2020年・冬のおはなし 「閻魔大王代理」
父である閻魔大王は、どうしても抜けられない会議に参加するため出かけた。
死びとの判決を下す仕事をしている閻魔大王に変わって、娘である私が最後の一人を受け持った。
天国へ行くか、地獄へ行くかを生前の行動資料を元に決めまるのだ。
年齢は94歳、性別は女。ここへ来れば名前は消え、番号だけになる。
2020年12月31日23時00分59秒、666番目に受理されたので、死びと番号は「20201231230059-666」
私はタブレットに表示された資料を見た。資料は成人してからの記録が掲載されている。
犯罪歴・・・前科はなし。
親切歴・・・0
意地悪歴・・・62001回
前科よりも私は、親切歴と意地悪歴を重視する。
親切歴が0という人間、たまにいる。こういう人間はどういう育て方をされたのだろう・・・
意地悪歴の多さによって地獄の刑が決まる。
5桁になれば、文句なしに全部の刑を味わってもらうことになる。
しかし、自業自得だ。閻魔大王は感情で死びとを裁かない。
私は代理として、淡々と事務手続きをする。
両脇にいる赤鬼と青鬼が印鑑を押す。
死びと番号「20201231230059-666」へ告ぐ!
「処分、お前を地獄の刑フルコースを言い渡す」
閻魔大王の裁きに年齢も関係ない。生前の生活記録が全てなのだ。
画像は天理市「長岳寺」の祈りの回廊 2019年秋冬版です。
おしまい
──おはなし──
ここでは未発表の作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。
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