1,アレード少佐を捜す


封印されて入れなかったメインコンピュータールームへの通路を通り過ぎ、通路をさらに進む。倉庫区画に入って間もなく、HUDに反応が現れる。

>友軍反応 50052BETY確認
>通信リンク成功


通信モニターに現れたのは、アレード少佐だ。その表情はいつもと変わりないように見えるが、どこかしら落ち着きがないようにも見える。そう感じるのは、俺の心理状態のせいだろうか?。

「どうした、ドロシィ2。なにかあったのか?」

なにか?…ありすぎだ。ソーンがバイオドールで、俺たちは、動く標的に過ぎない。それをアレード少佐も知っているはずだ。大した役者だ。

「どうしたの大丈夫?。顔色良くないよ」
ベティ2,部隊の紅一点、ラーナ・ステラの顔がモニターに映る。後席のアイリーンを見つけ、一瞬、気まずそうな表情を見せたが、すぐに軍人の顔に戻る。

「状況報告を、ドロシィ2」
ラーナの凛とした声が、これほど冷淡に聞こえた事があっただろうか?

「ああ…現在までに、研究員一名を保護。バイオドール一体を排除。キャサリンの大破と、ジュンの戦線離脱を確認。そちらは?」
排除と言う言葉に、後席からの圧力が強まる。まるで、物のように報告している俺への恨みか、兄同然の人物を、自ら殺めてしまった悔恨か。それは俺には分からない。

ジュン、マーコス少佐の離脱を知ると、アレード少佐もさすがに面食らったようだ。だが、名優はさらなる演技を続けている。
「こちらは、収穫はない。バイオドールとの接触もない。」

「少佐」
少佐の眉間の皺が深く刻まれる。まるで、いたずらがバレて、叱られるのを覚悟している子供のような顔つき。やはり、そうなのか?

「コンピュータールームへの扉が封印されていました。保護した所員の話では、キーコードが変更されているのでは。と言う事です。なにか、それらしいものは?」

「こちらも、それを捜していてな。この区画の端末にずっとアタックしているところだ」
「そうですか…」

重たい沈黙。普段の少佐なら「まだ作戦の途中だ。ぼさっとするな」と檄が飛んだハズだ。
「少佐…ベティ2と話しをしても良いですか?」
少佐は、まるでボーイフレンドの電話を娘へ取り次ぐような顔で、通信モニターから消える。

ラーナの顔は沈みがちで、マトモに視線を合わせようとしない。
「ごめんなさい…」

聞こえないふりをして、想いを告げる。
「一緒に、生きて帰ろうな」
「ええ、きっと…」
自分の余命が幾ばくもない事を知っている病人のような顔でラーナは、力なく微笑む。

未だに、決心はつかないが、決意も揺るがない。いつまでも、こうしているわけにも行かない。少佐もそうそうに追い払わないところを見ると、質問される事を覚悟しているのだろう。

チェック
マーコスの疑念をチェックしているか?


1、疑念がチェックしてあるならば
2,チェックしてないならば。



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