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サンソン・フランソワ(SANSON FRANCOIS, 1924〜1970, フランス)

 
サンソン・フランソワはフランス生まれの天才芸術家肌のピアニストです。彼は多くの作曲家の中でショパンを最も得意とした 文字通り「ショパン弾き」でした。しかし、他の多くのショパン弾きとは異なる独自の路線をつき進んだ 孤高のピアニストでもあります。

フランソワは幼いころから異常なまでの神童ぶりを発揮していたようですが、彼は19歳のとき記念すべき 第1回ロン=ティボー国際コンクールで優勝し、既に彼を「天才」と認めていたコルトーの予想通り、 その後、センセーショナルな話題を巻き起こしました。

フランソワの弾くピアノは、技術一辺倒の他の多くのザッハリッヒは表現を聴かせるピアニストとは 大きく異なり、独特の感性に裏付けられたイマジネーション豊かなもので、そのファンタジー・ポエジー がときに異常なまでの「冴え」を伴って、聴く人に迫ってくる演奏です。その演奏のあまりの陶酔ぶり、 没頭ぶりは、賛否両論ですが、これほど己の信じる芸術に没頭し、常識の演奏スタイルを一切省みない 個性的な演奏を聴かせてくれるピアニストは、フランソワただ1人と言っても過言ではないようです。

彼は、その異常なまでの天才性と常軌を逸した演奏スタイルからも伺えるように、決して幸福な人生 ではなかったようです。ショパンの録音に関しては、「マズルカ全集、バラード、スケルツォ全曲」に 代表される1950年代前半のモノーラル録音では、その天才肌の闊達なルバートと狂気乱舞、猛り狂う ほどのピアノ演奏への没頭ぶりにより、聴く人の感情を揺さぶるデモーニッシュな表現となっており、 この演奏を聴いて、思わず涙を流してしまったり、気が狂ったように踊りだしたくなってしまったのは 僕だけではないと思われます。
しかし、彼の晩年の録音として代表的な1968年録音のポロネーズ集では、彼の独断と偏見がより色濃く 現れており、その自己の苦悩を伝えんとするような、独特のルバートを伴った異色のポロネーズは、 もはやポーランドの誇り高き民族舞曲ではなく、彼の内面を映し出す鏡であり幻想曲といった趣で 聞こえてきます。

彼はこの録音から2年後、1970年に46歳という若さで他界しましたが、彼はその生涯に、ショパンの主要作品 のほぼ全てを網羅した録音を残しており、この夭折の天才の記録は、今日、ショパン・ピアノ演奏史上 類型を見ない個性的でユニークなショパン演奏として、光り輝いています。その録音を通して この不幸な生涯を送った破滅型のピアニストの真に芸術家肌、天才肌の演奏に、じかに接することができるのは、僕たち ショパン愛好者にとって最大の幸福と言えるでしょう。

フランソワのショパン

フランソワのショパン(分売)

ノクターン&プレリュード集(2枚組)

ワルツ集

エチュード(練習曲)全曲

バラード&スケルツォ全曲

ポロネーズ集

ピアノ協奏曲第1番&第2番

マズルカ&即興曲集

ピアノソナタ第2番&第3番

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