平成10年11月28日(土)〜
フォーラム「小説工房談話室」には、二ヶ月ほども、新人が現われませんでした。
発言は、三日間で二つ、というペースです。この半分が私となのはなさんで占められていました。
淋しいのは確かですが、私は、不満ということもありませんでした。
「4行小説」の応酬が、熱を帯びてきていましたから。
そこへ、久しぶりに新しい人が登場します。
西山正一郎様 平成10年5月11日 発言No.118
堅いようだが、労働現場を書くぞ
貴重な新人です。逃す手はありません。
さっそく応じました。
◇ 注1 ◇
西山正一郎さんは、「電通文芸同好会」とういHPの中の、「YOSHIO TAMURA'S NOVELS WORLD」にご本人専用のコーナーをお持ちです。ここに短編『ヨット』も掲載されています。(平成10年11月30日現在)
「異世界へ [リンク集]」もご参照ください。
◇ 注1(補) H15/01/01
西山正一郎さんのサイトが移転なさいました。上記リンクは、新しいアドレスへ直してあります。ただし、発言No.118「堅いようだが、労働現場を書くぞ」レプリカ本文内にあるURLは、原典のまま旧アドレスです。
和香 平成10年5月12日 発言No.121
RE:堅いようだが、労働現場を書くぞ → 『ヨット』を読む
すぐには、お返事はありませんでした。
4行小説のほうは、快調に進みます。
「4行小説」は、「小説工房談話室」の中の、小さな企画としてあります。マスターCHANCEさんの主催ではなく、黙認という形で、フォーラムの一般参加者である私となのはなさんのみが本文を創っていますので、私的な企画とも言えます。ですが、いつでも誰でも受け入れるつもりでいました。最低限の二人で「贈答」を成立させていましたが、もっと色々な個性が増えて欲しい、賑やかならばより楽しい、もちろんそう思っていました。こんなに面白いものが(文芸的には、ですが)、すべてそのままリアルタイムで公開されているのです。こちらのほうにも、そろそろ、新しい人が名乗りを上げてくれてもいいのだけどなぁ、とこの頃は感じていたはずです。
お題 和香 平成10年5月5日 発言No.114
作成 なのはな様 平成10年5月14日 発言No.122
葉桜
お題 なのはな様 平成10年5月14日 発言No.122
作成 平成10年5月14日 発言No.123
RE:『葉桜』は☆☆☆ → 『枕』
お題 和香 平成10年5月14日 発言No.123
作成 なのはな様 平成10年5月19日 発言No.124
昨日書いた「雀の宿」
お題 なのはな様 平成10年5月19日 発言No.124
作成 平成10年5月19日 発言No.125
RE:昨日書いた「雀の宿」
『葉桜』 なのはなさん作
いい詩ですね。
時のなかで移ろってしまった花、または華。
なのはなさんのように若い方ではなく、多少お年をめされた女性たち、もちろん男性たちも、であるからこそ、胸突かれるところがあるのではと思います。
取り戻せない、だから、あきらめて次のことに目を向けなければいけない、そういう過去の輝き。「しようがないんだから」とは分かるのですが、忘れたふりはできるのですが、この詩の女性のように無邪気に意識されてしまうと、かける言葉に詰まってしまうのです。
「今でもきれいですよ。素敵です」
そう答え見つめて、微笑むしか、思い付きません。
『枕』 和香作
もうおわかりですね。和香様式、全行織り込みです。
三連で、序破急という構造です。
序。女のためにと、裏のなりわい。世の中なめてかかったものの勝ちよ、というノリです。
破。調子よく行くはずが、一転、逃走劇。どう考えても、告げ口しかあり得ず、知っているのは女だけ。頭に血が昇って、見境はなくなります。
急。刃物振り回す、ものぐるいの場。女のけものの呻きと、濡れ光る見開いた眼が、二人の末期の情景です。
女は本当に裏切ったのか。
二人の愛は、通じていたのか、これでやっと通じるのか。
すべては、幕によって、閉ざされます。
『雀の宿』 なのはなさん作
妖しく、溶けくずれだした女。
欺瞞の愛? 嘘はオモテ? それとも、ウラ?
> 入ったり出たりの気持ちはルース。
男の心がおかしくなるような、暗喩でしょう。
いつまできれいごとを言ってるの、頭で考えてるだけじゃ何も進まない。
あたし、行くからね、知らないよ。
そんなふうに呼びかけられているみたいです。
肩、うなじ、背中と見せて、鮮やかな笑顔の残像がまぼろしになってしまう瞬間、つかまえなければ・・
手を伸ばしたくなる。
こちらに引き戻すのか、あちらに引きずられるのか、彼と彼女の駆け引きは始まっているようです。
『死亡予告の紙』 和香作
うう。こわいですねえ。
一応は、死霊が、合格発表の場に毎春うらめしげに立つ、という設定です。
でも、本当に怖いのは、大勢の生き霊たちかもしれません。たかが大学とか、資格とか、そういうものの判定結果ですが、とらわれてしまった人間にとっては生き死にになります。
《手段の目的化》 ・・意外と、あなたもやってませんか?
織り込みについては、「死亡」が「志望」で芸がない気がして、もう一つですか。
むりやり奪ってお題にしての軽い即興で、しかも、縁起悪い内容で、暗に、なのはなさんの出題忘れをなじるという味でしょうか。
それぞれ、それなりにほほえましいのですけれど、内容は徐々に粘りけが増しています。
私は、「4行小説」と「なのはなさん」しか見えていない状態になっていた、 ・・かもしれません。
なのはなさん、早くお題くれないかな、と思っていました。
次の日です。
西山正一郎様 平成10年5月20日 発言No.126
諸君の内に中村真一郎の「この百年の小説」を読んだ人がいるかね。
夜勤中の職場で、上の、西山正一郎さんの一週間ぶりの発言を読みました。
気が遠くなるぐらい、頭が燃えました。仕事にミスをしそうで、懸命に冷やそうとするのですが、朝になって帰宅して、叩き込む文章のことばかりが、巡っていました。
和香 平成10年5月21日 発言No.127
諸君の内に中村真一郎の「この百年の小説」を読んだ人がいるかね。
しかし、反応がありません。
いくらか、沈静してきました。
フォーラムのことや、なのはなさんとの関係や、4行小説のことや、・・・もしかしたら、私が「4行小説」に出会ってから初めて、振り返る時間が持てた。
いま思えば、そういうことだったでしょうか。
和香 平成10年5月23日 発言No.128
七色のかたつむり
◇ 注2 ◇
『七色のかたつむり』は、「夏文庫 物語 『七色のかたつむり』」のほうにも、ほぼ同様の形で掲載しています。
西山正一郎様 平成10年5月23日 発言No.129
Re:諸君の内に中村真一郎の「この百年の小説」を読んだ人がいるかね
西山正一郎様 平成10年5月24日 発言No.130
Re:RE:堅いようだが、労働現場を書くぞ → 『ヨット』を読む
西山正一郎様 平成10年5月24日 発言No.131
中村真一郎「この百年の小説」のおすすめ。
和香 平成10年5月25日 発言No.133
「この百年の小説」 残念 絶版 H6
☆ 注3 ☆
本章以降の、西山正一郎さんの発言の転載は、西山正一郎さんご本人のご厚意によって実現しています。
深く、感謝いたします。
☆ 注4 ☆
平成10年12月6日、本章をアップしたことを「小説工房談話室」上で、なのはなさんにお知らせしました。翌12月7日、なのはなさんからレスをいただいたのですが、その内容に驚きました。
『雀の宿』について種明かしをされています。
なのはな様 平成10年12月7日 発言No.641
( ↑ レプリカファイルではなく本物へリンクしています。ここへ戻る場合は、ブラウザの戻るボタンをご利用ください)
「loose」を一般的な「ルーズ」ではなく「ルース」としていたのは、そういう理由(わけ)でしたか・・
半年間、まったく気付きませんでした。言葉ないくらい呆然です。ある種、感じ入ります。
★ 注4(補) 2001/10/20
平成13年(2001年)8月20日、JustNetの改装前フォーラムが閉鎖されてしまいました。以降、上の「注4」で紹介させていただいているリンクは機能していません。遠くない将来、レプリカによる復旧ができれば、と考えています。
☆ 注5 ☆
なのはなさんのHPはすでに移転しているため、「レプリカファイル」にあるリンクからは跳べなくなっているはずです。メールも送れないでしょう。ご注意ください。(平成11年2月17日現在)
新HPへは、 異世界へ [リンク集] から跳べます。
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