Explorer Spirit 木本哲の世界 雑記帳 人間 アルパインクライマー・木本哲 アルパインガイド・木本 哲 Satoshi Kimoto's World
木本哲ホームページExplorer Spiritようこそ / Welcome to Kimoto Satoshi's website Explorer Spirit
Explorer Spirit 木本哲

近頃の冒険

Explorer Spirit  Kimoto  Satoshi  Alpine Climbing School
木本哲アルパインクライミングスクール
無雪期積雪期企画ガイド個人ガイド海外プラン机上講習
募集案内と参加お申し込み注意事項  ガイド山行のお問い合わせとお申し込み  メール contact
トップページ top page  目次 content  ワールドマップ world map  ウェブサイトご利用上の注意 cautions on use
ガイドプラン  木本哲 プロフィール profile
   アルパインクライマーが描く夢  巻頭エッセイ  読み物 readings  リンク links

 

冒険の重み
著作権とリンクについて


登山の質は道具に大きく左右される。

近年大きく変化した道具はアイスクライミングツールであり、シャルレのパルサーというアイスアックスが世に出たあたりから、ピック打ち込み時に指の関節を氷壁に打ち付けることがなくなったばかりか、シャフトにカーブがついてピックを氷に突き刺すのにそれほど大きな力がいらなくなった。というよりむしろピックを打ち込む時の力をセーブすることが打ち込みの重要なポイントになったのである。それと同時にフッキングが容易に行えるようになり、アイスクライミングはフッキングを多用した登り方に移行し、氷壁の登り方がすっかり変わってしまった。

そうした技術はもちろん岩登りにも変化をもたらし、手はアイスアックスによるフッキングやトルキングが主流となり昔風の岩をつかんで登るというスタイルは時代遅れになった。つまり登攀はドライツーリングが主流となったのだ。

新たな道具の出現はツールメーカーの間にも競争を生み、DMMのプレデターやエイリアン、シモンのナジャといったさまざまなアイスクライミングツールを生み、回りまわって、シャルレのクォークを生んだ。クォークの出現はフッキングをさらに確実容易なものとし、クライミングそのものを大きく変化させ、さらにさまざまな道具を生み出した。この間の登山の発展はジェフ・ロウの著書アイス・ワールドがヒントになるだろう。

こういった用具の発展を受けていっそう盛んになったドライツーリングは登山史の上でも新たな境地を生み出した。それはヴィンス・アンダーソンとスティーブ・ハウスの2人が行ったナンガパルパットのルパール壁に拓かれた新ルートの開拓に端的に現れている。それは8000メートル峰で、なおかつ4000メートルというヒマラヤでも最も大きな標高差を持つ壁が8日間のアルパインスタイルで登られたという記録であった。

彼らが登ったナンガ・パルバットのルパール壁セントラル・ピラーは高度差4100メートル、M5/5.9、WI4というグレードを持つ。ナンガ・パルバットという山を知っているだけにすばらしい登攀だと思う。それは羨ましさを持つと同時に自分も挑戦してみたいという気持ちが頭をもたげてくる登攀である。

このスチーブ・ハウスは極めて困難な登攀ルートとして知られているマッキンリー南壁のチェコダイレクト(スロバキアダイレクト)や僕が20年以上も前に登りたくてしょうがなかった標高差が3000メートルもあるフォーレイカーのインフィニット・スパーを25時間という短時間で登っている。このインフィニットスパーも5.9というグレードを持ち、天に向かってまっすぐに延びるすばらしくきれいなルートである。また、2004年には、7000メートル弱のカラコルムの岩峰K7の新ルートを41時間45分という短時間で、しかもソロで、フィックス・ロープもボルトも使用せず、ギアを詰めたわずか3.2キロのバックパック一つだけというスタイルで登ったのである。

技術の習得や体力の獲得は登山中の危険を小さくするとともに新たな挑戦を生むが、道具の進歩と発想の斬新さがそれを可能にする。冒険は経験が育んだ知恵と技術と体力と勇気がなければつとまらない。そんな彼は国際山岳ガイドでもある。だから装備が少ないからといってもちろん安全を疎かにしているわけではない。僕は根っから冒険や探検に興味があるからこんな登攀行を見せつけられると僕も登りに出かけたいと思うけれども、そんな思いを抱く人間は数少ないのかもしれない。でも、少なくとも国際山岳ガイドになろうと思う人間にはこれくらいとは言わないまでも、歩きを主体にしたヒマラヤ登山ではなく、これに似た大きなスケールを持つ岩壁やミックス壁の登攀ルートの完登経験が欲しいよなと思ってしまう。

このページのトップに戻る

 

Google

Explorer Spirit 木本哲
to a top page トップページへ


to a contents もくじへ


E-mail メール

OFFICIAL WEBSITE OF ALPINE CLIMBER SATOSHI KIMOTO


Explorer Spirit 木本哲
Copyright 
©2005
-       Kimoto Satoshi  All Rights Reserved.
本ウェブサイト内のコンテンツの著作権は木本哲に属します。本ウェブサイト内に掲載の記事・写真・図版・映像などの一切の無断転載を禁じます。

トップ目次プロフィール国内登山海外登山著書・著作ガイド登山&登攀映像&撮影ガイド登山
スクール無雪期積雪期企画ガイド個人ガイド海外プランイベント&直前情報装備表日本の山
自然教室登山教室岩登り教室沢登り教室アイス教室登攀専科夢工房インドア講習
机上講習
募集案内と参加お申し込み注意事項ガイド山行のお問い合わせ・お申し込み
お問い合わせ窓口(E-mail)
近郊の山と沢近郊の岩場周辺の山
周辺の沢氷雪テクニックギアウエア生と死お便りリンク
読み物トピックスコラムエッセイフォト&エッセイフォトギャラリーサイトマップワールドマップ
 雑記帳会員募集スポンサー募集バナー広告募集スポンサー&バナー広告お問い合わせ
協賛