2,出会っていない。


「ソーンが…バイオドール。まさか…」

「この作戦はな…ドール対ドール。フォーロンバス対ジェネラルオーガニックの戦いなんだよ。オレたちゃ、添え物さ…メカドールと同じ、消耗品だよ…」

重い、あまりに重い空気が、俺たちを押しつける。フォーロンバスとジェネラルオーガニック、そしてダラス・マクダネルのメカドール。標的はドールではなく、俺たちが投入された標的だったというのか…その空気の重さに、抗って最初に口を開いたのはマーコス少佐だった。

「こんな作戦は、もう沢山だ…オレはもう降りるよ…お前らも、せいぜい生き延びろよ…」
少佐は、機体をエレベータに向かわせる。聞きたい事がありすぎて、言葉にならない。

「待って下さい、少佐っ」

ようやく発した言葉にも、JUNの歩みは止まらない。追いすがるように、ドロシィの足を進める。
「一つ…一つだけ、聞かせて下さい」
返答は無い。だが、沈黙は了承と同じだ。その証拠に、歩みが止まる。

「少佐は、なぜ、ソーンがバイオドールと分かったんですか?」
JUNの歩みが止まる。だがそれはオレの質問に答えるためじゃない。エレベータに乗り込み、こちらを振り向いたからだ。通信モニターに映る少佐の顔は、苦渋に満ちた顔にも、全てから解放されたような顔にも見える。

「知ってたのさ、最初からな…知った上で、預かり…知った上でこの作戦に参加した…オレも、アイツもな…」

俺たちに、エレベーターに乗る意志がない事を見て取ると、少佐はシャッターをしめ、エレベーターを起動させた。

「ソーンを預かった俺がここにいる理由は明白だ。なぜ、アレードもいる?。分かるよな?、この意味が…」

モーターが、うんうんと唸り、エレベーターを持ち上げていく。エレベーターのうなるような重低音が、頭蓋骨に反響し、脳を直接揺さぶる。

ソーンが、バイオドール…それを知ってマーコス少佐はこの作戦に参加した。この作戦の真意を知った上で。ならば、マーコスは、部下を売ったも同然じゃないか。タコやカミカゼは、奴に殺されたも同然だ。

マーコスは言った。オレもアイツも知っている。アイツとは…ソーンか?。それとも、もう1人の実戦部隊の指揮官を指すのか…トーマス・アレード少佐。オレたちの指揮官。話の分かるアニキ、目の行き届く父親。指揮官としてこれ以上ない程の人。

「アレード少佐…あなたもなのですか?」

呆然と呟くオレを、アイリーンが優しく包み込む。いまは、その温もりに甘えよう。そして、考えよう、これからの事を。

チェック:「マーコスからの疑念」としてシートに記録する事

1,ともかく、保安要員室を確認する。
2.マーコスに賛同し、エレベーターに乗る。
3,奥に進む



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