2013年 

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2013年・春のおはなし                 草木たちの鼓動

とある街外れの大きなお屋敷がありました。
そこには、この春から小学生になる女の子が住んでいました。

昨日まで元気だったのに、女の子はとても重い病気にかかってしまい、外へ出られなくなってしまいました。

このことを知って、一番悲しんだのは庭の草木たちでした。
女の子が生まれたときからずっと、見守り続けてきた、つばき、梅、桃、桜、藤。
女の子といつも遊んだ、すみれ、チューリップ、あさがお、ひまわり、コスモス。

「小学校に行くことを楽しみにしていたのに・・・」

草木たちは女の子に、たくさんのエールを送りました。

つばきはいつもの年よりも、たくさん花を咲かせました。
梅が甘い香りを届けました。
桃がお節句のお祝いをしました。
桜がかわいい花びらを届けました。
藤が夏の厳しい暑さを和らげました。

庭にはどこからやってきたのか、たんぽぽが仲間入りしました。

女の子は庭の草木を眺めていると、とても気持ちがよくなることに気付きました。
窓から眺めているだけだった女の子は、そっと手を出してみました。

とてもいい気持ちです。

ベッドの上で寝てばかりだった女の子は、思い切って外へ出てみました。

庭の草木たちが、一斉に歌いだしました。

「♪〜サワサワサワ・サラサラサラ〜」
「♪〜シュルルルルル・シャララララ〜」

いつの間にか女の子から、はなうたが流れだしました。
草木たちと一緒に、大合唱の始まりです。
                           
お客様のように耳を傾けていたかえるや虫たちも、いつの間にか一緒に歌っていました。

そしていつの間にか女の子は、元の元気な女の子に戻っていました。



                                    おしまい

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──おはなし──

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