2019年・春のおはなし            「将来の夢」           

小さな町の一角に、小さな果物屋さんがありました。
とても人気のあるこの店は、朝から晩までお客さんでいっぱいです。

そんな中、店に並べてある果物の中からイチゴの声が聞こえてきたのです。

イチゴはつぶやきます。
「昨日、買われていったイチゴさん。やっぱりケーキのトップを飾るんだって!」

別のイチゴが答えます。
「私は、恥ずかしがり屋だから飾られるのは無理だわ。
でも、ケーキの間にはさんでもらいたいなー」

隣のイチゴが言います。
「私は、ジュースにしてもらいたいなー。だってこんなに美味しいんだもん!」

後ろのイチゴも負けずに言います。
「僕はジャムがいいなー。甘い香りでみんなを幸せにしたいんだ。」

「ねえねえ、あなたはどんな食べ方をしてもらいたいの(・・?」

ぼんやり外を眺めていたイチゴは、急に話しかけられて、赤い実がさらに赤くなっています。

ケーキをかざりたいイチゴ
ジュースになりたいイチゴ
ジャムになりたいイチゴ

イチゴの夢は尽きることはありません。


たくさん並んだケースを見ていると、なんだか視線を感じて1パック買いました。


今日、買ったイチゴは、どんな夢を思っているのでしょうか。

                                           
                                    おしまい


























──おはなし──

ここでは未発表の作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。

「ゆきだるまくんのひみつ」販売期間終了!
管理人宅にて若干在庫有り!ご注文は
メールで!

2019年   

2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年2016年2017年2018年2020年2021年2022年