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標高差が世界一、1000メートルもの高さがある滝が南米ベネズエラにあるなんて寝耳に水の話だった。山のことは何でも知っているようでいて、実際はそうでもないというのが登山家の実情かもしれない。これに関連して、僕は世界のあちこちの山に出かけているせいか、日本の山はすべて登ったんでしょう、と言われることが多い。しかし、もちろんそんなことがあるわけはない。国土の七割が山と言われる日本中の山を登るだけで何日かかるものか考えてみたらすぐにわかることだろう。
気分的には自分が登った山の数を増やすより、いい山だなと思ったときには季節や登山ルートを変えて何度も訪れてみたいと思う質だから、単純に登ったことがある山の数を増やすことに興味はない。数を増やさずとも地形図を広げ、そこがどういう感じの山か類推しながら登山をするのは楽しい。そんなことをすると、その山には登ったも同然で興味が薄れてしまいそうなものだが、そんなことはない。想像はあくまで想像で、山の姿を生き生きと捉えられるわけではない。想像と実際は似ていても、生命にあふれた山々はすがすがしい。
山に行かずとも地形が読めてしまう。しかし、だからこそ日本のどんな山でも登ることができるという自信が芽生える。時折その地を訪ねてみると地形図と同じだなんて思ったりもするが、地形が地形図と同じなのではなくて、地形図が地形と同じなのである。どっちにしても地形図があれば、初めての山だからといって迷うことはまずない。それを実践するだけの基礎的知識と経験は誰より十分に積んでいるのである。山に登ることではなくその地を訪ねてみたいと思っている人間にとっては登頂した山の数を増やすことにそれほど深い意味は見出せないだろう。
地形図がなければヒマラヤなどの山に登れないかというとそうでもない。地形図がなくても概念図画あれば何とかなってしまう。もちろんそうでなければ行ったこともない海外の山に登るのは無理だろうし、そんな力がなければ余裕を持ってガイド行為をするなんてこともできないだろう。考えてみれば当たり前のことだと思うのが、当たり前のことが理解できるようになるまでにはかなり時間がかかる。山を登った経験があるにもかかわらず山を知らない一般の人と同じ発想しかできないのはちょっと寂しいかもしれない。
立体的な地形は地形図を見れば一目でわかるし、想像することができるが、広大な大地が作る地形の実態は高いところから見ないとなかなかわからない。グランドキャニオンが準平原のようなところに存在する地形だなんて宇宙に近いところから見なければわからないだろう。
さまざまな地形をさまざまな角度から見ればその土地を多面的に捉えることができるが、未だに地球が、大地が平だと考えている人たちはどんな考え方をしているのだろうか。どうしたらそう考えることができるのだろうか。そういう話は何度か聞いたことがあるが、そう考える理由を聞いたことはついぞなかったことに気がついた。そういう人たちは水平線の湾曲や高いところから見る地平線の湾曲はどういうふうに理解しているのだろうか。目の錯覚? 目に映るそんな情景が錯覚だとしたら、目の前で繰り広げられている世の中のすべての出来事ももしかしたら錯覚と捉えているのだろうか。現実を正しく見る目を持っていなければあらゆる道に迷うことは容易だ。どうでもいいことだが、ふとそんなことが思い浮かんだ。
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