ピアノ練習法・上達法〜誰も教えてくれなかった上達の方法 | |
〜ピアノのペダリングの基本〜
ピアノで音を出す基本的なメカニズム ここではピアノのペダルに焦点を絞って説明していきたいと思いますが、 それを理解するためには、ピアノという楽器が音を出す時の基本的なメカニズム、ピアノの構造について 最低限の知識が必要です。ここではまず初めにピアノという楽器の成り立ちとピアノの構造、メカニズムについて簡単に説明します。
ピアノという楽器が発明されたのは1700年前後(クリストフォリによって発明)とされ、その前身はチェンバロでした。 チェンバロもピアノと同様、鍵盤楽器ですが、音を出すメカニズムが異なります。 チェンバロの場合、鍵盤を叩く(打鍵する)と、それに対応する弦を「ひっかく」ことにより音が出る仕組みで、 そのメカニズムの都合上、打鍵の強さによって音の大きさを変えることが基本的にはできない仕組みになっています。 従ってダイナミクスの幅が付けられない分、表現力は自ずと制約されることになります。 これを発展させて鍵盤をひっかくのではなくハンマーで叩くように改良することで、 鍵盤楽器はピアノからフォルテまでの幅広いダイナミクスを付けることが可能となり、 当時はそのような楽器の特徴から、この鍵盤楽器は「ピアノフォルテ」と呼ばれていました。 今現在もピアノ伴奏のことを、"pf"と記すことがあるのは、その名残です。 その後、この「ピアノフォルテ」がチェンバロの地位を奪い、鍵盤楽器の主流となるに伴い、 楽器の名前が簡略化されて「ピアノフォルテ」→「ピアノ」となり、現在に至っています。 このような経緯があること、そしてピアノというのは弦を叩くことにより音を発生させるという仕組みになっていることは 最低限知っておかなければなりません(ピアノを弾く皆さんにとっては当たり前すぎる話で、まさに「釈迦に説法」だとは思いますが)。 ピアノの鍵盤を叩くとその動きがハンマーに伝えられて弦を叩き、弦を振動させることにより音が発生する仕組みで、 弦の長さ、太さ、張力により音の高さが決まります。音の高さは弦の振動数に対応するもので、 例えば基準のA(ラ)音は440Hzといった具合です。 弦に与える衝撃が大きいほど強い音が出ますが、これは打鍵する物理的な衝撃の大きさによって変えることができます。 この音の強さは弦の振幅で規定されます。打鍵した瞬間、弦の振幅は最大となり、以後は弦の振幅は減衰する一方です。 このためピアノでは管弦楽や声楽のように同じ音を弾きながらクレッシェンドするということは物理的に不可能であり、 いやそれだからこそ、そのはかない響きが魅力的で個性豊かな楽器であるとも言えます。 ピアノという楽器が音を発生するメカニズムについて、一応ここまでのことを振り返っておけば、 ピアノのペダルの話が非常に分かりやすくなると思います。
ピアノのペダルとは? ピアノを弾かない人の中には「ピアノには足で踏むペダルが付いているようだけど、あれは何だろう」と気になる方もいるようです。 ペダルを踏まなくても鍵盤を叩けば音は出るのに、ペダルは何のために使うのだろう、という疑問があるようです。 しかしピアノにペダルがなかったら、表現の幅は非常に狭いものとなり、非常に味気ない楽器となってしまいます。 まさにペダルがあるからこそ、ピアノの表現力は無限に広がるわけです。 そんなわけで、ここではピアノのペダリングについて詳しく見ていきたいと思います。
ピアノのペダルの数と種類 まずペダルの数ですが、アップライトピアノの場合は3本あり、グランドピアノの場合は現在の主流は3本ですが、 古いグランドピアノでは2本のこともあります。 一番右のペダルの機能は同じですが、それ以外はグランドピアノとアップライトピアノとで機能が異なるので、 ここでは便宜上分けて説明します。
1. グランドピアノの場合
右ペダル:ダンパーペダル
右ペダル:ダンパーペダル
中央ペダル:ソステヌートペダル
左ペダル:シフトペダル(Una corda:ウナ コルダ)
2. アップライトピアノの場合
右ペダル:ダンパーペダル
右ペダル:ダンパーペダル
中央ペダル:消音ペダル
左ペダル:ソフトペダル この中で右ペダルの機能は特に重要なので、それも含めてこの後、別に項目立てして詳しく説明していきます。 また足ペダルとは別に「フィンガーペダル」というものもありますが、これも別の機会に説明したいと思います。
初稿:2016/02/03
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