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環境
Kimoto Satoshi Alpine Climbing School
登山は地元以外のさまざまな地域に出かけることが普通なので普段とは違った環境に接することが多い。日本国内なら亜熱帯、温帯、亜寒帯、寒帯、高山帯などがある。日本国内でさえそのように環境を表現する状況であるから世界が相手となるとさらに大きく異なる環境に接することになる。大陸氷河、ツンドラ、タイガ、プレーリー、サバンナ、パンパ、砂漠、降雨林、メサ、雲霧林、高所。環境条件が異なるこれらの場所では生えている植物や生息している動物さえ異なる。さまざまな場所に出かけた経験が積み重なるとさすがに否が応にも環境の違いによってそこに存在する自然そのものが異なることに気づかされる。
当然ながら、環境が違うからこそこの地球上にはさまざまな動植物が繁栄しているのだが、その環境は人間の出現以前も以降も長い年月をかけて徐々に変化してきたものである。長い年月をかけて徐々に環境に適応してきた動植物はその土地固有のものとなって現在の生物多様性を生み出しているのだ。
だが、最近の変化は短兵急で、動植物の中にはその変化に追いつかないものが現れ始めている。実際、生物は時間をかけた長いスパンの変化には強いが急激な変化には弱い。絶滅危惧種が増えているのは最近の急激な環境の変化が原因である。48億年という長い地球の歴史を振り返ると、急激な変化は常に大絶滅を伴っていた。最近の環境の変化は隕石の衝突ほど急激な変化をもたらしているわけではないが、人間自身の活動はそれに迫るほどの大きな力を持っているようである。
登山を通してさまざまな場所を訪れているせいか人間には他の動植物以上に環境に適応する能力があることを実感するが、人間だけが住みよい環境を作り出すことは決して人間にとっていい環境ではないだろう。そもそも人間は他の動植物を栄養源としてこの地球上で生活しているのである。そんな人間が他の動植物を排除するような環境を作り出すことは自分自身をもこの地球上から排除しようとしているようなものである。人間を取り巻く環境は今や人間自身が作り出した環境であり、人間自身の活動がその周辺の環境さえ変えつつある現状を振り返ってみることは絶滅に瀕している動植物の将来だけではなく、人間自身の安定した将来を考えるうえでも大切なことだろう。
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