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地球温暖化でシロクマの生息環境は悪くなっている。おそらくそんな表現は甘く、極端に悪くなっていると言うべきなのだろう。そのせいか北極周辺に生息するシロクマが数百キロもの距離を泳いでアイスランド北部の町の近くに到達したらしい。シロクマの泳ぐ能力の大きさに驚かされるとともに、シロクマの悲痛な叫びも聞こえてくるようだ。当のシロクマは町当局が進めた保護に失敗し、町に進入しそうになったので結局射殺されたそうだ。生き延びるために求めた新天地で、苦労のかいもなく死んだことにシロクマが抱える悲痛な現状を認識するとともに、シロクマに同情と深い悲しみを感じてしまう。

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「北アルプス 大日岳の事故と事件(斎藤惇生編、ナカニシヤ、2007)」を読んだ。山本一夫さんから読んでみてくれと言われたとき、「文部省登山研修所の大日岳の事故報告書と同じじゃないの?」と不遜なことを言った。僕は文部省登山研修所発行の事故報告書に何か新たな事実を付け加えて出版したのかと思っていたのである。「あれとは違うから読んでみてくれ」と言われたが、すぐには読む気にならず積読の一冊になっていた。文部省登山研修所のあの事故報告書では、予想できないほど大きな雪庇だったから責任はないのだという言い回しになっていた気がするが、大きな雪庇ができることがまったく予想できないわけではないだろう。そうした予想ができなければガイドとしても講師としてもおかしなことだと思うし、それでは毎年同じ場所でやっている意味も価値も見出せないだろう。それではこれからも事故が起こると言っているようなものではないだろうか。文部省の事故報告書は雪庇に関しては未知の部分が描かれていたが、なるほどありうることだと思わせる内容だった。しかし、全体的には責任回避的なつくりになっていて、内容は建設的なものではなかった。だからあれと同じようなものなら読んでもしようがないと思っていたのだ。実際、あの事故報告書ではだいぶ物足りない。だから、こんどの本もそんなものなんだろうなと思って読み渋っていたのだが、つい最近思い出したかのようにこの本を手にとって読んだ。この本にしても僕にとっては物足りない部分がある。というより、もっとほかにも知りたい部分もある。また、これでは理論は正しくても登山には通用しないだろうなと思う部分もある。文部省の事故報告書は、なぜ雪庇先端部に乗ることになったのか事故原因がいまいちわかりにくいつくりであったが、こちらはそれがより明確に表されている。山本さんが言った通り、文部省の事故報告書よりはるかにいいつくりの本だと思う。山本さんのことは事故の前から知っていたし、同じガイド仲間であったから、合ったときに時々裁判の進展を聞いていたのだが、裁判や雪庇に関する知見がこうしてまとまって一冊の本に出来上がってみると、いろいろ考えさせるところがあってなかなかいい。ところで、民事訴訟の相手方も当然事故原因を追究しているはずだが、勝訴していったい何をえたのだろうか。この件について裁判終了後に自分たちの主張を表した事故報告書なり裁判報告書なりを出しているのだろうか。この本には民事裁判での相手方の主張が短く出ていたが、その主張の根拠がわかるような、この本のように責任の所在を明らかにした署名入りの記事でまとめた報告書の類があれば読みたいものだ、と思う。裁判で争った両者の主張とその根拠、それに雪庇の生成の移り変わりがわかれば、さまざまな考えをめぐらせることができるだろうし、将来の登山に役立つことは間違いない。民事訴訟はそういったことも目的の一つとして起こしたはずだ。

山の本

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週末から梅雨本番だな。予報欄は傘マークであふれている。手痛い前線が進んできている。この文字変換は思いもかけぬミスだが、なかなかいい。正しくは停滞前線だが、ガイドにとっては手痛い前線だ。でも天気を読みぬけば案外安全に登れる山もある。

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