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吉田和正
彼がNHKスペシャルかBSハイビジョンスペシャルのどちらかで放送された『極北の大岩壁』を100回以上見ていることは人づてに聞いて知ってはいたが、本人の口から直接聞くことになるとは夢にも思わなかった。今は、テレビが壊れているので見られないと言っていたが、テレビがあったら、クライミングやトレーニングに没頭していないときは、あるいは暇に任せてもっともっと何回も見るのかもしれない。
僕がこの映像を自ら積極的に見た回数は少ない。しかし、ある友人の家に行ったときにはこの映像を見せられることが多いので、自分もその何分の一かは見ている。見始めるとついつい最後まで見てしまうのだが、いったい何がそんなにまで僕を、そして視聴者をひきつけてしまうのかわからない。彼の場合は手持ちのビデオが少ないからといった単純な理由なのかもしれないが、それでも映像あるいは物語が面白くなければ何度も見る気にはならないだろう。この映像には何かしらひきつけられるものがある。だからこそ賞を受けることになったのだろうが、それが何に根ざしているのかはわからない。
フォト&エッセイ目次へ彼から足はどうですかと聞かれたけれど、指がないから思うように登ることができないと答えることしかできない。元の足より5センチも6センチもサイズが短くなってしまってはどうしようもない。クライミングシューズは既製品を履いているのだけれど、どうしても先端は4、5センチ余ってしまう。僕はそんな足で5.11や5.12に挑戦している。彼のように5.13や5.14やそれ以上のグレードに挑戦はしてみたいけれど、両足の指がないというのはそういった行為をするには致命的な傷である。5.12後半になると厳しい。
が、困難に対する挑戦を諦めたわけではない。諦めてしまうのは嫌だし、少しでも上手になりたいから身の程知らずかもしれないがチャンスを作っていつかは挑戦したいと考えている。これらのグレードは自らそう思って努力しなければ決して挑戦できないグレードである。彼がそういったルートをたくさん創り、記録を発表すればするほど悔しくもなるが、そんなグレードが開拓されなければそういった思いすらできない。彼の頑張りが僕の新たな挑戦の糧になっていることは疑いようがない。
(伊豆半島・城ヶ崎海岸岩登り講習の折にファミリークラックエリアで。フラッシュをたいているからまるで夜のように見えるが、写真を撮ったのは小雨に煙る夕方のことであった。彼が登っていたファザークラックは26、7年前に創られたルートだけど、考えてみればそんな昔から僕は城ヶ崎で登っていたんだよな。生き残りと言われてもしょうがない……。)
※『岩と雪』に彼のインタビュー記事があります。読んでみると面白いですよ。城ヶ崎から北海道へ、そして今再び城ヶ崎の岩場に傾注しています。彼とは最初の城ヶ崎海岸に傾注しているころに出会ったんだなあ。杉野保が『ロック&スノー』の連載記事「Old but Gold」の中で、彼が創った「マーズ」を採り上げているのでこれと平行して読んでみるといいと思う。
よしだ・かずまさ 1963年山口県生まれ。1989年マーズ5.14a(城が崎)、1992年シュピネイター5.14a/b(神居岩)、1993年ハードラックトゥミー5.14a(名寄見晴岩)。
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