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地形図
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地形図を使った登山
地形図を見ながら登山をするのはとても楽しい。僕はそんなふうに思う。二度三度と繰り返し登っているような山や人気山域のはっきりした登山コースをたどる山行では、実は、最初から地形図を持っていかないことも多い。それは僕が道に迷うことを山行の楽しみの一つとして考えているからである。
なるほど、登山の楽しみの大部分は頂上に立つことにあるのだろう。しかし、数多い登山者の中に一人ぐらい僕のような偏屈な考え方をしている人間がいてもかまいやしないだろう。だいたい僕は子どものころから地形図などの道具を一切持たずに山に入り、迷いながら遊びの空間を広げていったのである。だから、道に迷うということに多少の不安はあっても、それとともに道に迷うことに大きな喜びも感じてしまうのである。だから、僕の登山の中では頂上に立つことだけではなく、頂上へ至るアプローチを探すという行為も登山の楽しみの大きな部分を占めているのは言うまでもない。そんな楽しみを持っている登山者なら、おそらく僕と同じように山で道に迷うことはめったにないだろう。
その一方、結果として、たとえ頂上に至らなかったとしても、頂上へのアプローチの段階で十分に登山というものを楽しんできているので、頂上に登れなければまた来ればいいやという楽観的な考え方を持っていて、登頂にこだわらないところがある。そのせいか決して無理な行動はしない。無理とわかれば登っている間にどこで、どの段階で引き返すべきか考え始める。しかし、実のところ僕には体力そのものが十二分に備わっているので、狙った頂上に登れないことなどめったにない。だって、家で地形図を見てどのくらいの時間で登れるのか考えて行動しているのだから、設定した時間内に頂上に到着することができないということはまずないのだ。万が一どこかにほころびガ生じて登頂が無理だと分かったなら決してそれ以上突っ込むことはない。そんな慎重な一面は子どものころの遊びから身についたものである。
明るいうちに、つまりは時間内に家に帰るというのは子どものころの遊びの鉄則だったのであるが、その時間というのがまた腹時計のようないい加減なもので測っていたのだからおかしくなる。それでも感覚を駆使して十分明るいうちに家に帰ることができるのである。その時間を知るもとは太陽の位置や明るさ、歩いてきた距離感を基本にして考えているのだが、そんないい加減な感覚と体内時計で失敗したことは、実はあまりないのだ。登山で歩いていても一時間の感覚は体に染みついているので時計そのものを見ること自体がほとんどない。なぜ分かるのと聞かれることがあるがそんな気がするだけなのである。
地形図の縮尺
登山に使う地形図は二万五千分の一の縮尺のものを使うのが基本である。市街地なら今は場所によっては一万分の一の縮尺の地形図を使うことができる。
地形図の私的な利用法
地形図を使う基本は地形図から得る距離感と実際の登山すなわち歩行から得る距離感を合わせることである。実際のところは、読図の教科書のように磁石を取り出して地形図を正置することから始まるとでも言えばいいのだろうが、今までそんな使い方をしたことはめったにない。もし、そんな使い方が必要になる状況だとしたら、目の前や遠くに見える山の名前や峠の位置を知りたいとか、自分がいる場所が本当に分からなくなった場合だけである。
山で道に迷うというのは今自分がどこにいるか大まかな位置さえつかめていないという状況に陥っているということである。大まかな位置がつかめていれば、これからでてくるであろう地形から正しい道を歩いているかどうかはすぐにしかも容易に分かる。だからこそ、僕が道に迷うことはまずないし、おかしいなと思えばすぐに道に迷ったことに気がつく。そうであれば、それ以前にはっきりつかんでいた位置に戻ったり、その位置から歩いてきた記憶と感覚と地形図から得る地形の記憶と感覚とを照合してどこで迷ったのか、あるいはどこで間違えたのかすぐに割り出せる。
もし地形を時間単位で捉えることができ、地形図を時間単位で読んで行くことができれば、めったに道に迷ったり間違ったりするものではない。間違えやすいところでは地形図と地形とを頻繁に比べて間違いにくくすればいいのだ。地形図は休憩時に見ることが多いが、休憩時だけ見ると限ったものではない。迷いやすい場所では地形図を頻繁に見て、地形を細かく区切って次々と現在地を確認していくことが大切である。
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