2,持っていない
「本来は、ヒュー。つまり、フォーロンバス製の戦闘用ドールと、ジェネラルオーガニックの戦闘用ドールの対決だったのさ。君たちも僕も、メカドールと同じ、ただの添え物だったのさ」
「俺が勝ち残ったのは、番狂わせだったらしいな」
恐怖と悲しみを追い払えたのか、ジーンは、突如冷静さを取り戻すと、話し始めた。
「ああ、君たちが生き残ったのは、まさに予想外だったろうよ。AZALEAでさえ、その可能性を指摘しなかったほどだからね…バイオドールに勝てるのは、バイオドールだけ…そう思っていたよ」
そう、バイオドールに対抗できるのは、バイオドールだけのハズだ。記憶の底で凝り固まった、しこり。マーコス少佐が残した言葉が、内耳の中で囁き続け、疑惑をあおり立てていく。マーコス班にソーンがいたように、俺たちアレード班にも、バイオドールが配備されていたはずなのだ。
生体脳に、直接書き込める機械。つまり、記憶の植え込みが可能な機械。俺の知っている俺の経歴は、事実なのだろうか?。もしかしたら、生き残っている俺が…
「おそらく、僕たちが最後のバイオドールだ。無人MSの研究が続いたとして、バイオコンピューターが採用されたとしても、パーツ取りのために、作られるそれは、ただの有機物で、バイオドールではない。」
冷たい空気が、両肩に重くのし掛かる。不意に頭の皮が引っ張られる。痛みに引きずられるように顔を向けると、飛び出してきたRGM79(G)が、ピンクの閃光に貫かれているシーンだった。
「背面撃ちとはな…」
ジーンも感心したような、呆れたような口調で呟く。ドロシィは、俺たちを向いたまま着座姿勢を取っている。ソーンにしてみれば、教本通りの攻撃場面だ。
「まさか、ソーンが、これほど教本通りに動くとは、俺も思わなかったよ」
連邦軍でMS教本を作ったのは、以前には、航空機ないし航宙機のパイロットたちだった。そんな彼らが、背後へ攻撃するなど、想像できようはずもない。
「なるほどな、ベストパターンが常に正解とは限らない。ヒューマンエラーが取り返しのつかない事故をもたらす例も少なくないが、ヒューマンエラーによって、新たな発見をした例も少なくない。」
ジーンは、目を閉じ深く息を吸い込み、胸の奥にある澱みをはき出そうとしている。
「決められたとおりにしか動けない我々は、所詮、肉で出来た機械なのかも知れないな…君に個人的な恨みはないのだが…」
ジーンは、ホルスターのフタを開く。それに呼応して、背後のアイリーンにも動きがある。所長室で見つけた、M6901をアイリーンに手渡した事を思い出す。背中越しに、感じる覇気が、俺からイヤな汗を搾り取る。腰に付けた気休めの拳銃が、異常に重く感じた。
チェック
アイリーンの指輪を持っているか?
1,持っている
持っていないならば
2、ジーンを撃つ
3、アイリーンを撃つ
4,なにもしない
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