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ピアノ練習法・上達法〜誰も教えてくれなかった上達の方法

〜1曲を仕上げていく過程その1〜譜読み・音取りの際に気を付けるべきこと〜
仕上げの完成度を上げるために
皆さんは初めて取り組んだ曲が徐々に弾けるようになっていく過程について考えたことはありますか? 皆さんは、どのような段階を踏んで、1曲が弾けるようになっていくでしょうか? それを改めて振り返ると、曲の仕上げの完成度もレベルアップできる可能性があります。 ここではそのことについて説明します。

1曲を仕上げていく最も一般的な過程
多くのピアノ学習者の方は、1曲を弾けるようにしていく過程について詳しい説明を受けることなく、 ただ何となく漫然と楽譜を読んで音取して、徐々に通せるようになって、最後は暗譜で、 というような流れ作業をしているのではないかと思います。 そこに問題があるのではなく、各段階での意識の持ち方が、仕上げの完成度を上げるために大切なのですが、 そのことを強調している人が少ないので、あえてここでそれを取り上げようと思います。 まず、1曲を仕上げていく最も一般的な過程について次に示します。

1. ピアノの譜面立てに楽譜を置いて、楽譜を読みながらピアノで音を出してみる(音取り)
2. 音取りで間違った音が出たら、正しい音が出るまで修正する。
3. 手が正しい音だけをたどれるように楽譜を見ながら、1つずつ確実に音を拾うようにゆっくり弾く。
4. 間違わずにゆっくり弾けるようになったら、少しずつテンポを上げていく。
5. 1〜4の作業を曲の次の区切りまで行う。
6. 楽譜を見ながら、遅いテンポで何とか止まらずに弾き通せるようになる。
7. テンポを上げる。
8. 苦手箇所を克服する。
9. 暗譜して総仕上げをする。

こんなところでしょうか?
それでは、上に列記したそれぞれの段階について考察を加えることにします。 まずここでは、1.と2.に関して、「譜読み・音取りの際に気を付けるべきこと」について述べたいと思います。

1. ピアノの譜面立てに楽譜を置いて、楽譜を読みながらピアノで音を出してみる(音取り)
2. 音取りで間違った音が出たら、正しい音が出るまで修正する。
皆さんはある曲が課題に出されたら、その楽譜を手に入れて、早速その楽譜を譜面台に立てて、 ピアノに向かって音取りの作業を始める方が多いのではないかと思います。 というより普通はそうですよね。その作業に疑問を持っている人は少ないと思います。 そのとき、音取りで間違った音を出すことも当然あると思います。 ただその瞬間、間違った音を出したと認識できなかった場合、それが最終的に自分で正しい音を弾いていると勘違いして、 そのまま弾き続けることになって、誰からも指摘されることなく半永久的に勘違いをおかしてしまいます。 もう1つの弊害は、間違った音を出したと脳が認識できたとしても、間違った音を出すという行為を犯したという「履歴」が、 脳に一度刻み込まれてしまうという現象が起こることにも問題があります。 その間違いは直ちに修正されて正しい音に置き換わろうとしますが、 厄介なことに、一番初めに間違った音を出したことを、脳がご丁寧にも覚えていてくれて、 正しい音を出そうとしても、一番最初に弾いた間違った音を勝手に弾いてしまうということが起こり得るわけです。 そうすると、それを直すためには、その部分は他の部分以上に正しい音で弾く意識を強く持って、 何度も繰り返ししつこく弾いて記憶を定着させる作業が必要になってしまいます。 あるいはその作業をせずに漫然と弾いていると、その部分は曲の中の「間違いやすい部分」として、 顧みられることなく「キズ」となって残ってしまっているケースも、よく見かけます。 皆さんが曲の中でミスタッチしやすい、というより必ずミスタッチしてしまう部分を抱えているとしたら、 そのそもそもの原因は、実は最初の音取りの段階にある場合も多い、という事実を知るべきです。 おそらくそんなことまでは覚えていないと思うので、どうしてその部分が上手く弾けないのか分からないまま、 ここが苦手だけどまあいいか、と放置している人も多いと思いますが、 そのそもそもの原因が一番最初の譜読みの段階でのミスにあるとしたら、 そこから考え直そうという気持ちになるのではないでしょうか? そうです。ここで気を付けたいのは、ずばり、
譜読み・音取りの段階で、できるだけ間違った音を弾かない。
です。間違った音を全く弾かないというのは極めてレベルの高い要求ですが、 僕はそこまでのレベルを皆さんに求めるわけではないです。 そういうことを意識してほしい、そしてそれを意識するだけで譜読みや音取りの間違いの数は劇的に減って、 そういうことを意識しない場合と比べて、曲の仕上げの完成度が上がる、 それを積み重ねていけば、意識しない場合と比べて、数か月後、数年後には劇的な演奏レベルの差を生み出す、 ということが言いたかったわけです。 見方を変えれば、楽譜を速く正確に読める力、究極的には優れた初見能力を持っている人は、 曲を仕上げる上で、それだけ技術的にも有利なスタートラインに立てるということです。 ただ、これは一朝一夕には身に付かないもので、速く正確に譜読みができる能力は、 たくさんの曲を弾く過程で徐々に身に付いていくもので慣れの要素が大きいため、積み重ねが大切です。 大切なことは、今持っている能力で、上に述べたような意識を持ちながら、最初の段階から、 正しい音で弾こうという意識を持って、集中して音取り作業をすることです。 それを意識するのとしないのとでは、やがて大きな差を生み出します。そのことを肝に銘じていただきたいと思います。

次項では、「1曲を仕上げていく過程その2」として、楽譜を見ながらゆっくり確実に弾くことの重要性について述べたいと思います。

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