ショパン・プレリュード(前奏曲)アンケート集計結果 |
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ショパン・24の前奏曲・人気CDエチュード同様、正確無比、完全無欠のテクニックは比肩するものがなく、一音一音に光をあて磨きをかけることにより、 客体として各曲の性格が見事に浮き彫りにされていく超名演。 激情の奔流に身を委ね、本能の趣くままに一気呵成に弾き切った怒涛の演奏。24の前奏曲を大きな一つの流れとして捉えて、 壮大なドラマを築き上げる様は、まさに圧巻。 強靭な打鍵、精度の高いテクニックから生み出される表現は、非常にスケールが大きく、近年のキーシンの成長ぶりが 如実に示された名演奏。 硬質でシャープな音色、切れ味鋭いテクニックで各曲を完全再現しつつも、常に冷静さを失わない客観的表現、バランス感覚は 見事という他がない名演奏。
ショパン・24の前奏曲・楽譜
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〜第7回・プレリュード(前奏曲)人気投票〜
本コーナー、カテゴリー別人気投票アンケートコーナーも、2005年のポロネーズ以来、
約4年間のブランクがありましたが、まだこの企画は未完結ということで、やっと重い腰を上げることにしました。
この企画も、今回のプレリュード(前奏曲)で第7回目となりました。
2009年7月15日にアンケートフォームを設置して以来、
約6ヶ月半に渡って57人の方々に協力していただき、2010年1月31日をもって、投票を締め切りました。
協力していただいた皆様、どうもありがとうございました!それでは、集計結果の発表です!
1.ショパンのプレリュード(前奏曲)について ショパンはプレリュード(前奏曲)を26曲作曲しました。そのうち第1番〜第24番は、「24の前奏曲Op.28」で、 24の小品(短くて30秒、長くても5分程度)からなり、独立した小品としての構成を保ちながらも、 24曲の集合体として、続けて演奏されることの多い作品です。 この作品は、平均律における24の全ての調性を用いて書かれており、 これはショパンが尊敬していたJ.S.バッハが24の全ての調性を用いて書いた「平均律クラヴィーア曲集」(前奏曲とフーガ) の影響が大きかったと考えられます。但し、ショパンの24の前奏曲の調性配列は、「5度圏」または「5度循環形式」と呼ばれる手法で、 これは分かりやすく言えば、ハ長調、平行調のイ短調が終わると、1つ♯記号が付いて、主音が完全5度上のト長調とホ短調と、 順次♯記号が1つずつ増えていき、♯6個の嬰ヘ長調まで行った後、そのまま嬰ニ短調ではなく、それと等価な♭6個の変ホ短調に転じ、 そこから順次、♭記号が1つずつ減っていくという配列です。このような配列にすることで、各曲は近親調で結ばれることになり、 24曲通して演奏すると、独立した作品というより、作品間に濃厚な関連性を感じることができ、1つの作品としての 大きな流れを生むことに成功しています。24の全ての調性を用いて前奏曲を創作するという試みは、バッハを先駆者として、 ショパン以後も、ドビュッシー、ラフマニノフ、スクリャービン、ショスタコーヴィチなど、 多くの作曲家が行っていますが、ショパンの24の前奏曲はその中で最も演奏時間の短いものと思われます。 ショパンの24の前奏曲は、1つ1つの小品は極めて簡潔に書かれていながらも、「言い足りないこと」はほとんどないと言ってよく、 必要にして十分な楽想をその短い小品の中に凝縮しており、一切の無駄がないことは驚嘆に値します。 まさに、プレリュードこそ、天才ショパンの所産であり、後世の大作曲家たちは、 このような24の前奏曲を創作し得たショパンの才能に嫉妬したのではないかという憶測さえ生まれそうです。 今回のアンケートでは、このような24の前奏曲を、1つ1つの独立した作品とみなした場合、好きな曲を 皆さんに投票していただき、その傾向を把握することが大きな目的でした。 24曲通して演奏することを前提としている以上、各曲は大曲の1要素としての役割を担っていると考えるべきで、 詩情豊かな作品、何となくあっという間に終わってしまう経過句のような作品、 激しくドラマチックで技巧的な難曲、何となく訳が分からないような作品と、 各曲が大曲中の1つのモチーフとして働いていると考えると、それを分断して独立に扱うのは 24の前奏曲の本来の聴き方、弾き方、扱い方ではないような気もしますが、一応、短いながらもそれぞれ 様々な性格を持つ魅力的な小品であり、アンケートの対象としても興味深い題材ではないかと思います。 また今回のアンケートでは、24の前奏曲に加え、第25番嬰ハ短調Op.45、第26番変イ長調遺作も対象曲に加えました。 これは2曲とも、特に25番Op.45が素晴らしく魅力的な楽想に満ち溢れた名曲で、対象曲から外してしまうのが あまりにも惜しいと思ったからです。
2.集計結果 (有効回答数 57票)
(投票ミスと思われる票、同一の方の重複投票は除きました)
表・及びグラフの説明 各曲の得点は、下記の式に従って算出しました。 得点 = 1位票数×6 + 2位票数×5 + 3位票数×4 + 4位票数×3 + 5位票数×2 + 6位票数×1 各順位の配点への重み付け(得票数に乗じる値)は、1位6点〜6位1点と、人為的に決めているので、 ここで出した得点には大きな意味はなく、順位はあくまで「参考値」であることをご了承下さい。 各曲の総合得点がどのように分布しているか、視覚的に分かるように、グラフを作成しました。 参考にしていただければと思います。 ※表中の番号はプレリュードの通し番号(例:「5」はプレリュード第5番)。24の前奏曲Op.28は通し番号1〜24で、 「25」はプレリュード嬰ハ短調Op.45、「26」はプレリュード変イ長調遺作、です。
3.管理人コメント
アンケート期間中、皆さん1人1人の投票をその都度眺めていると、
第1位:プレリュード第24番ニ短調:得点146
結論その1:やはり強かった!16番、24番の二大難曲プレリュード!難曲プレリュードの8番も6位と健闘 これが、僕が集計結果を見て感じた第一印象でした。結構僕にとって嬉しい結果でした。 僕の票はこの集計結果には含めていませんが、一応、アンケート送信テストを兼ねて投票した僕の票は、 1位〜6位まで、順に、25番、17番、13番、24番、8番、16番となっていて、 順位こそ違いますが、いずれの曲もこの中に入っていました。 自分のお気に入りの曲が、多くの人にも好かれているというのは嬉しいことですよね。 皆さんはどうだったでしょうか?自分のお気に入りのプレリュードの得票数はいかがでしたか? それはともかく、今回のアンケートでの順位付けも人為的な要素が入ってしまっていますが、 得点を見ると、1位の24番:146点、2位の16番:144点が、3位の17番:115点を大きく引き離しており、 公平に見ても、この上位2曲が「ぶっちぎりの人気」と判断しても良いのではないか、と思います。 この2曲は、いずれもショパンの24の前奏曲の中では最もドラマチックで疾風怒濤、最も高度なテクニックを要する難曲で、 このような激しい曲が上位を独占したという現象は、極めて興味深い結果と言うべきだと思います。 プレリュード8番は、激しさこそこの2曲には及ばないながらも華やかな難曲ですが、 6位と上位に入りこみ、やはり予想通りの人気の高さと思いました。 今回のアンケートでは、唯一タイトルが付いていて、誰もが知っている「雨だれの前奏曲」が、 果たして本当に人気があるのかどうかも興味があるところでしたが、 さすがにトップではなかったものの、4位と、堅実で根強い人気を持っていることが再確認できました。 よくある現象として、曲の内容が今一つでも人気だけが独り歩きしてしまうということが往々にして起こり得ますが、 雨だれの前奏曲は決してそうではなく、24の前奏曲を聴き込んだ人でも、その中で特に好きな曲として挙げる人の多い、 正真正銘の名曲だということなのだと思います。 そして、上位には、24の前奏曲の中でも特に詩情豊かな17番と13番がそれぞれ3位、7位、 そして24の前奏曲から外れたマイナーな25番(嬰ハ短調Op.45)も5位に入り込みました。 いずれも音楽性豊かな名曲で、僕にとってはこの3曲がプレリュードのトップ3ですが、 一口に「音楽性豊か」と言っても、これらの3曲ではその意味合いが少しずつ異なっています。 13番がマジョルカ島への静かで幸せな船旅を想起させる穏やかで恍惚とした曲想であるのに対し、 17番はもっと振幅が大きく、よりはっきりとした主張を持ったドラマチックでスケールの大きい作品であり、 曲想的には似ていないにもかかわらず、どちらも24の前奏曲の抒情的側面からみた場合、 最も魅力的な曲想を持つ作品と個人的には考えています。 抒情的な傾向が顕著な曲として、有名な雨だれの前奏曲とともに、この2曲が上位に入ったという事実は、 この2曲の一般的な評価の高さを裏付ける事実とも言えそうです。 そして、意外に知られていないマイナーな第25番嬰ハ短調Op.45が見事第5位に入ったのは この曲が特にお気に入りの僕にとって嬉しい事実でした。集計結果を見るまでは、正直なところ、 ここまで善戦しているとは思っていませんでした。というのは、この曲は「24の前奏曲」には入っておらず、 CDや演奏会で聴く機会が「24の前奏曲」と比べて少なく、ともすると「忘れられた存在」になりがちだからです。 しかし、この曲を一度でも聴いたことがある人であれば、この曲の曲想は非常にユニークかつ印象的で、 ショパンのあらゆる作品の中でも特異な存在であることを強く実感したのではないかと思います。 嬰ハ短調で始まり最初の調性感は濃厚ではあるものの、静かな流れの中で目まぐるしく遠隔転調を続け、 希薄な調性感の中であらゆる調性の間を浮遊し、今あるこの世界から、「幻想の世界」へと 連れて行かれては戻ってくる、白昼夢を見ているかのような錯覚さえ覚えるほどです。印象派の音楽とは少し違いますが、 この曲が作曲された時代を考えると、ショパンの感覚の斬新さや独創性は、驚異と言うほかないと思います。 そしてそのようなものを表現する楽しみこそ、ピアノを弾く醍醐味であり、 この曲の表現を追求することが僕にとって最も大きな楽しみだった一時期もあったため、 僕の中では26のプレリュードの中でトップという位置付けになっています。 かなり個性的な好みとは思いますが、トップとはいかなくても、この曲が5位に入ったことは、 この曲の特殊性やマイナー性、位置付けを考えれば、むしろ意外な健闘と言ってもいいのではないかと思います。 第8位に第1番ハ長調が入ったのは「順当」というべきか「意外」と言うべきか迷うところですが、 CDで「24の前奏曲」を通して聴こうとすると、必ずこの曲から始まるわけで(当たり前ですが)、 それだけ耳に触れる機会が多く、印象に残る確率が高いという「トップバッター」としての「運の良さ」も あるのかもしれないと思います。曲自体の内容は、ハ長調という調性から一度も転調することなく、 ハ長調に終始する30秒足らずの短い作品で、しかもほぼ同じ音型の繰り返しで構成されているにもかかわらず、 音楽的な感興に満ち溢れており十分なクライマックスを築いていることなど、ショパンの非凡な才能に 驚嘆せずにはいられない作品で、24の前奏曲の最初を飾るに相応しい魅力的な作品と思います。 その他の曲について言及していくときりがないので、気付いたことをピックアップします。 まず、第4番ホ短調と第6番ロ短調は、いずれも「雨」を連想させる悲しげな曲調の作品で、ショパンの葬儀でも 演奏されたことがある作品という意味でも「対等の立場」とも言えそうな2曲ですが、第4番ホ短調が9位、第6番ロ短調が24位と、 大きく差が開きました。僕は個人的には4番の方がずっと好きですが、いずれにしてもこの2曲は どちらもあえて積極的に上位6曲に選ぼうとは思わず、正直、ここまで差が開くとは思っていなかったので意外でした。 それから、胃腸薬のCMの影響で日本人なら誰もが知っている第7番イ長調が果たしてどの程度の人気があるのか、 というのも、雨だれの前奏曲の人気とは違った意味で、興味のあるところでした。 結果は26位中14位でちょうど中間といったところで、これを予想よりも高いと見るか低いと見るか、意見が分かれそうですが、 個人的には、この曲よりももっと票を集めてもよいと思う曲が多いので、「予想よりも意外に高かった」と思っています。 その他、短い中に「詩」を感じさせる軽やかで感興豊かな第11番と、音楽的な魅力に満ち溢れた詩的で難易度の高い第19番は、 ともに音楽的に魅力的な作品で、これらが10位、11位と比較的上位に入ったのは「順当」と言うべきではないかと思います。 意外だったのは、第3番ト長調と第5番ニ長調がそれぞれ19位、17位と振るわなかったことでした。 第3番ト長調は左手のエチュードと言っていいほど地味に技巧的ですが、軽快かつ優美で音楽的に魅力のある小品で、 一方第5番ニ長調は右手と左手がともに広い音域を無窮動的に動き回る難易度の高い軽快な小品で、 ともに僕にとってお気に入りの作品で、両曲とも個人的に26曲の序列を付けると平均よりは上にしたくなりますが、 予想に反し、人気が今一つでした。24の前奏曲の中でも人気がない方なんですね。 そして、最後に「残念ながら」予想が的中してしまったのが、最下位26位となった第2番イ短調です。 最後の最後になるまで「イ短調」という調性さえ分からないほど「意味不明」の不気味な音楽で、 多くの人にとって「何が言いたいのかさっぱり分からない」という謎度(?)の高い作品とも言われます。 僕もこの曲を積極的にお気に入りの6曲の中に入れたいという気持ちにはなれないのですが、 これは「24の前奏曲」が独立した小品の集合体というよりも、1つの大きな作品を意図して書かれたものだということを 考えれば、致しかたないものと思います。この2番があるからこそ、次の3番の軽妙さや清々しさが際立つわけで、 あくまで構成や次の作品へのつなぎ、効果を意識したものと解釈すれば、その作品単独での評価を求める方が 「酷」だったかもしれないとも思います。 それよりも、この曲が得点ゼロという結果をかろうじて免れたことだけが アンケート実施者にとって大きな救いでした。この曲に敢えて票を入れて下さった2人の方は、 「こんなアンケートをしたら、2番がかわいそうじゃないか」という無言のメッセージを僕に送ってくれたのかもしれませんね。 こうしたことは、25位となった第10番嬰ハ短調、22位となった第18番ヘ短調にも言えそうですね。 こんなところにも、参加者の方々のショパンの作品への愛情、いたわりを感じる、と言ったら、 深読みしすぎでしょうか? プレリュードというのは、24の前奏曲に関して言えば、1つ1つの作品が独立した小品ではなく、その意味で、このようなアンケートを 行う企画そのものに多少の無理はあったようですが、57人の方々のご協力のおかげで、皆さんの好みの平均的な傾向は おおよそ把握することができました。皆さんも、この結果を繰り返し眺めてみて、ご自分の好みと照らし合わせながら、 色々考えてみると、自分の音楽的な好みの個性や普遍性、今まで見えなかった自分自身の音楽性に気づく良い機会になるかも しれませんね。
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