〜目覚めよ、戦士アンジェラ〜
「誰だ。誰のことだ」
〜目覚めよ、戦士アンジェラ〜
「誰のことを言ってるんだよ。僕はアンジェラなんて名前じゃない」
周りには何もない。あるのは、ただ漆黒の闇のみ。声だけがこだまする。
〜目覚めよ、アンジェラ・シェン〜
その時、突如周囲が鏡に変化した。そこに映っていたのは、二歳くらいだろうか、まだ年端もいかない子供の姿だった。
「安珠(アンジュ)、起きて。学校に遅れるわよ」
「!」
安珠はベッドから飛び起きた。
「また今日も同じ夢。あんなお伽話なんか聞かされちゃったからだよ。あれからずっとこんなんだ。目覚め最悪」
「安珠、起きてって言ってるでしょうが!」
安珠の双子の姉、晶子(ショウコ)が部屋の外から叫んでいる。
「今起きた。すぐ行くよ」
安珠は晶子にそう声をかけると、寝巻がわりのタンクトップを脱ぎ捨てて、制服のカッターシャツを頭から被った。
「戦士アンジェラか。訳わかんないよ。大迷惑な悪夢だな」
シャツから頭を出して、安珠は呟いた。
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