そうしてレイは今日、千歳の誕生日を迎える。千歳といえば、成人だ。大学で多くのことを学び、多くの友を得、大人の仲間入りをするのに相応しい女性へと成長していた。
月花城・謁見の間。ここでレイはサイラによって成人の儀を執り行われた。この儀式により、精霊界で成人と認められるのだ。
「レイ」
サイラが声をかける。
「大学での貴女の成績は大変優秀でした。貴女には、これより人間界に降り立ち、守護精霊としての役に就いてもらいます」
「・・・私が、ですか?!」
守護精霊――それは精霊界でも選りすぐりの者にしか与えられない任務である。サイラはレイに、その役を与えるというのだ。生まれもよくわからないレイにその任が与えられるとは思っていなかったレイは、俄かに信じがたかった。
「永く、紫水晶の守護精霊が不在となっております。レイにはその役に就いてもらいたいと思います。よろしいですか」
「・・・は、はい!!」
こんな機会に恵まれるとは思っていなかった。しかし、目の前にある好機をみすみす見逃すつもりもない。レイは引き受けることを躊躇わなかった。
「では、貴女に精霊聖五位の位を授けます。これからは貴女はシキョウという名を名乗りなさい。レイ・シキョウです」
「レイ・シキョウ・・・かしこまりました」
聖女王から名と位を賜ると、レイは一礼して謁見の間を後にしようとした。
「あ、お待ちなさい」
すると、サイラはそれを引き止める。
「はい、なんでしょうか」
「UNITEをここへ・・・」
サイラはUNITEを出せという。
何事かと思いつつも、恭しく剣を取り出すと、聖女王へ差し出した。
「このままでは、この剣は人間をも傷つけてしまいます。守護精霊として、それはあってはならないことです。人間を傷つけることのないよう、UNITEの能力を制限しましょう」
そういいながら、サイラはUNITEに手をかざす。淡いけれど熱い光がUNITEを包んだ。
「これで良いでしょう。人々を助けるため、力を尽くしなさい」
サイラはレイにUNITEを手渡した。その時、今までよりも大きな責任がその身にのしかかったことをレイは実感した。
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