時間と季節、場所による見え方の違い −天体の日周運動と年周運動−
 時間ごとに見える位置が移動していく日周運動

 地球は西→東へ1日に1回転しています。
この回転を“自転(じてん)”といいます。
そのため、太陽が東から昇って西に沈むように見えるわけです。
同じように、星も東から昇って西に沈みます。

 つまり、星や太陽が移動しているのではなく
地球が西→東へ自転しているので、星や太陽が移動しているように見えるのです。
この天体の動きを“日周運動(にっしゅううんどう)”といいまます。

 左の図は、地球の自転によって、見える星座が変化する様子(3月下旬ごろ)を表しています。夕方はオリオン座などの冬の星座が見え
→夜中になると、しし座などの春の星座
→明け方にさそり座などの夏の星座が見えるようになります。
ペガスス座などの秋の星座は、昼間の(太陽の)方向にあるので、見ることができません。 
 

3月中旬ごろの日周運動の様子

上の星図は、05年3月中旬の21時、0時、3時に見える星空を表したものです。

21時:

冬の大三角は西の空に傾き、東の空には春の星座と木星が見えています。

0時:

冬の大三角は西へ沈んでしまいました。21時に東の空に見えていた木星や北斗七星が天頂高く昇ってきました。

3時:

北斗七星や木星は西へ傾き、東の空には夏の大三角が昇ってきました。

 東から昇った星々が、時間とともに東→西へ日周運動をしている様子がわかるとおもいます。 

そしてもう一つ、北の空のの日周運動に注目してみてください。

北斗七星が北極星を中心にして日周運動をしている様子がわかるとおもいます。
北極星は地球の自転軸がある北極の真上に見えているため、時間が経っても他の星のように殆ど日周運動をしないのです。

 つまり、北半球で見られる天体は、北極星を中心に日周運動をしているのです。

 


 季節ごとに見える星座が変わる年周運動

 地球は太陽を中心にして、そのまわりを1年(365日)で1周しています。
これを(ある天体が他の天体のまわりを回る現象を)“公転(こうてん)”といいます。

 左の図は、地球の公転とそれによって見える星座の関係を表してみました。
春と秋、夏と冬では地球の位置が太陽を挟んで反対側にあります。
太陽のある方向は太陽の光を浴びて昼間となるの、太陽の方向にある星座は見ることができません。

 地球が公転することで、春はしし座などの春の星座、夏はさそり座等の夏の星座、秋はペガスス座などの秋の星座、冬はオリオン座などの冬の星座が見る位置に地球が移動していきます。
これにより、季節ごとに見える星座が変化していくというわけです。

 地球の公転によって、同じ星が毎日約4分ずつ早くす昇り、4分ずつ早く沈んでいます。
1ヶ月後には約2時間、1年で24時間早くなり、ちょうど1年で1周するようになります。
このような星の動きを“年周運動(ねんしゅううんどう)”といいます。

 年周運動によって、同じ時刻ても見える星座が違うようになります。
下の星図に12月、2月、4月の中旬、時刻は20時ごろに見える星空の様子をあらわしてみました。

 12月20時:

ペガスス座やうお座などの秋の星座が西の空に傾き
オリオン座をなどの冬の星座が東の空より昇るようになります。
秋が終わり、冬の訪れを感じるようになります。

 

  2月20時:

オリオン座やふたご座などの冬の星座が空高く輝いています。
星図を見えいるだけでも、凍てつく寒さを感じる季節です。

 

   4月20時:

冬の星座達は、西空低傾きました。
そして東の空から、しし座やうしかい座などの春の星座が見えています。
そろそろ桜の開花が気になる季節です。

 


緯度によって見える天体と見えない天体

地球上の位置を示すのに、緯度と経度という座標を使います。
緯度とは、赤道を基点(0度)として
北に90゜(北緯)、南に90度(南緯)の角度で示したものです。
もう一方の経度とは、イギリスの旧グリニジ天文台を通る子午線を基点(0度)として
東に180度(東経といいます)、西に180度(西経といいます)の角度で示したものす。
例えば、東京の新宿の位置を座標で示すと、北緯35度41分・東経139度42分という感じです。

北極星は北極(北緯90度)の上空で輝いているので
北半球では、その土地での北極星の高度が緯度と同じ数字になります。
東京付近は北緯35度なので、北極星の高度は35度。
赤道上では、緯度が0度なので、北極星の高度も0度という具合です。

天体は北極星を中心にして日周運動を行っているので
緯度(北極星の高度)が違うことで日周運動も違うようになります。
下の図に、緯度の違いによる日周運動の違いを示してみました。

北極付近の日周運動

北極星は天頂付近に見えます。
天体は北極星を中心にして、反時計回りで地平線と平行に日周運動をします。

地平線が天の赤道となるので、南天の天体は見ることができません。

北半球の日周運動

北極星は、緯度と同じ高さに見えます。
(北緯35度の土地では、北極星の高度は35度となります)

天体は北極星を中心にして日周運動をします。
天の北極付近に位置する天体は、反時計回りで円を描くように日周運動をします。

北極星の高度が低くなることで、南天の天体の一部が見えるようになります。

赤道付近の日周運動

北極星の高度は0度となります。

天の赤道が天頂付近に位置するので、北天、南天すべての星座を見ることができます。

南半球の日周運動

北極星は地平線下に隠れてしまい、昇ることはありません。

天体は、天の南極を中心にして、日周運動をするようになります。

北半球に住む天文ファンの憧れである南天の天体が、天高く昇ります。

 

緯度によって北極星の高度が違うことによって、全天のうちの見える範囲も違うようになります。

下の図は、日本がある北半球(北緯35度付近)、赤道付近、オーストラリアがある南半球(南緯35度付近)で同時刻に見える星空を示してみました。
星図中にある赤い線は、天の赤道です。
違いをわかりやすくするため、夏の大三角、さそり座、いて座を表示してみました。

北半球(北緯35度付近)
東京付近(東京と同緯度の地域)で見られる星空です。

北極星は北の空に35度の高さで見えています。

夏の大三角が空高く見えています。
中でも夏の大三角の西側で輝いているベガは、天頂付近で輝いています。

南の空では、地を這うさそり座をいて座が追いかけているように見えます。

赤道付近
赤道上にある地域で見られる星空です。

北極星の高度は0度となります。

夏の大三角は、北緯35度で見られる星空と比べると北側へ見えています。
夏の大三角の南側で輝いているアルタイルが、まもなく天頂付近を通過するようです。

南の空のさそり座やいて座の高度が高くなり、見慣れない南天の星座が見えるようになります。

 

南半球(南緯35度付近)
オーストラリアの首都、シドニー付近(シドニーと同緯度の地域)で見られる星空です。

北極星は北の地平線下に隠れて、1年を通じて昇ることはありません。

夏の大三角は北の空低く見えるようになります。

北緯35度付近では、南の地平線を這うように見えていたさそり座といて座は、空高く天頂付近に見えるようになります。

南の空では、天の南極が、35度の高さに見えています。


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