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僕が生まれたところは、山間の小さな町で、別名レンコン町と呼ばれるほどトンネルが多いところであった。それが証拠に新しい道ができるまではどの方角に進むにしてもどこかで必ずトンネルを抜けないことには町から出て行くことができなかったのだ。そんな町だから、標高差はたいしてないものの、尾根と谷は複雑に入り組んでいる。おまけにここは「荒城の月」作曲のモデルとされる岡城址があることで有名な山と川が天然の要害となっている城下町ときている。だから山の中には昔から使われていたと思われる間道がたくさんある。こんな条件を備えた場所だから、別の谷や対岸に行くのに、車道を忠実に歩くより、間道を使ったり、尾根を直接越えたり、川を飛び石伝いに渡って行く方が早いということが往々にしてある。

物心つくかつかない小さな頃から裏山を唯一の遊び場とし、野山を駆け回り、しょっちゅう立ち木に登ったり、崖を攀じ登ったり、崖から飛び降りたり、傾斜のきつい崖を厚手のビニール袋やゴザを敷いて滑り降りたりという荒業をやっていた僕が、誘われるままに出かけて行った初めての山登りで、登山という行為にはまり込んだのはある意味当然の結末と言える。しかし、悪天だったからこそ登山に興味を持つことになったというのは、ほかの人とはちょっと違い、変わっている点なのだろうなと思う。物心つくころからは1人で裏山に出かけ、長じて崖や木にぶら下がっているかずらを使い、当時はやりのターザンごっこをしていたくちなのである。山の斜面でそんなことをしているくらいだから、当然ながら振り子の先端は大地とかなりかけ離れることになる。ときどき痛い思いをすることがあるが、山の土は腐葉土だから柔らかく、意外にケガはしない。親から見るととても危険な遊びは、こどもにとってみればたいがいこのうえなく面白いものなのである。

川に行って魚を釣ったり、イシガメや魚を手づかみするのも日常茶飯事だった。山の中だけでなく、川に下りるのにも場所によっては崖を下らなければならず、簡単な岩登りをする必要がでてくるから、岩登りに興味を抱いたのは自然な成り行きである。しかしそれ以上に興味を持っていたのは、藪山の中の山道がいったいどこに向かって延びているのかということだった。知らない世界へ繋がっている山道が自分の家から延びている車道とどんな位置関係にあるのか考えるのは山から戻ってきたときの楽しみだった。今なら地図を広げてみればたちどころにわかってしまうが、自分なりに調べ、秘密の地図を作り上げていくのは楽しい作業であった。

このような遊びをしていたくらいだから、今でも道なき道を求めて出かけることがある。というより、実は出かけたくなってしまうのである。春先や秋口はそうした冒険にちょうどよい季節である。また、岩場を探すなら葉が落ちる冬はまたとない季節である。子どものころと違って歩くスピードが一段と早くなっているので、奥多摩周辺ならたいがい2、3時間もあれば登山口から頂上まで往復できてしまう。だから、幸いなことにちょっと冒険するにはちょうどいい山がそばにはたくさんあるのだ。

ときどきこどものころのように木に登り、木の枝の二又に寝そべり、風に揺られながら昼寝をしたいと思うことが今でもあって困ることがある。また、視界が開けた高台や岩場でのんびり昼寝をしたいと思うこともある。都会に住むようになって一番つらかったのはそういうことが簡単にできる裏山がすぐそばになかったことである。そういえば、裏山の代わりに公園やわずかに残されていた雑木林の中の木に登ってみたことがあるが、やはり裏山で行うのとはわけが違い、心が和むどころか、逆に怖さや切なさを感じてしまう始末だった。だいたい都会は人間にとって非常に都合がよいように作ってあるので、あまりに人工的過ぎて、そんなことをして遊ぶ環境ではない。土が硬すぎてそんなことをすればかえって危ないくらいなのである。

それに変わるものとして見つけた都会の風景は、東京湾の埋立地に広がる葦原や運河を利用した貯木場だった。護岸からは投げ釣りができ、ハゼやサッパやセイゴが釣れた。うまくすればフッコもかかった。葦原にできた水溜りにはいつのまにかトンボのヤゴやザリガニが住み着き、格好の遊び場を提供してくれた。貯木場にはタップミノーがいたので魚取りとまではいかないにしても、それなりに楽しむことができた。浮かんでいる材木の上を走り回るのは川で飛び石伝いに対岸まで渡って行くのにも似て面白い。そんな都会の慰みは、お盆や正月休みに富士山が見えることであった。特に正月休みは、都会の空特有のくすんだ空が消え、空気が澄んで遠くまで見通せた。こんなときは空がやけにきれいに見え、富士山の姿は郷愁をもたらした。

遠くから眺めていたそんな真冬の富士山にやがて登るようになるとは夢にも思わなかったが、僕を育ててくれた低山藪山への愛着は厳しい山登りをすればするほど強くなった。草木のないところより草木がある方がやはり気分が落ち着くし、小鳥や昆虫もたくさんいて心も和む。一見山は日々同じように見えるが、その実刻々と表情を変える。それを気軽に楽しめるのが低山藪山である。山の表情を見て季節の移ろいを感じていたいという思いは、僕の心に深く根付いている思いである。

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自己紹介(木本哲登山および登攀歴)……山学同志会在籍一年目に培った技術を基礎として実行した初登攀〜第3登を中心にまとめた
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Satoshi Kimoto's World(木本哲の登攀と登山の世界)……海外の山もさまざまなところへ登りに出かけました
しぶとい山ヤになるために=山岳雑誌「岳人」に好評連載中……登山開始から山学同志会在籍一年目までの山行で学んだこと感じたこと

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