイク・フォレスト・バプティスト・メディカル・センターが、人工膣の作成と患者への移植のパイロットスタディに成功したと発表しました。

同センターの再生医療研究所ディレクターAnthony Atala 氏が率いるチームは、2005年から2008年にかけて、13歳から18歳の4人のMayer-Rokitansky-Küster-Hauser (MRKH) 患者へ、研究所内で作成した人工膣を移植。その後現在まで定期検査を行ない、移植した臓器が正常に機能していることを確認しています。

最初期の患者では最長8年に及ぶ定期検査の結果、移植した人工膣は構造と機能ともに生来の膣と同様に機能しており、また痛みなどを感じることなく性行為も可能としています。

MRKH、マイヤー・ロキタンスキー・クスター・ハウザー症候群とは、生まれつき膣や子宮が無い、またはあっても発育不全で正常に機能しないという希少な遺伝子疾患です。

人工膣の作成方法は、まず患者の外陰部から採取した筋肉と上皮細胞を生分解性材料の上に塗って組織を作成。それを患者の体に合わせて手縫いで(!)膣の形に成形し、足場として体内に埋め込みます。トップ画像はその手縫いの様子。

埋め込んだ足場には神経や血管が通うとともに、細胞が増え体組織へと変化。同時に足場はゆっくりと体へ吸収され、膣を形作りながら新しい生来の臓器へと置き換わる、という仕組みです。

研究チームは人工膣について、MRKH のほか子宮がんや事故などで膣を失った場合にも使用できる可能性があるとしています。

また現時点では作成できる人工膣の大きさに限界があるため、今後さらなる臨床試験の実施や技術の向上、術式の確立などが重要になるとも述べています。

なおMRKHへの対処としては、現時点では拡張術と膣再建術が主流です。うち再建術では患者の皮膚や腹腔内の組織を再建素材として使用しますが、筋肉組織が無いために膣の縮小などの合併症が起こる可能性があります。

それに対して今回の人工膣は、患者の細胞と筋肉組織を使うことで合併症を防いでいるのが特徴です。

勃起できる人工ペニスの培養に成功、動物実験で性交と射精を確認。5年以内に人間で試験へ

2014年10月8日の記事

米国ウェイクフォレスト大学の再生医療研究所が、ペニス組織の人工培養に成功し、今後5年以内に人間の男性へ移植テストを実施すると発表しました。

同大はすでに人工膣の作成と、複数の女性への移植手術に成功していますが、男性向け再生医療の研究も着実に進んでいるようです。

これは2008年に、オスのウサギへの人工ペニス移植実験に成功したことが始まりでした。

実験は、まずウサギのペニスを洗浄して組織を取り除き、コラーゲンの幹のみの状態にします。次いでそのウサギの細胞から培養した組織を、はじめに筋肉組織、その次に血管をつなぐための皮下組織と、ペニスの構造の順に移植します。組織の培養にかかる時間は4~6週間ほど。

移植した組織は1か月ほどでペニスを形成。勃起時の血流に耐え、勃起終了後の血液の引きにも問題はなく、性交と射精も可能です。実験では12回の性交のうち8回で射精を確認し、うち4匹のメスが妊娠しています。

なお人間でのテストには、米国食品医薬品局へ、使用する材料に毒性がなく安全であることの証明と、人工組織の作成手順の詳細な説明を提出する必要があるため、その準備に5年ほどかかるとしています。

また組織の移植先には生来のペニスの幹を使うことと、組織の培養元には拒絶反応を防ぐために患者本人のペニス由来細胞を使うことから、手術の対象は男性に限られます。性転換などのために女性へ男性器を付けることはできません。

このチームを率いるアンソニー・アタラ教授は、人工組織および臓器の研究は人体の様々な部位を対象に行われており、今後も事故や病気で体の一部を失った人や、先天性の異常を持つ人を助けるために研究を続けると述べています。

また米軍の再生医療研究所は、戦闘で負傷した兵士を救うために、アタラ教授の研究を支援しています。

広告

トップ