「痴漢冤罪」報道を考える 2002年12月21日に朝日新聞朝刊第3社会面に『「痴漢無罪」粘り強く立証 苦闘2年返らぬ時間』という大島大輔記者の特集記事が掲載された。それによると、迷惑防止条例違反で痴漢として摘発された男性は全国で年間4千人を超え、10年間で5倍に激増したという。 痴漢行為が増えているという見方もあるが、私はむしろ、一つには被害を受けながら今まで黙っていた女性が、人権意識の高まりの中で、被害を訴える傾向が出て来たこと、もう一つは警察の取り締まりの強化の現れであるように思われる。 痴漢行為が被害者の女性に深い心の傷を与える重大な犯罪であることは、被害者の訴えからも明らかであるだけでなく、犯罪性が法的に認められているのだから、そういう行為を犯した人間が正当に罰せられることは当然のことだろう。また、今まで沈黙を守っていた被害者が声を上げるようになったことは新しい時代の証しであり、それ自体はむしろ評価すべきことだと思う。 だが、数多くの痴漢行為の容疑者が逮捕、起訴される中で、冤罪事件も多く発生し、人間的な誇りから、損得を度外視して無罪を訴えた人々が無罪判決を得た後も、結果的には社会的、経済的に取り返しのつかない大きな打撃を受けている現実にも、もっとメディアは目を向ける必要があるのではないか。(2003年2月19日) >>全文を表示する |
(バックナンバーはまだありません) |
記者クラブ制度改革論 インターネットの普及や情報公開法の施行など高度情報社会化が進む中で、記者クラブによる記者室の独占的な利用など便宜供与の問題や、記者会見の主催権、クラブあるいは記者会見の閉鎖性などをめぐって、記者クラブ問題が一部の地方自治体で再燃、日本新聞協会は二〇〇二年の初頭に向けて、問題解決のため新しい方針の策定を急いでいる。 |
(1) ロバート・キャパ展を見て考える |
◆ ◆ ◆ |
(4) 法廷写真取材の行方 |
(2) 記者の証言拒絶権をめぐって | (5) 実名報道の理念と問題点 | |
(3) 言論人の国会喚問について | (6) 再燃した記者クラブ問題の争点 |
楽しく実り豊かだったゼミ合宿 2003年8月9日から2泊3日の日程で御宿の専大セミナーハウスで開催した情報メディア研究権田ゼミ合宿には、教員と学生11名が参加した。 |