2018年秋のおはなし                 「はっぱのてがみ」

花さきよこちょうの、ゆうびんやさんはいつも大いそがしです。
きょうも、朝からせっせポストに入ってるゆうびんぶつを、かいしゅうしに出かけます。

1ばんちのポスト。2ばんちのポスト。3ばんちのポスト・・・・

とまあ、こんなぐあいに花さきよこちょうは、1ばんちから100ばんちまである大きな町ですから、ゆうびんやさんはたいへんです。

ある日、ゆうびんやさんはポストの中にはっぱが入っていることに気がつきました。
しかも、きまって土よう日の朝です。

さいしょは、風のいたずら・・・と思っていたのですが、まいしゅう土よう日にはっぱが入るのはやっぱりおかしいです。

「よし、きょうは、なぜはっぱが入るのか、しんそうをたしかめなくては・・・」

ゆうびんやさんはポストから少しはなれたところで、かくれてポストのようすを見ることにしました。

しごとに出かけるおじさんや、買いものに出かけるおばさん。
学校に出かける子どもたち。

ポストの前を色んな人がとおります。

しばらくすると小さな女の子がやってきて、せのびをしてポストの中にてがみを入れました。

あれれ、なんかへん。女の子のおしりから大きなしっぽがフサフサとゆれています。

ゆうびんやさんは、じっと女の子を見つめます。

あれれ、てがみが手からはなれるとき、今までふうとうだったのにはっぱにかわっていきました。

女の子はだんだん耳がとんがってきて、おひげもでてきて子ぎつねになりました。

「そっか、わかったぞ!」

ゆうびんやさんは、女の子のあとをそっとつけて行きました。
もみじ山のどんぐりの下に、子ぎつねのお家がありました。

ゆうびんやさんは、かわいいレターセットとペンと切手をセットにして、プレゼントすることにしました。
そして、手がみもいっしょにとどけることにしました。

「かわいい子ぎつねさんへ

 はじめまして、ゆうびんやです。
 いつも手がみをポストに入れてくれてありがとう。
 でもね、はっぱにすぐヘンシンしているので、とどけさきがわかりません。
 次から、本当の手がみをポストに入れて下さい。
                      
                            ゆうびんやより」

次の土よう日、ポストにゆうびんやさんがプレゼントした手がみが入っていました。
なんとあて名はゆうびんやさんにです。

ゆうびんやさんはうれしくて、うれしくて手がみのふうをあけました。

そこにはどんぐりといっしょに、こう書かれていました。

「ゆうびんやさんへ

 すてきなプレゼントをありがとう!

       もみじ山のきっこより」

                                    おしまい

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──おはなし──

ここでは未発表の作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。

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