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地球温暖化
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地球温暖化が話題に上り始めたのは比較的最近のことだが、地球温暖化とはいったいどんなことを言うのだろうか。実のところ、地球はこれまでに氷河期や間氷期という名があるように温暖期と寒冷期という変動を繰り返してきた。しかし、昨今予測されている気温の上昇は過去一万年の間に例を見ないほど急激な上昇傾向を示しているという。どうやらこれは人間の活動に原因があるらしいということが最近になってわかってきたのだ。過去一世紀においては地球の年間平均気温は0.3度〜0.6度上昇したそうだが、この先一世紀には年間平均気温が2度上昇すると予測されている。最近の研究では上昇の幅がさらに大きくなりそうな勢いで、3度近い上昇が見込まれつつある状況である。
年間平均気温がわずか2度上昇するくらいならたいしたことはないと思いがちであるが、年間平均気温2度の上昇は東京が現在の鹿児島と同じ状況になるということである。この結果、南極や北極周辺の氷が融けると同時に海水の膨張によって海面は現在より50センチ上昇する。地球の温暖化によって人が住める範囲は今より北方に広がるだろうが、現在永久凍土の存在によって住居が確保されている地域では住居の存続そのものに影響がでることになる。実際、アラスカではそういう影響が現れている。
当然ながら動植物の生態にも影響がでる。ライチョウなど高山に生息している動植物は環境の変化によってその居場所を脅かされるだけではなく、温暖化によって生息域を広げる他の動植物によっても追いやられ、絶滅の道を歩むことが予想される。アカイエカが媒介するマラリアはもちろん、デング熱、黄熱病など熱帯地域特有の病気の発生範囲が高緯度地方に広がる。同様に温暖化は台風の発達域を広げることになるから強大な台風が現れやすくなる。また、地球自体に熱の平衡を保つ性質があるから気候は変動の幅が大きくなることが考えられる。
気候の変動が大きくなれば降雨量に変化が生じ、旱魃と洪水が現れやすくなり、ひいては穀物の生育にも影響が及び、地球上のさまざまな場所で食糧問題が生じ、飢餓が増える可能性もある。地球温暖化は気温の上昇によって人間が住みやすくなりそうな気がしてしまうが、決してそうはならないのである。
海面の上昇はゼロメートル地帯が多いオランダやバングラディシュ、南洋の島国などにとっては驚異であることは間違いない。日本では海面が1メートル上昇するとゼロメートル地帯の面積が今の倍以上になり、700万人に影響が出るとの試算がある。また、わずか30センチの海面上昇で海岸線が30メートル以上後退する地域もでるとの考察がある。もちろん、海面が上昇すれば干潟がなくなってしまう。干潟は人間の活動にあまり重要ではないと考えているかも知れないが、実は水質の浄化に一役買っており、漁業資源の確保にも大きな影響がでるだろう。
一方、山間部では平均気温が1度上がるとスキー場は高度にして100メートル後退するといわれている。平均気温が2度上昇すると、植物の生育に適した場所が緯度方向で200〜300キロ、垂直方向で600メートル移動する。植物は急激な変化に対応できず、森林破壊が起こる。そうなればもちろん生態系にも大きな変化がでるだろう。もし平均気温が3度上昇すれば30度以上の真夏日は今の2〜3倍になる。最近、九州や四国、関西では35度以上の日が増え、気象庁は今年2007年から35度以上の日を猛暑日と呼ぶことにすると決めたばかりである。
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