2016年・夏のおはなし 「遅刻の代償」
ジジジー・・・ジジジー・・・
ピーピーピー・・・ピーピーピー・・・
リーンリーンリーン
三種類の目覚ましを最大音にセットして、いつも寝るオレ。
しかし、なかなか起きることが出来ず、いつも朝は慌しくチョー忙しい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
????? ?゛?゛?゛?゛?゛
ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あああっ!
チョーやべぇ。めっちゃくちゃ寝過ごしてしまった。
いつも時間通りに起きたことはないオレだけど、こんなに寝過ごしたのは、生まれて初めてのような気がする。
…じゃなくて、初めてだ。ホントにやべぇ。今日は大事な会議があるというのに・・・
オレは朝めしも食わずに、家を飛び出した。
バス停まで歩いて15分。しかし、バスの時刻までの猶予時間は11分。
この4分差。走れば埋めることが出来る・・・いや、そうしなくちゃならない。
このバスに乗れなかったら、次は1時間後。タクシーを呼ぶ金などオレには持ち合わせていない。
だから何が何でもこの時間に絶対、乗り遅れてはならないのだ!
オレは全力で走った。走った。走りまくった。
幸い信号も青。角の自動販売機の所を右に曲がればすぐにバス停。
オレは更にスピードアップした。
自動販売機の前に来て、右に曲がった時、パスがバス停に到着した。
すでにバス停で待っていた人が、3人。
4人目のオレはなんとか滑り込むことができた。
しばらくはしゃべることもできないくらい、オレは息が乱れていた。
ようやく落ち着いて、いつもと少し違うことに気が付いた。
いつも乗っているメンバーが一人もいない。
オレは腕時計で時間を確かめた。
現在の時刻は、午前8時20分。間違いなくオレはいつもの時間に来るバスに乗っている。
そういえば車内アナウンスが流れていない。停まるはずのバス停も通り過ぎている。
ますます異変を感じたその時、オレが降りるはずのバス停「A駅前」を通過してしまった。
あきらかにオカシイ!
オレはあわてて、運転席へ走って行った。
「運転手さん、どうしてバス停で停まらないんですか?」
すると運転手は振り向いてオレにこう言った。
「〜このバスは地獄駅前までノンストップです〜」
ぇぇぇえええええええええええええっ!
おしまい
──おはなし──
ここでは未発表の作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。
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