うどんの部屋

-UDON-

うどんとは何でしょう
うどんは麺類の中でもっともシンプルな食べ物です。
原料は小麦粉と塩と水です。ご存知のように小麦粉にも大雑把に強力粉、準強力粉、中力粉、
薄力粉と分類され、うどんに適したものはその中の中力粉とされています。因みに強力粉はパン用、
準強力粉は中華麺用そして薄力粉は菓子用というのが一般的に知れ渡った分類になります。

しかし、物の本を読むとさらにいろいろかみ合わさってとても理解できないほど微妙に絡み合って
その分類だけでは解決できない様々な意見、こだわり、独自性があり私としても言い切れない粉
の奥深さがあるようです。難しい話はどこかの専門的なサイトで参照されるとよいかと思います。

従いましてこのページではまったく個人的な観点から、というよりきりた製麺とうどんとの関わり
をその創業当時からの記憶とともにお話したいと思っています。 そもそもきりた製麺の創業者は私の親父、切田義喜(平成13年8月没 92歳)です。
父は米穀店の丁稚から始まり、後に精米に携わり家族(妻と6人の子供!)を養うため、
食べ物の不足していた時代に一石二鳥と思ったかどうかは今となっては聞くすべもありませんが
、昭和30年にきりた製麺所を開業しました。ちょうど私が小学校1年生のときです。私の年齢が
ばれてしまいますがもうかれこれ半世紀まえのことになります。創業50年ですから古さだけは
結構いい感じに見えますね。

そのときの光景がいまだに私のまぶたの奥に鮮明に残っているのが不思議ですが、家族がみんな、
小麦粉と水を混ぜ合わせる機械の周りを囲んで息を殺して見ていたとき、父の大きな声が響き渡り

ました―――あっ、塩を入れるのを忘れた!!――― 

そこまでの記憶でその後どうなったかはわかりませんが記念すべき、きりた製麺の第一歩の風景でした。

当時は茹でうどんが殆どだったので現在の生うどんのみの経営は兄貴、切田好則(平成5年12月

没 53歳)が銀行員を定年間近ながら心機一転、家業を継ぐことになってからです。多分兄の感じて
いたことは今の私の考えと同じだろうと思うのですが、
うどんの本当においしい食べ方は、生うどんを自分で茹でることからでないと味わえないものだ、
ということがまずあって、その後、熱い、冷たい、好みで食するのが本来の麺の食べ方なのです。

そばは打ちたてゆでたて、ラーメンも本当は出前などもってのほか、うどんだけがなぜか玉うどんと称し
て立派に市民権を得ていますが、違うんです。何処のうどん、ここのうどんという前にまず生のうどんを
茹でてみてください。

出来るならきりた製麺(!)の生うどんをゆでてみてください。一度も我がきりた製麺のうどんに触れ
たことのない人は一生の損です。今まで食べていた茹でうどんはもう2度と口にしたくないでしょう、
というのは極端でした。
でもなぜ生うどんか?と問われれば、私が製麺屋の息子として育ちながら自然に覚えた味は親父が
大きな釜でゆでるうどんの茹で上がったそばからどんぶりに移し、それにしょうゆと味の素!!
(懐かしい響き)だけで食べたあの味なのです。

うどんの造り方
うどんは小麦粉と水と塩で造ります。
水の量は粉1に対して0.3強ほどの分量です。
この水の量は1年間の中でいつも変化します。
暑さ、寒さそして湿度に影響されるからです。
どちらかと言うと水分の多いほうがおいしいうどんと言われています。
(多加水麺といいます)
しかし機械で製品として造るにはどうしても水分の多いものは
保存、袋詰めの点で限界があり、
手打ちで小規模に造るものとはおのずと違います。
機械で造る麺として許される最も多い水分の加水を心がけるわけです。
次に塩ですが、
うどんに入る塩の量は意外と多いものです。
入れる量によってその麺の特徴が出るわけなので
その割合は企業秘密になり
私も教えません!
ただ含まれる塩がどこに行くかといえばその殆んどが
ゆでることでお湯の中に溶け出して塩辛さがなくなります。
さらに麺に含まれていた塩が抜けることで
麺の中に空泡が出来て うどん独特のこしがでるそうなのです。
どうです結構ためになるでしょう
私だって毎日ただ黙々と働いているわけではないのです。
(ははは、関係ない話はやめましょう)