「紫鏡1」覚醒のアンジェラ
序章
 今の世よりはるか昔、中国の西、深い山並みに囲まれた秘境に、人目を避けるようにひっそりと生活を送る小さな村があった。「神」の字を持つその村には、紫水晶の大鏡がまつられていた。目を見張るほど巨大で立派なその大鏡は紫鏡(シキョウ)と呼ばれ、強大な霊力を持ち、守り神として村の人々の平和を約束していた。



 ある時、その平和な村に不吉の影がたちこめた。

 ひとりの妖魔が現れたのだ。

 その力は凄まじく、大鏡の霊力をもってしてもそれを抑えることは困難を極めた。妖魔はその強大な妖力で、のどかで平和だった村を一瞬のうちに消滅させた。大鏡は渾身の力をもって妖魔を封印し、自らもまたひとり残った村の民、まだ二歳にも満たない少年とともに、二千年の長き眠りについた。


 今、妖魔の目覚めの時が迫っている。



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Les Rois au pays de Pyjamas

オリジナル小説「紫鏡」