ショパン人気作品アンケート | ||||||||||||||||||||||||||||
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〜第1回・ピアノ協奏曲 & ピアノソナタの人気投票〜
当サイトの作品ジャンル別人気アンケートを企画して最初に行ったのが、このピアノ協奏曲とピアノソナタの人気投票です。 2002年9月にサイトを開設して1ヶ月後の10月頃にはトップページペースで10人以上の訪問客を集めるサイトになり、 2002年10月から2003年2月まで約4ヵ月間に渡ってアンケートを実施し、20人から回答を得ました。 票数は少ないですが、待っていても票数が伸びることが期待できないため、ここで打ち切りとしました。 それでは次に投票コーナー設置の趣旨、集計結果、管理人のコメントの順に記載します。
1.ピアノ協奏曲
1.投票コーナー設置の趣旨と個人的な予想 ショパンは2曲のピアノ協奏曲を残しています。 ピアノ協奏曲第1番ホ短調Op.11と第2番ヘ短調Op.21の2曲です。 初恋の人コンスタンツィア・グラドコフスカへの 一途な想いを作品の中で昇華させた第2番ヘ短調Op.21は、夢見心地で繊細でロマンティックな旋律とハーモニーが 聴く人の心を打つ作品で、ショパンらしい繊細な抒情性が色濃く現れた初期の傑作です。それに対し、 第1番ホ短調Op.11は、その翌年、彼のワルシャワでの告別演奏会のために書いた、より 外面的で演奏効果の高い華やかな作品で、若々しい詩情にも満ち溢れた傑作です。 ショパンコンクール本選では、この2曲のうち任意の1曲が課せられていますが、本選出場者の選曲を 見る限り、第1番を選ぶ人の割合が圧倒的です。しかしその事実をもって「第1番の人気が圧倒的」と結論づけるのは やや早急に過ぎると思います。というのも、ショパンコンクールは過去の実績からも、第1番を弾いた出場者の方が 総じて評価が高く、優勝者に限って言えば、ダン・タイ・ソン以外の優勝者はショパンコンクール本選で 皆、第1番を演奏したという動かし難い歴然とした事実があります。 このような事実のため、現在は「第2番を弾くと優勝できない」というジンクスもあるほどです。 実際、第2番は第1番と比べてオーケストラとのアンサンブルが難しいとも言われており、 リハーサルが極めて短い時間しか与えられていないショパンコンクールで第2番を選んで素晴らしい演奏をするのは、 第1番以上に難しいということも一般的には言われています。 理由はともかく、第2番を選んだ出場者がなかなか優勝できていないのは確かな事実ではあり、 ショパンコンクール本選出場者の選曲では、このジンクスが選曲バイアスとして大いに関与している可能性が高いと思います。 つまり、「本当は第2番の方が好きだが、コンクールで少しでも良い順位を狙うために第1番を選んだ」 というように戦略的な意図をもって第1番を選んだ出場者も結構いるのではないかというのが僕自身の個人的な見立てです。 そのように考えてくると、ショパンコンクール本選で第1番を選曲する出場者の割合は、実際の第1番の人気よりも さらに高くなる傾向があることも大いに考えられるため、ショパンコンクールの本選出場者の選曲の割合をもって、 第1番と第2番の人気度とするには、やや短絡的に過ぎるのではないかと考えた次第です。 一方で、当サイトに訪問し、アンケートに答えて下さる皆さんは、そのようなバイアスは一切なく、 純粋な好き嫌いで選んでもらえるという点で、より公正な結果が期待できると考えた次第です。 もちろん、第1番の圧倒的な人気は予想されましたが、第2番も根強い人気があることは以前から知っていました。 20世紀前半のショパン弾きの大御所・アルフレッド・コルトーが録音に残しているのは第2番だけだったと思いますし、 アルトゥール・ルービンシュタインも、第1番よりも第2番を得意としていて、録音回数も多かったと記憶しています。 近いところでは、横山幸雄さんも第1番よりも第2番に強い思い入れを持っているとのことでした。 華やかで立派な第1番よりも繊細で壊れやすいガラス細工のような第2番の方が好きという人は、 特にショパンが好きな人の中には結構いるのではないかと予想され、結果が楽しみでした。 なお、アンケートの選択肢には、第1番・第2番どちらも好きで決められない方のために、「分からない」 という選択肢も用意しました。 2.集計結果 (有効回答数 20票)
3.管理人コメント 集計結果は、第1番派が11人で55%、第2番派が5人で25%、「分からない」が4人で20%という結果でした。 皆さんにとって、この結果は「順当」でしょうか、「意外」でしょうか? やはりと言うべきか、第1番が多くの支持を得ているのが分かりますが、 第2番支持派の割合は当初の僕の予想よりも高く、第2番も意外に多くの支持を集めているのが分かりました。 もう1つの選択肢「分からない」というのが、曲を知らないから判断できないのか、どちらも好きで決められないのか、 はたまたどっちもどっちであまり好きな曲ではない、ということなのか、そのいずれも考えられる選択肢になってしまったのが 悔やまれます。この「分からない」という選択肢は、第1番、第2番どちらも好きで決められないということを 意図してその前提で作ってしまった選択肢で、2003年2月に初稿で書いたコメントの中では「第1番の人気が圧倒的な中、 あえて分からないと答えた人が4人もいたのは、それだけ第2番の人気が根強いことを示唆する結果だ」と やや独りよがりな解釈をしてしまったのですが、その後の当サイトの訪問者たちのショパンに関する知識を見る限り、 この「分からない」を選んだ4人の中には、ただ単に曲をよく知らない、どちらもあまり好きではない、という方も いた可能性が高いと考えられました。従って、この「分からない」という選択肢は何の意味も持たない 死票になってしまったと考えた方が良さそうです。アンケートの選択肢をもう少し細分化すべきでした。 この4票を死票として扱うと、第1番派が16人中11人で約70%、第2番派が16人中5人で約30%という結果となりました。 投票者数が少ないので、統計的にどの程度有意なのかは分かりませんが、 この結果は第1番派にとっては第2番が意外に健闘していると取るでしょうし、 第2番派にとってはこの結果は不本意ではないかと思います。 僕は第1番派なのですが、それはただ単に第1番の方が触れる機会が多く、第2番よりも早い時期に覚えた 思い入れの強い曲だというそれだけの理由です。曲想的には第2番の方がより繊細でロマンティックで初々しい抒情性に 満ち溢れた作品で、何かの巡り合わせで第2番の方に何らかの思い入れがあれば、 僕も第2番派になっていた可能性が高いと思います。 第1番、第2番それぞれに異なった魅力があり甲乙つけ難いというのが正直な実感で、 曲自体の魅力は僅差だと僕自身は思います。 技術的には第2番の方が弾きやすいですし、それも第2番の支持率を高める要素になっている可能性はあると思います。 本当はもう少しアンケート票が集まれば、より正確で統計的に興味深い結果になったと思うのですが、 このような結果が得られたのも、アンケートに協力して下さった20人の方々のおかげだと思います。 改めて感謝致します。
2.ピアノソナタ
1.投票コーナー設置の趣旨と個人的な予想 ショパンは3曲のピアノソナタを残しています。 ピアノソナタ第1番ハ短調Op.4, ピアノソナタ第2番変ロ短調Op.35、ピアノソナタ第3番ロ短調Op.58の3曲です。 いずれも4楽章構成の規模の大きな作品で、高度な演奏技巧を必要とする難曲ですが、 作品の傾向は全く異なります。 ピアノソナタ第1番ハ短調Op.4は、ショパンのピアノソナタの最初の作品で学習当時、師のヨーゼフ・エルスネルのすすめで 創作された作品で一般的には習作とされています。 非常に古典的で均整のとれた楽想が淡々と流れてきますが、ともすると個性に乏しく、 この曲を知らない人はこの曲を聴いて作曲者名を言い当てるのはやや難しいのではないかとさえ思えてきます。 これはショパン自身がピアノソナタという従来の規範を忠 実に守りながら、古典派の偉大な作曲家を意識して書いたと 思われる曲ですが、第3楽章に4分の5拍子という斬新な拍子を採用するなど、ロマン派らしい自由さも現れています。 ピアノソナタ第2番変ロ短調Op.35はご存知の通り、有名な葬送行進曲付きのピアノソナタで、 全体として暗く激しくデモーニッシュな作品です。 各楽章がそれぞれ独立に自らの存在を主張するような突出した個性を持つことから、 シューマンはこの作品を「4人の乱暴な子供達をただ一緒につなぎ合わせただけ」とも評しているほどです。 しかしこの作品はショパンの独創性が見事に実を結んだ紛れもない傑作で、 今日では、この曲はショパンの最高傑作の1つとしての不動の評価を得ています。 ピアノソナタ第3番ロ短調Op.58は第2番と比較してさらに洗練され、バランスのとれた美しさと華やかさが 高次元で融合した最高傑作です。第1楽章は非常に独創的で美しい楽想、ハーモニー、旋律の宝庫で、 その叙情性の比類のない美しさと天才的な発想は特筆すべきものですし、第4楽章は極めて華やかで 演奏効果が高くこの傑作を締めくくるのに相応しい幕切れで、第2番とは違い輝かしく華麗に終結します。 僕自身の個人的な好みで言えば、ピアノソナタ第3番ロ短調Op.58がダントツトップで、 そこから大きく引き離されてピアノソナタ第2番変ロ短調Op.35です。 ピアノソナタ第1番ハ短調Op.4は、上記の第2番・第3番と比較すると、やはり大いに遜色があるとも思いますし、 ショパンコンクールの第3次予選の課題曲がピアノソナタでは第2番・第3番に限定されていて、第1番を選曲できないのも、 作品の価値を考えてのことであることは明らかです。 従って、このアンケートでも、第1番には1票も入らないと僕自身は予想していました。 2.集計結果 (有効回答数 20票)
3.管理人コメント
この結果は皆さんにとって「順当」だったでしょうか?それとも「意外」だったでしょうか? もう1点、ピアノソナタに関しては「分からない」という選択肢を選んだ人が全くいなかったのが、 ピアノ協奏曲との大きな違いです。ピアノ協奏曲は1番、2番ともそれぞれ異なった魅力があり甲乙つけ難いと 思う人も多いのではないかと思われますが、ピアノソナタに関しては3曲とも作品の傾向が全く異なるため、 全てが甲乙つけ難いということにはならず、皆それぞれ自分自身のお気に入りのピアノソナタがある、ということが分かります。 大本命のピアノソナタ第3番が11票、対抗馬のピアノソナタ第2番が6票という結果でしたが、 個人的には第2番が6票前後、第3番が14票前後と予想していたので、 第2番が意外に健闘しているという印象です。 確かにショパンコンクールの第3次予選でも、出場者の選曲は第2番、第3番が拮抗していて、 僕の感覚以上に第2番の人気が結構高いことも知ってはいます。 今回のアンケートで第2番が健闘したのは、 第3番に比べると、第2番の方が若干弾きやすい(難易度が低い)というのも、その一端にあるのでしょうか。 アンケートに参加していただいた皆さんのコメントはほとんどなかったため、 想像するしかありませんが、第2番、第3番の人気は意外に拮抗しているのかもしれないと思いました。 このアンケートは票数が20票と少なかったため、統計的にはやや根拠に乏しい結果しか得られませんでしたが、 大体の傾向はつかめましたので、それで一応目的は達成されたと自分自身を納得させることにしました。
初稿:2003年2月11日
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