ここでは未発表の小作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。

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2008年   

──おはなし──

2008年・春のおはなし                    魔のリュック男

私が子どものころ、おばあちゃんから聞いた恐〜い、恐〜い本当にあったかもしれないお話です。
みなさんは何故、真夜中に一人で出歩いてはいけないのか、本当の理由を知っていますか?

夜は泥棒や不良達がいるから危ないというのも事実ですが、どうやらそれだけではないようです。

今から何十年も何十年も前のことです。

仲のいい恋人がいました。2人は結婚の約束をしていました。
そんな2人にある日のこと・・・

2人は結婚式のことで話し合っていて、真夜中になってしまいました。
すっかり遅くなってしまったので、彼は彼女を家まで送ることにしました。
2人が夜道を歩いていると、大きな鎌を持った男が後から、いきなり彼女を切りつけたのです。
彼女の首は地面へ転がりました。

ショックのあまり、彼は自分の彼女が殺されてしまった記憶だけが残り苦しみながらこの世を去ったのでした。
そして数年たった後・・・

この世を去ったはずの彼はこの世によみがえったのです。
なぜなら・・・

彼女を殺した殺人鬼を捕まえるためにです。
彼は背中にリュックを背負っています。
その中には殺された彼女の首が入っているのだそうです。

真夜中の町をうろついている男を見かけると、彼はリュックから彼女の首を出してこう言うのです。

「おいっ、この女に見覚えがあるだろう!」

もちろん何十年も何十年も前の事件ですから、犯人だって生きているはずがありません。
しかし、彼は今も探し続けているのです。

聞かれた人は言います。
「知らない」
          ・・・・・・・・と

でも、彼には通用しません。逃げても逃げても追いかけて来るのです。
追いかけられた男はそのうち心臓麻痺を起して命の灯が消えるのだそうです。

彼女が殺された、午前2時になると「魔のリュック男」がいつ、あなたのそばに現れるやも知れません。 
                     
                                                               おしまい


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