医院について
夫立会い分娩について
当院ではご希望にて夫立会い分娩ができます。ご自分たちの赤ちゃん誕生の瞬間をお二人で見守り迎えることは親としての新たな思いが広がるようです。親としての実感を深く感じ、ご夫婦・赤ちゃんとで大きな喜びを分かち合うことができるでしょう。
無痛分娩について
ご希望のある方に、又は医学的適応と考える方には、無痛分娩を行っております。無痛分娩の麻酔方法は硬膜外麻酔(腰の骨にチューブを挿入し、麻酔薬を注入します)です。
この方法は陣痛の痛みを和らげ、下半身の感覚を鈍くしますが、意識はしっかりとありますので、陣痛がくるのは分かります。しかし、麻酔により、足が自分では動かしにくくなりますので、トイレなどへの移動はスタッフが介助させていただきます。
また、麻酔は注入をやめるとお産後2時間ぐらいで自然に切れていきます。
母乳育児について
当院ではお母さんと赤ちゃんの心と体のために、母乳育児を推進しています。
赤ちゃんにとって、おっぱいが大切なことはもう、誰でも知っています。それでも、おっぱいにトラブルがあったり、おっぱいの出が悪い時には、「何でこんなに大変なのかしら?」「いっそ、ミルクにしてしまったほうがいいのでは・・・」という迷いが出てきてしまいます。そんな時、おっぱいが何で素晴らしいのかが、あなたの心の中にしっかりと入っていると、大丈夫です。
また、母乳育児というのはおっぱいを飲ませるお母さん、あなたにとっても素晴らしい恵みを与えてくれるのです。こんなことが分かると母乳育児がとても楽しいことを実感できると思います。
(1)赤ちゃんの体と健康な心をつくります
@おっぱいは赤ちゃんの体を作ります〜栄養的にパーフェクト!
お母さんのおっぱいには、体の組織を作るたんぱく質、エネルギー源となる脂肪、脳や中枢神経の発達に欠かせない乳糖(ラクトース)、そして、ビタミン類、ミネラル、塩分、ホルモン、酸素と赤ちゃんが成長していくのに必要なものは、すべてが含まれているのです。
そして、これらの成分が少なすぎたり多すぎたりすることもないのがおっぱいのすごいところです。
A赤ちゃんの健康の土台作り。病気にかかりにくくて、治りも早い!
初乳は赤ちゃんを病気から守る免疫物質がたくさん入っています。初乳というのは出産してから、2〜3日の間に分泌される量の少ないおっぱいです。その中には分泌型免疫グロブリン(SlgA)という免疫体がたくさん含まれています。
この分泌型免疫グロブリンは赤ちゃんの胃や腸の粘膜に広がり、細菌やウィルス、又はアレルギーの原因となるたんぱく質が入ってきても、粘膜から中に侵入できなくなります。なのでおっぱい、とくに初乳は、感染の予防に役立ち、赤ちゃんをバイ菌から守ってくれているのです。
B赤ちゃんの脳の機能を良くするものがいっぱい入ってる!
母乳の中にはタウリンというアミノ酸の一種がたくさん含まれています。タウリンは脳の発育に重要な役割を持っているのです。また、脂肪の中でも、長鎖不飽和脂肪酸がふくまれていてこのうちDHA(ドコサヘキサエン酸)というのは、人間の脳には不可欠の脂肪なのです。
また、胆汁酸といっしょになって活性化されるリパーゼという酵素は、哺乳動物の中で人やゴリラのような霊長類だけのおっぱいに入っています。高度な脳の働きをするために必要だから入っているのですね。
C太り過ぎ(肥満)、心筋梗塞、糖尿病を防ぎます!
母乳には不思議な秘密が隠されています。それは、赤ちゃんが飲んでいるうちに、母乳に含まれる脂肪の量がだんだんと増えて最初の2〜3倍にまでなり、味も微妙に変化するということです。
生まれたばかりの赤ちゃんは満腹感が分かりません。しかし、母乳はその成分の分泌をかえることによって、赤ちゃんが飲む量を調節して太りすぎを防ぐようにしてくれているのです。それと同時にお母さんのおっぱいをしっかり吸わなければ出てこないのですから、赤ちゃんは大変なエネルギーを使います。
それに比べ、人口乳首では楽に飲めてしまいますので、どうしても飲みすぎとなってしまうのです。また、心筋梗塞の原因となる肝動脈硬化症や糖尿病は、母乳で育った子供の方が少ない、ということもわかってきました。赤ちゃんを母乳で育てるということは長い目で見れば健康の土台作りをしているということなのです。
D乳幼児突然死症候群も母乳の赤ちゃんには少ないのです!
乳幼児突然死症候群という病気は、今まで元気にしていた赤ちゃんが、いつの間にか呼吸をしていないなどという状況でみつかることです。6ヶ月未満の赤ちゃんに発症することが多く、最近では最も多い乳幼児死亡の原因となってきています。
残念なことに詳しい原因はまだ良く解明されていません。日本の赤ちゃんは他の国の赤ちゃんに比べてこの病気が比較的少ないそうです。(オーストラリアでは、「母乳で育てよう・煙草は吸わないようにしよう・うつぶせ寝にしないようにしよう」というキャンペーンをしたところ、明らかにこの病気が減ったそうです)
母乳育児をしていると自然とお母さんと一緒にいる時間が多くなり、お母さんが赤ちゃんをいつも見ているから、赤ちゃんの変化にすぐ気が付き易いということに関係しているのかもしれません。
Eおっぱいは赤ちゃんの「心」をつくり、人間の基本的信頼を育てます!
お母さんはおっぱいを飲ませるたびに赤ちゃんを胸に抱きます。授乳するという行為のためには、座って両手を使うという行動が出来ることが必要です。人間以外のほかの霊長類も同じ行動をします。
胸に抱かれ、お母さんの暖かい声を聞き、授乳によって満たされる授乳期間が長いことによって、赤ちゃんはお母さんとの信頼関係をつくっていきます。赤ちゃんは自分一人では何も出来ないのですからお母さんを信頼するしかないのです。
赤ちゃんにとって不可欠な心理的栄養を母乳育児は与えるのですね!
(2)お母さんとお父さんにとっての母乳育児
@母体の回復は「赤ちゃんがおっぱいを飲むこと」です!
赤ちゃんが自分で大きくしたお母さんの子宮を、おっぱいを飲むことでぐんぐんと収縮させてくれます。乳首を吸う刺激が子宮収縮ホルモン(オキシトシン)を分泌させ、お母さんの体を回復させてくれるのです。
またオキシトシンは母乳をビューと出すことに関与しているホルモンなので一石二鳥の役割をしてくれているのです!
Aいつの間にか、子育てが楽しくなるのが母乳育児です!
母乳育児が楽しくなる大きな理由の一つに、赤ちゃんの要求にすぐに応えられるということです。これが大切なこと! お腹が空いて、「おっぱいがほしい、抱っこしてほしい・・」という赤ちゃんの要求は待ったなしです。母乳なら、さっと乳首を含ませられますから、泣かせる時間も少なくなります。赤ちゃんに泣かれるとお母さんは本当に途方にくれてしまうことでしょう。それが少ないのですから、お母さんの心に余裕が出てくるのです。そして、1日何回もおっぱいを飲ませるたびに赤ちゃんを肌で感じるのですから、知らず知らずのうちに赤ちゃんのことがわかってきます。また、赤ちゃんがおっぱいを飲むと、張っていたおっぱいが楽になるので、実はお母さんは、赤ちゃんから<”快”をプレゼントされているのです。
Bあなたを女性から”母親”へと変身させるおっぱいです!
もし、あなたが”母性”について不安を持っていても大丈夫です。出産するまで、赤ちゃんをほとんどの人が抱っこしたこともないのですから、当たり前のことなのです。
でも、あなたがおっぱいを飲ませることによって、あなたの身体からは、母性を育てていくプロラクチンというホルモンが、どんどん分泌されます。このホルモンは母乳をたくさん分泌させるものですが、同時に、母性を作るホルモンなのです。つまり、おっぱいを飲ませていると、赤ちゃんを育てる心=母性まで自然とつくられていくのです。
Cあなたの心にゆとりと健康をも作り出します!
お産後、無理なく、すっきりやせていくのが母乳育児です。「こんなに大きくなったお腹や太もも、元の体型に戻るのかしら?」と気になることですね。
おっぱいを吸われると、お母さんの身体の中にはコレシストキニンというホルモンが分泌されます、。このホルモンはお母さんの身体の下腹部、お尻、太ももの脂肪をそぎ落とす作用があるのです。それとお母さんが妊娠中に蓄えた脂肪は、母乳中の脂肪ともなり、赤ちゃんの身体を作り上げてくれるのです。
また、授乳していた人は乳がんにかかりにくいと言われています。授乳していれば乳がんにかからないわけではありませんが、乳がんにかかった人を調べると「授乳しなかった」あるいは「授乳が少なかった」という人が多かったということです。
そして、産後すぐに母子同室にして頻回におっぱいを飲ませていたお母さんには、深刻なマタニティブルーが起こりにくいことが分かっています。赤ちゃんの匂い、泣き声、赤ちゃんとの肌の触れ合い、そしておっぱいを吸われることがプロラクチンの分泌を高めるのです。
Dお父さんにも幸せを運びます!
毎日、何回も何回もおっぱいを飲ませるお母さんとは違って、お父さんには母乳育児の実感がなかなか出てこないのでは? と思います。お父さんにとっては母乳でもミルクでもいいのではないかと思われるかもしれません。でも、長い目で見ると、必ずやお父さんにも幸せを運んでくれます。何よりも赤ちゃんが健康に育つことは嬉しいことです。
毎日、元気に成長している我が子の姿を見るのは嬉しいもの。新米お母さんがおっぱいと赤ちゃんとで四苦八苦していると、お父さんは心の中で、”そんなにまでして母乳にこだわらなくても”と思うかもしれませんが、ぜひともお母さんと赤ちゃんのために手助けしてあげてくださいね。
24時間母子同室について
お産直後から母乳育児を行うため24時間母子同室となっております。
母と子がいつも一緒にいることで母子間の絆をより深めるとともに、退院後の生活や母乳育児がスムーズに送れるよう、そして「我が子との生活に慣れていくための期間」としていただきたいと思っております。