2006年・秋のおはなし                            

むかしむかし、お日様は、暗い宇宙を明るくするために、
一日中光を照らしていました。
だから、どの星にも夜はありませんでした。

そのころ宇宙では、星たちは勝手に動いていてバラバラでした。
ですからとても大変でした。

「まあ、木星さん聞いて下さいよ・・・」
と、土星が木星に話しかけると、お話好きの二人は何年も
動かずにお話に夢中です。

そこへもうスピードでやってきた火星は、もう少しでぶつか
りそうになりました。あわてて、急ブレーキを踏んだものだから、
お散歩を楽しんでいた水星が火星とぶつかってしまいました。

「あいたたた、火星さんったら急に止まらないでくださいよ・・・」
「あっ、ごめんごめん」

と言いながらまたまた、もうスピードでかけ出した火星は、スヤスヤ眠っていた金星を、けとばしてしまいました。金星は地球にぶつかって、金星と地球がけんかになっしまいました。

こんな具合ですから、あちこちでけんかや事故がしょっちゅうでした。

これを見ていたお日様はたまりかねて、あることを思いつきました。

「そうだ、光を星一人ずつに、照らそう。」

お日様は星たちを順番に並べました。

そしてお日様は、全ての星たちを見守ることが出来るように夜を作りました。お日様の目の届かない夜の間は、星たちはお休みの時間になりました。

それからは、星たちがぶつかったり、けんかをすることはなくなりました。

お日様はこうして、今も一生懸命、一つ一つの星の安全を願って見守ってくれているのです。

           
                                                                                                                  おしまい


──おはなし──

ここでは未発表の小作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。

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