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巻頭エッセイ後日談2

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2 ベテラン
仙ノ倉山の遭難は北尾根を登っている最中に起きたらしい。もともとの計画は北尾根〜仙ノ倉〜万太郎〜土樽だったという。万太郎から下山する自信がないので、平標山側のコースに変更するつもりだったのだ。仙ノ倉山北尾根のルート上に特別悪いところはないが、たびたび遭難事故が起きている場所である。

八ヶ岳の遭難は阿弥陀岳の頂上からの下降中に、途中から何らかの理由で中岳沢側斜面に入ったらしい。いったん右下に向かわねばならないところをまっすぐ進み、意を決して急峻な左側急斜面に入ったのか、落ちたのか、はっきりしないが、落ちればもっと下まで落ちて行くことだろう。むしろ滑落するなり、転落するなりしていれば、三人とも助かっていたかもしれない。一般ルート上には一箇所だけ急で下りにくい場所があることは確かだが、遭難に至る原因が僕にはつかめない。いずれにしても通常では考えられないところでビバークしようとしていたことだけは間違いないのだろうが、遭難の内容や場所、行動の展開自体がどう考えても僕には理解しがたい。

これらの遭難に関わった彼ら彼女らはほとんどの人がベテランと呼ばれていたが、本当にベテランだったのだろうか。もし彼ら彼女らがベテランだとしたら、彼ら彼女らについて学んでいる後輩や新人がいるということなのだろう。もしそうだとしたら末恐ろしいことだ。

これらの遭難があった前の週にも同様の天気で遭難があった。その中には唐松岳でガイドが引きつれたグループの遭難事故があったのだが、ヤマケイの来月号はこの遭難事故を扱うと来月号の予告にあった。この週、たまたま唐松岳に入っていたので、どんな内容が報告されるのか興味がある。

この遭難事故の原因は典型的な悪天下の道迷いだが、どうして富山側に下降することになったのかという点が興味を引く。そこが浮き彫りになっていればこの遭難記事には価値がある。この2月以降いろんな遭難事故が発生した。その原因は久々に80年代初頭のように大量の雪が降ったせいかもしれないが、大量の雪が降ることそれ自体が遭難の原因ではない。もしそうだとしたら、僕など80年代の初頭にすでに死んでいただろう。唐松岳の遭難事故は遭難事故発生後の対応も気にかかる出来事である。

死なずにすむ場所で死ななければならないのは真実痛ましい。山に夢をかけていたそれぞれの人の命の使い方にはあまりにももったいなさが残る。今は携帯電話が普及して外部と簡単に連絡がつくので遭難しても悲壮感はない。むしろそれを受けて気軽に救助を求める時代だ。連絡を受けた救助隊は万一の場合を考えて出動するが、中には遭難とは呼べない事例がけっこうあるという。登山者の中には簡単に連絡がつくことをいいことに無茶をしているというのが実態なのかもしれない。実際、救助を要請をしても有料なら自分の足で下りるという輩もいるらしいのだ。こんな救助要請はあまりにひどいが、それが今の遭難の実態でもある。でも冬は特に天気が悪くてヘリは都合よく飛べないこともある。この冬に起こったこれらの遭難を振り返ると、僕は何となくこう思う。最近はあまりに便利になりすぎて、登山者側の自然に対する発想や対応そのものが甘くなっているのではないだろうかと――。

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