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Four モデルロケットの重心と圧力中心
モデルロケットが空気中を飛行するとき、重心と圧力中心とのバランスがおかしいとロケットはまっすぐ飛びません。そこでこの重心と圧力中心の意味と簡単な求め方を説明します。
セクション1 重心と圧力中心
- 重心(Center of Gravity)
- エンジンを含めたモデルロケットの質量の中心のことです。全体の質量・運動量・位置エネルギー・重力が集中している点と考えることができます。ロケットが進んだり、回転するときもこの点が中心となります。エンジンは後方についていますが、この重心に働き、動力飛行中は燃料が燃焼するにつれて前方に移動します。
重心(CG)の簡単な求め方はエンジン、リカバリーワディング、パラシュートなどを装着し、打ち上げ状態のモデルロケットをくさび状のものの上においてバランスをとります。そこで水平状態になった点が重心です。
- 圧力中心(Center of Pressure)
- 飛行中のモデルロケットには、各部分にそれぞれ空気の圧力がかかっています。質量を重心で総合して取り扱ったように、この圧力をまとめて1つの力として扱える点を圧力中心(CP)といい、機体の抑え角によって前後します。90度で最も前方になり、小さな迎え角で最後方になります。
圧力中心(CP)は機体形状のデータから計算で求められますが、簡単にはロケットのシルエット(投影図)の型紙を用意し、バランスのとれた点が圧力中心になります。この方法のことを「カードボード・カットアウトメソード」といいます。
一般的なモデルロケットのキットの圧力中心は迎え角90度で設計されており、圧力中心は最も前よりになっています。多少、風向性は大きくなりますが、安定飛行が行えます。
セクション2 ロケットの安定飛行
モデルロケットの重心と圧力中心の位置関係は、3通り考えられます。ポジティブ(重心が圧力中心よりも前方にある)、ニュートラル(重心と圧力中心が同じ位置にある)、ネガティブ(重心が圧力中心よりも後方にある)と呼ばれています。モデルロケットアは重心が圧力中心よりも必ず前方に存在していなければ安定飛行しません。つまりポジティブの状態でなければいけません。
図 重心と圧力中心の位置関係
参考までにモデルロケットを自作する場合のポイントとして、全長対直径の比率は10:1以上にします。また重心と圧力中心との間隔は直径と同等かそれ以上にします。
これらの安定性を確認するには、実際に重心や圧力中心を前述した方法や計算式を用いて求めるか、風洞実験をすれば正確に測定できますが、ここではもっと簡単にロケットの飛行安定性を確認できる「スイングテスト(ストリングテスト)」について説明します。
- ロケットにエンジン、パラシュートなどを取り付け、ロケットが水平になるように重心位置に3m程の凧糸などの丈夫な糸で結び、テープで固定します。
- 糸の片方を持って、大きく円を描くように振り回します。
- この時、多少スピードを変えても、上下に波打たせてもロケットが進行方向に正しく向かうようなら、安定性(ポジティブ)が確認されます。
- もし、ロケットがぐるぐる回るようならニュートラル、ロケットの前後が逆になるようでしたらネガティブです。このような場合は、フィンを大きくしたり、ノーズコーンに粘土を詰めるなどしてから、もう一度テストしてください。
安定性が確認されたら、糸の位置を少しずつ後方に下げ、ノーズコーンが10度ぐらい下を向くような位置に固定し直し、同様に振り回します。それでも安定して進行方向に向かうようでしたら、十分な安定性を持っているといえます。
チェックポイント
- モデルロケットの重心とはモデルロケットの質量の中心のことである
- モデルロケットの圧力中心とはモデルロケットに加わる空気の圧力の中心のことである
- 圧力中心の前に重心位置があるロケットの飛行は安定する
- ロケットの安定性を確認するには「スイングテスト」が有効である
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