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MAINTENANCE

南海バックスライドハブ(解体編)
最初に工具を準備します。特に南海ハブコーンスパナ (もしくは24mmの薄形スパナ)は必需品です。以下名称は南海のバラパーツ名と違ってる部分もあります。
再組み付けする時のためにグリスも用意しましょう。 特にこれでないといけないわけではないですが、一応ハブ用の低粘性グリスのようです。「使ってみたい」という理由だけで グリスガンも買ってみました。狭い部分に適量つけるにはいいです。広い範囲につけたい時はイライラします。 そういう時はチューブからとって指でつければいいので問題ないです。
解体する前にシャフトの飛び出し量を測定しましょう。 左右ほぼ均等になるようにした方がいいので測定しておきます(写真は組み付け前の長さ確認時の写真を載せています)。
中身がどうなっているかわからないと解体するのが 心配な人もいるでしょう。解体作業前にまず中身がどうなっているかだいたい把握しておきましょう。写真のような構成になっています。 心配な人はデジカメで撮影しながら解体するといいと思います。
私が中古で購入したものは14mmシャフトなので 写真のようになっています。3/8''のシャフトにキャップ状にかぶせて14mmにしているだけです(ただし最新の14mmシャフト は構造も変わり、全体が14mmサイズになっているようです)。
右側のコーンを外します。因みに14mmのアダプタが 付いたままになっているのは単にこっち側がなかなか外れなかったのでそのままついているだけです。
コグドライバを外します。リティナ(ベアリング) が取り出せます。コグドライバの一端はヘリカル(螺旋)ギアが切られていますから回しながら外します。逆に再組みするときは ヘリカルギアをかみ合わせるように組むことになります。
通常上の工程までで、シャフトが左側から抜けますが、 ここでは構造を確認するためにあえて先に左側ナットを外してバラしてみます(ばらしたことの無い人は普通にシャフトを抜いた方 がいいです)。左カバーとワッシャがクラッチコーンと左ナットに挟まれて固定されています。通常ここはガッチリ固定しておきます。 ハブにガタが出た場合、バラさなくても調整できますが、この部分がゆるんでガタが出た場合はバラさないとダメです。
クラッチコーンと左ベアリングです。再組み付けするために ベアリングの方向を確認しておきますが、ボールの軌道面はカップ&コーンで形成されていて外に当たる方がカップ側に向いている必要が あるので、単に写真だけで覚えるのではなく機能で理解しておきましょう。
クラッチコーンの一端にはクラッチスプリングがついています。 このスプリングがクラッチの動きを規制する重要な働きをします。また右の方にスペーサ、クラッチが見えています。次の写真で形状がわかります。
スペーサとクラッチです(位置関係に注意)。このクラッチが ハブのハウジングの内部のテーパと密着すると駆動力を伝達し、離れるとフリーの役割をします。
本来はコグドライバ側を先にシャフトから外しておくのですが、 位置関係がわかるようにあえてこの形にしておいて説明します。コグドライバの一端はヘリカルギアになっています。
コグドライバの右側にもリティナ(ベアリング)があります。 合計3個のベアリングで構成されています。全てボールの軌道面はカップ&コーンなのでそのことを理解するとともに写真でベアリングの方向 を把握しておきましょう。
ハブのハウジング側も見てみましょう。コグドライバ側のハウジング内部です。 ベアリングのボールが当たる軌道面(カップ)を確認しましょう。キズがないか見て古いグリスは洗浄しましょう。
クラッチコーン側のハウジング内部です。バックスライドハブ の機構を理解する上で重要なクラッチが当たるテーパ面を確認しましょう。シャフト側部品だけ見てても機構は理解できません。軌道面、クラッチ が当たる面のキズを確認するとともに古いグリスは洗浄しましょう。
ここでクラッチの機能を確認しましょう。クラッチの溝は クラッチスプリングと嵌合(かんごう)しています。この写真ではクラッチがコグドライバ側から離れているのですが写真にはないハウジング のテーパがクラッチと離れているということの方が機能上重要です。つまりこの状態ではタイヤが回転してもクランクが回されない状態です。 例えばペダルを漕いだ後でペダルの回転を止めるとリムは惰性で回転を続けようとしますからクラッチがハウジングによって前方に回転します。 そうするとクラッチはヘリカルギアに沿ってハウジングのテーパから離れるように動くのでリムが進行方向に回転してもリムとコグはクラッチに よって接続されずクランクは回されないことになります。これがフリー機能です。またアンクルデスのようにフリーが機能している時にリアタイヤ が後進方向に回されてもハウジングとコグはクラッチによって接続されずクランクは回されないことになります。これがバックスライドハブ機能です。
この写真ではクランクが前進方向に回されてコグドライバに 前進方向の力が加わった状態(多少オーバーにやってる)です。ヘリカルギヤの働きでクラッチがコグドライバ側に寄せられています。 つまりハウジングのテーパとクラッチが密着している状態になるのでコグドライバに伝わった力がハウジング(つまりリム)にも伝わって前進します。 リムが後ろに回るとコグも回りそうな気がしますが、クラッチスプリングが縮められる方向に作用しその反力でクラッチにコグから離れる方向の力が 加わりクラッチがハウジングから離れてクランクが逆回転しません(多分この説明でいいはず)。つまり、コグに前進方向の力が加わっている時に リムを逆回転させると、クラッチがハウジングから離れるまでは若干クランクが逆回転してしまうことがあります。
洗浄の様子です。ダ○ソーで買った容器に入れて洗ってみました。 この容器は2重構造になっていて内側の網状のバスケットを持ち上げると部品だけが液から出せて便利です。洗浄液は今回はエタノール (消毒用アルコール)を使ってみました。エタノールは水、油とどんな割合でも良く混ざる性質があり洗浄には良いかな?と思って使ってみました。
市販のスプレー式パーツクルーナーを使うという手もあります。 ハウジングの洗浄もあるので持っていた方がいいでしょう。シャフトやコグドライバは狙って噴射すると洗浄しやすいでしょう。前のオーナーが ファミリープロダクツの低粘性オイルを使っていたのでグリスまみれではなく洗浄しやすかったです。古いグリスは落としておきましょう。
再度組み付ける時に困らないようにデジカメで写真を取りながら バラすか、バラした順番に並べておくといいでしょう。