──おはなし──
ここでは未発表の作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。
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2016年・春のおはなし いそがしい春風
ようやく、春の女神が目を覚まし、春の妖精たちは大急ぎで、春風のところへやってきました。
「春風さん、今、女神様がお目ざめになりました。」
強い風を吹かせてみんなに、春が来たことを知らせるのが、春風の仕事です。
今年は、いつもの年に比べて、女神の目覚めがとてもおくれました。
春風は大急ぎで、出かけました。
春風はわき目もふらずに、飛んで行ったので、海は大波が立って、大荒れになってしまいました。
山に積っていた雪も、春風のせいで空中に持ち上げられ、春風と一緒にあちらこちらへと、運ばれていったものですから、まぁ、大変なことになってしまいました。
いろんなところで雪が降り出しました。
春風は、みんなに春の女神が目覚めたことを一生懸命に、伝えているのですが、あまりにも急いでいるのではっきり聞こえません。
みんなの耳には、「ビューン」と、うなって聞こえるばかりです。
でも、春風が通り過ぎた後は、暖かい風の妖精たちが、冷たくなっていた街を春色に変えてくれます。
雪がとけて、小川も流れだし、草花も芽を出しました。
虫や鳥たちも外へ出てきました。
春に嵐があるのは、春風さんががんばっているからなんですね。
・・・・・・・・でもね、春風さん。もっと落ち着いて、安全運転で春の女神様のお目覚めを知らせてほしいですわ・・・・・・・・・・・
おしまい
