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Five モデルロケットの打ち上げ

モデルロケットのセットアップ、実際の打ち上げる際に注意すること等を説明します。

 

セクション1 安全な打ち上げに必要な距離

 モデルロケットを打ち上げる際には、安全が第一であるため、周囲に十分な配慮をしなければなりません。安全な配慮をおこなうためには、まず最も基本となるのが「距離」です。

表 保たなければいけない最低限の距離

対  象
 発射台からの距離 
 打ち上げ者
5m以上
 発射待機者(次発射予定者)
10m以上
 打ち上げ準備所
20m以上
 見学者
20m以上

 

セクション2 モデルロケットのセットアップ

 まず、セットアップの前に機体の点検を行ないます。外観をチェックし、ノーズコーン、ボディチューブの損傷、フィンの折れ、接着の具合、エンジンマウントの状態も覗き込んでチェックします。続いて、ノーズコーンを外し、ショックコードの状態、マウントの接着具合、パラシュートに穴が開いていないか、シュラウドラインが外れていないか等をチェックします。

回収装置のセットアップ
 機体のチェックで異常がなければ、回収装置のセットを行ないます。まず、リカバリーワディングをセットします。リカバリーワディング1枚を手の中で軽く丸め、ボディーチューブの直径より少し大きめのボールを決められた数(キットによって違いますので、取り扱い説明書を参照してください)だけ作ります。ボディからショックコードを全部引き出し、ボディの中へワディングのボールを全部そっと入れます。決して指で無理に入れようとしないで下さい。ボールの広がろうとする力がボディチューブの内側をそっと押す程度にするのがポイントです。ボールが全部入ったら、ボディチューブの先端に口をあて、息でボールを奥へ吹き込みます。

 続いて、パラシュートのセットです。パラシュートは放出薬により瞬間的に放出されるので、合理的なたたみ方が必要です。放出の力でシュラウドラインが自然に解け、パラシュートが絡まないようなたたみ方が必要です。
 パラシュートをたたんだら、パラシュート、ノーズコーンにショックコードが結ばれていることを確認した後、コードによじれやもつれが無いようにショックコードから慎重に収め、続いて折りたたんだパラシュートを収納します。このとき、ボディの内径よりパラシュートが小さくまとめられているか確認します。決して無理やり押し込まないで下さい。空気の力でスムーズに放出されるように慎重に収納してください。
 最後に、ノーズコーンをセットします。ノーズコーンとボディチューブの間にパラシュートやシュラウドライン等が挟まらない様に注意してください。

 回収装置が上手に作動しなければ、ロケットは上空より落下して損傷する危険があります。また、リカバリーワディングが正しくセットされないと放出薬の放出熱でパラシュートが溶けたりしますので、回収装置のセットアップは慎重に行なってください。

エンジンとイグナイターのセットアップ
 機体の準備が完成したら、続いてエンジンとイグナイターのセットアップを行ないます。イグナイターは壊れやすく、デリケートにできています。また、エンジン中心孔奥にきちんと発火部が接触しないと、推進薬に着火できません。このことをフローティングといいます。
 まず、イグナイターの先端の黒くなっている部分をエンジンノズルの中心口奥まで差し込みます。あまり、強く押すと、発火薬が破損したり、イグナイターの脚線が曲がってしまいプラスとマイナスが接触し、ショートする可能性があります。奥まで差し込んだら、エンジンにそって脚線を直角に折り曲げ、紙テープで固定します。脚線の先は少し広げ、Wの形に曲げると、発射台にセットした時にマイクロクリップが取り付け易くなります。
 最近は、ワンタッチでイグナイターを固定するピンがエンジンと共に売られています。イグナイターの先端をエンジンノズル中心口奥まで差し込み、エンジンに合うピンを中心口に差し込むと、イグナイターは固定されます。紙テープで固定するよりもフローティング、ショートの可能性が低くなり初心者でも簡単に固定できますのでこちらの方法を勧めます。

 最後にロケット後部よりエンジンマウントにエンジンを装着します。エンジンフックの反対側にイグナイターの脚線が来るように方向を合わせてそっと押し込みます。同じ側だと金属であるフックと脚線が接触してショートしたり、発射のときにランチロットが邪魔になることもあります。フックが「カチッ」と音をたててエンジンの端にひっかかるまで押し込んで、装着して下さい。

これで機体の発射準備は全て整いました。いよいよ発射を待つばかりとなりました。

 

セクション3 カウントダウン

ロケットの発射台へのセット
 セーフティーキーを発射コントローラーから外し、ロケットを持って発射台へ近づきます。このとき、セーフティーキーを持っていることが発射台に近づける資格です。コントローラーからセーフティーキーを外すと、回路が遮断され、誰かが誤って発射ボタンを押した場合でもイグナイターへは電気が流れないしくみになっています。
 ランチロッドにロケットのランチラグパイプを通し、ランチロットの先端に安全キャップをかぶせます。安全キャップはランチロッドの先で眼などを怪我しないようするものですから、外す場合は必要最小限にします。また、常に安全キャップとセーフティーキーは紐などで結んでいなければなりません。ランチロッドにそってロケットがスムーズに動けるかも確認してください。スペーサーかテープで反射プレートとの間に適当に距離を取り、ロケットを固定します。
 イグナイターの脚線に発射コントローラーのマイクロクリップを取り付けます。両方のクリップ、脚線、ランチロッド、反射プレートなどに接触しないように注意します。発射台を離れる前に、全体の確認をし、安全キャップを外してコントローラーまで戻ります。

カウントダウン
 発射コントローラーを持ち、セーフティーキーを差し込みます。この時、パイロットランプが点灯しない場合はマイクロクリップ等の接触不良か電池が消耗などの異常がありますので、セーフティーキーを外し、原因を調査します。パイロットランプの点灯を確認したら大きな声を出して、最終確認をします。

 大きな声を出すことは安全上楽しむためにも絶対必要なことですので、恥ずかしがらないで実行してください。また、発射ボタンは瞬間的に押すのではなく、十分に押し続けてください。また、必ずロケットを見て押すことも大切です。ボタンを見ないで押さないと、発射の瞬間を見逃します。

 上空で無事にパラシュートが開いてもあわてて駆けよったりしてはいけません。空を見ながら走るのは危険なことです。着地した地点を確認したらセーフティーキーをコントローラーから外し、静かに発射台へ行き、安全キャップをかぶせた後、歩いて着地した地点まで行きます。
 不幸にも木の枝にひっかかったり、沼地などの危険な場所に着地してしまった場合は決して取りに行こうとしないで下さい。ロケットはまた作れますが、命は一つしかありません!

不点火の場合
 エンジンの点火を失敗した場合は、直ちにセーフティーキーを外し、そのまま2分間待ちます。その後、発射台に近づき、コードの断線、接触不良、ショート、電池の容量不足、イグナイターのショート・破損、フローティングなどの原因を調査します。この時、エンジンノズルを直接覗き込まないよう注意が必要です。
 イグナイターを外し、発火部を点検します。もし、燃焼していればフローティングです。燃焼もせずに、破損もなければ、ショートか断線、接触不良、電池の容量不足などが考えられます。原因が特定できたらイグナイターを再装着して再打ち上げを行ないます。

 

セクション4 高度の計算方法

 モデルロケットの醍醐味の一つには、いかに高く打ち上げるかがあります。モデルロケットの高度を測定することは関数電卓があれば比較的簡単におこなえます。

 測定者を二人配置し、発射台を中心として直線上に 100m以上の距離をおいて配置します。ロケットの最高到達点の仰角を測定します。そして三角関数を用いて計算をおこなえばよいのです。

  ▲−−−−−−−−−−−−−−−◎−−−−−−−−−−−−−−−▲
 測定者A (ベースライン)   発射台   (ベースライン)  測定者B

 各々の測定者に、ロケットの最高到達点を測定してもらいます。たとえば、各々の測定角度が45度だったとし、ベースラインが 100mとすると、「 100×45tan 」で算出できます。
 もしも、測定角度が Aと Bで違った場合には各々の高度を算出して、それを平均すればよいでしょう。

 

チェックポイント

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