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木本哲・ガイドの世界No.6

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谷川岳 1977m

東京から最も近い山という谷川岳のステイタスは上越線開通以来年月を経ても不動である。上越線の開通は谷川岳の日帰り登山を可能にし、一ノ倉沢や幽ノ沢の岩壁群への挑戦をしやすくした。その分入山者が増え、遭難も増加し、谷川岳は「魔の山」と呼ばれるようになった。冬は冬で天神平スキー場があるおかげで谷川岳ロープウェイが利用でき、天神尾根から頂上へ簡単に登ることができる。天神平からの往復は天気さえよければ手ごろな冬山という感覚で登ることができる。山頂付近でガスに巻かれると下山道がわかりにくいが、好天時は危険が少ない雪山ハイキングと化す。一昔前と違うのは、オキの耳の方が高いんじゃないかと言う疑惑が実測によって払拭され、トマの耳が谷川岳の山頂という感覚が薄れたことだろう。今では双耳峰の谷川岳の山頂はオキの耳ということになっている。以前はトマの耳が主峰扱いされていたが谷川岳山頂の標識自体がオキの耳にある。

左の稜線は天神尾根。山頂部は左がトマの耳、右がオキの耳。右の稜線は西黒尾根でトマの耳に突き上げる。オキの耳へは一ノ倉沢とマチガ沢を分ける東尾根が突き上げる。今年はやはり雪が少ない。

 

オキの耳とトマの耳

谷川岳登山はトマの耳に立って終了とする山行が多かったものだが、トマの耳からオキの耳の方に山頂標識が移ったのでオキの耳に立たないことには話にならんという雰囲気になってきている。この日先頭を行くクライアントはトマの耳には目もくれず、一目散にオキの耳山頂を目指した。初めてではないというのがあるのかもしれないが、クライアントの間にオキの耳が谷川岳の山頂という感覚が浸透しているのかもしれない。風が強く、天気がちょっと悪いときはトマの耳に立って済ませたい、と言うのが本音だが、行ける状況ならオキの耳まで行かんとあかんようになってしまったようである。トマの耳からオキの耳まではすぐだが、天気が悪いときはこのわずかな距離の移動が大変になる。二つのピークの間の距離はわずかだけれど、冬季は風が強まる主稜線の歩行は厳しいことが多く、谷川岳主峰は遠い。
オキの耳からトマの耳を振り返る。トマの耳がとんがって見える。谷川岳は典型的な非対称山稜なんだなあ。2007年3月。

ガイド仲間

トマの耳の手前の大きなケルンの前でガイド仲間のツベート・ポロドゥガル一行に出会った。彼とはカナダのバフィン島の岩壁を登りに行った。結果は敗退で残念だった。思い出すと悔しくなるけれど、今は楽しい思い出だ。あの岩壁にはもう一度行きたい。1230mの標高差の岩壁はなかなかのものである。この日登頂直前は厚い雲に覆われ不穏な天気になりそうな気配があったが、山頂到着時には雲が切れ、晴れ間が覗いた。天気図通りの変化だった。

雪上歩行

アイゼンをつけずに頂上に登れたことが嬉しい……。雪国生まれの人は雪山での歩き方が上手なものだと思っていたのだが、そうとばかりはいえない人もいるんだなということを初めて知った。頂上はすぐそこ。もうひと頑張りだ。

技術は一歩一歩しか上達しないかもしれない。だけど、一歩一歩でも確実に上達すればやがて大きな大きな力になる。雪上歩行技術は凍傷のために両足指を失ってもなくなりはしなかったのだから自身を持ってそう言うことができる。

オキの耳=谷川岳山頂で
今年は雪庇が小さい。

僕が凍傷になった経緯は金田正樹著「感謝されない医者」を読めば多少理解できると思います。足の指から想像するのかよく手の指はならなかったのかと問われるけれど、自分自身1人だけで行動していれば手はもちろん足の指も凍傷にはならなかっただろう。自分自身の不注意ではなく状況がそうさせたから手の指は無事だったのだ。

ビバーク技術

雪が少なかったので安全な状況下で緊急時の個人用雪洞またはビバークサイトを構築する訓練を行った。できあがった形を見ると経験の差が如実に現れていた。危険な思いをたくさんすれば掘り方や穴の形も変わってくるのだろうが、危機的な状況の中で好天時の条件下の行動とまったく同じ行動ができるかといえば、それは疑わしい。自分が、あるいは相手が死ぬかもしれないという状況の中で冷静に行動するのは難しいものである。だからこそ、そうなる前に判断を下すことが必要になるし、大切にもなる。練習を積んでピッケル1本で厳しい風に対応できる雪洞を掘る行為に慣れておくというのは大切だが、それがとっさにできるかどうか、また適切な場所を探せるかどうかは経験の差が大きい気がする。厳しい冬山を生き抜くためにはどんな状況下でも冷静な判断が下せることが大切である。

読図

見た目の距離や高度差の感覚を地形図から得、実際に体験した感覚と合わせていくことが大切だ。それには積極的に地形図と関わっていく姿勢が必要になる。地形図を読むのにコンパスはいらない。コンパスが必要になるのは条件がだいぶ悪くなってからのことである。山という凹凸の激しい場所に来ているのだから何しろ地形を読み、地形に親しむことが必要だ。読図をマスターする一歩はそこから始まる。

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