1,改めてカードキーを探す。
俺の推理が正しければ、最後にこのターミナルをいじったのは、ケストナー博士だ。そして可能性は二つ。俺たちと同じく、カードキーが見つからなくて、探しに出てたところを殺害されたか、目的を達成して、ターミナルから離れたところを殺害されたかだ。
もう一度、ケストナー博士を身体検査する。今度は、めぼしいものではなく、カードキーか、ハッキングに使えそうな機材と言う目的を持って調べたが、それらしいモノは出てこない。
「ケストナー博士も、カードキーを見つけられなかったのかな・・・」
棚の方を調べるフリをしているアイリーンから返事はない。死者への敬意として、ケストナー博士の手を胸の上で合わせようとしたとき、それに気がついた。
肘の当たりにある角張った膨らみ。
「ケストナー博士は、手品が得意だったんだな」
「ええ、余興でよくコインを出したり消したりしていたわ。私が泣いてると、私の耳からよくキャンディを出してくれた・・・でもどうして、それを、あなたが?」
ジャケットの裾から、カードを取り出してみせる。
「これさ」
真っ白な、はた目にはブランクキー。だが、コレには間違いなく所長のIDがコピーされているはずだ。カードスロットへ、真っ白なカードキーを差し込む。ターミナルはカードを飲み込むと、しばらく味の吟味をしたあと、カードを吐き出した。
「ダメ・・・なのか・・・」
突然、モニターに映像が映る。作業を中断したせいか、カードが差し込まれたら再生するように設定していたのかは、分からないが、映像に心を奪われて、それどころではなかった。
再生された映像は、通信映像の録画らしい。
『キャストは全て揃った。全てシナリオ「CARMINE」の通りだよ。所長、君は例のセリフを最後に、ステージを降りたまえ。ああ、そうだ。君の演技はなかなか好評だったよ。ハッハッハッハッ』
この野太い声と、埋め込み式のゴーグル、スキンヘッドのがっちりした身体、どこかで見覚えが・・・考える隙を与えるヒマを与えないと言わんばかりに、呼び出し音が鳴り響く。この部屋を、いや、俺たちを監視ーしていたのだろう。
モニターに映ったのは、女性。ハニーブロンドの長髪に、整った顔立ち。所員リストでひときわ眼を引いたその容姿を忘れるわけがない。ブリーフィングでオレの漏らした正直な感想に、ラーナが冷たい視線を返した事が、遠い昔の事のようだ。モニターの女性は、俺たちを見て、一瞬言葉を失ったようだが、すぐに建て直し、話し始めた。
「私は、研究所員のジェーン・ラディウスです。軍の方々は、すぐに、ここを立ち去っていただきたい」
「Gセクションチーフのラディウスさんですね。我々は、救出部隊です。無事ならば、現在位置を提示して下さい。」
「私たちは、あなたとは戦いたくないのです。私たちのことは忘れて下さい。それがお互いのためです」
どういう事だ?。脅迫されているようにも見えない。自らの意志で、ここに留まっているというのか?
「残念ですが、我々は、任務達成まで、撤退を許されていないのです。」
ジェーン・ラディウスは、少しばかりの哀れみと、怒りの一瞥をくれると、回線を遮断した。端末とのリンクそのものを遮断されたらしく、ここから、メインコンピューターへのアクセスは出来なくなった。通信記録の入ったディスクを取りだし、しまい込む。
決定的すぎる証拠だ。所長は、このバイオドール反乱事件に大きく関与している。この証拠を持ち歩く事は、爆弾を抱えて歩くようなものだが、見てしまった以上、保険として持ち歩くしかない。
「ジェーンは、メインコンピューターのところにいるのね・・・」
「知り合いだったのか・・・それで」
ジェーンラディウスは、俺たちを見て驚いたのではない。軍人と一緒にいるアイリーンを見て驚いたのか。
「ええ、ジェーンも、最後まで・・・バイオドールの処分に反対してた。」
知古であるジェーン・ラディウスとの再会で、我慢していたものが、一気に吹き上がったのだろう。アイリーンは、肩を振るわせはじめ、その声は、涙に染められつつある。
「父さんも、ジェーンも色んな事を教えてくれたわ。私に、優しい気持ちを教えてくれたわ。それをあの機械が・・・」
俺には、ただ、このか弱い存在を、包み込むことしか出来ない。わき上がるいとおしさと、同時に、微妙な違和感をも感じていた。
新しいカードをカードCとして、登録。データディスクをアイテム欄に記入すること。
1,所持していれば、別のカードを試してもよい。
2.ケストナー博士の私室を調べる。
3,居住区を離れ、先に進む。
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