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週間朝日
寄稿 「子猫殺し」に抗議殺到の坂東眞砂子が誌上で反論!
仏領タヒチに移住して8年の直木賞作家、坂東眞砂子さんが「子猫殺し」について、
日本経済新聞8月18日付夕刊「プロムナード」欄に書いたエッセーが波紋を呼んでいる。
人間の都合で避妊手術をして猫の「本質的な生」を奪うことに疑問を呈し、
3匹の飼い猫が産んだ子猫たちを崖下に放り投げている、と打ち明けたのである。
日経新聞によると、25日正午までに千件以上の反響があり、大半が批判的だという。
坂東さんはエッセーを7月から週1回書いていて、通して読むと、生と死、自然がテーマになっている。
坂東さんによると、子猫殺しは当初は男友達に依頼していたが、罪悪感があり自分で行うようにした。
子どもはいないが、わが子を殺すかのように、気が動転するという。
取材を申し込むと<「所有」の傲慢>という題で、編集部に一文を寄せた。
賛否はあろうが、安易なペットブームに一石を投じた文章といえる。
*
私は、子猫殺しがいいことだ、とは決していいません。
日経のエッセイに書いたことは、「人は他の生き物に対して、避妊手術を行う権利などない。
生まれた子を殺す権利もない」でした。
あのエッセイは現代社会の多くの問題を孕んだものだと思っています。
そのひとつは、愛玩物として生き物を「所有」する人間の傲慢さです。
人である、獣の主人である、可愛がってやるから、という理由のもとに、自然から獣を引きはがし、
さらに、存在意義の根幹となっている生殖機能を奪いとり、それが正しいのだ、
と晴れ晴れした顔でいってもいいものでしょうか。
生殖機能とは、ただ身体器官のみのことではないと思います。
それは生き物にとって、生きる意欲、活力、発展、成長といった豊穣性に通じる源だと、私は考えています。
私自身、ペットとして生き物を飼っていることに、内心忸怩たるものを抱えています。
それは、「愛したい」「愛されたい」という欲求が、人にではなく、
動物に向かうしかないという対人関係における問題を示しているからです。
現代日本におけるペットに対する過剰なまでの熱愛状態に対しても、同様の論理が働いていると思います。
その問題を抱えたまま、なおかつ飼っている生き物に避妊手術を施すことは、私にはとうていできません。
「愛したい」「愛されたい」さらには、「生きたい」という希求に対して、
自分自身で止めを刺すことに繋がるからです。
そしてそれが、飼い主だから、という理由で、他の生き物の豊穣性を犠牲にして
行われていいものだろうかと思うと、どこか間違っている、と叫びたくなるのです。
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