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Anomalocaris
アノマロカリス
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アノマロカリスという生き物をご存知でしょうか。今から5億3000万年前、生命が多様性を求めて数と種類を大幅に増やし、生命が大爆発したといわれるカンブリア紀の生き物で、世界中の海に生息していたと考えられている捕食動物の仲間です。化石は北米、中国、ヨーロッパ、オーストラリアなど世界中で発見されています。
アノマロカリスが生きていた時代は温暖な気候が続き、食物が豊富だったようです。アノマロカリスはカンブリア紀に最も繁栄したカンブリア紀最大の生き物で、当時は食物連鎖の頂点に立っていました。アノマロカリスは当時最大の肉食動物だったのです。アノマロカリスの意味は「奇妙なエビ」という意味です。アノマロカリスが絶滅した理由は謎ですが、もしそんな動物が現在に生きて続けていたとしたら……。
写真=木本哲 アノマロカリスの末裔?
残念ながら彼ら彼女らはあまり早く泳げない。
この生き物を狙う動物がいないからかもしれないけれど、泳ぎは以外にゆったりしている。この固体は雌です。体の中心線から左右に筋が延びているのがご覧いただけるでしょうか。この写真では体幹部が白っぽく、左右の辺縁部が若干黒っぽく見えると思います。この黒っぽく見える部分は体側についているひれです。この動物は、背を上に、腹を下にして、体側のひれを左右に開いたまま、ひれを前から後ろへ順に上下させて泳ぎます。広い場所で泳いでいるときは背中を上にしてゆっくり泳いでいますが、透明なビニール袋の狭い環境に移して観察したところ、けっこう早く泳ぎまわっていました。このときばかりはさすがに閉ざされた狭い環境と慣れない状況に混乱しているように見えました。ビニール袋の中では、円を描くように泳ぎ、背中も腹も見ることができますが、じっくり観察するには大きな入れ物が必要なようです。普段はもちろんゆっくり遊泳しています。自分が置かれた場所に異常を感じて早く泳ぎまわっているようですので、落ち着いたらまた違った泳ぎ方になるのでしょう。ホウネンエビを観察した動画を見ると、ホウネンエビとこの動物とは根本的に泳ぎ方が異なることがわかります。ホウネンエビはエビらしい動きを、この動物はアノマロカリスらしい動きを見せるのです。
実は、僕はアノマロカリスに似たこの写真の甲殻類の名前が知りたいと思い、いろいろ調べているのですが、一向にわかりません。もしどなたかご存知の方がおられましたらご一報ください。ホウネンエビやアルテミアなど、甲殻類に関する資料を調べていますが、今のところこれに該当する生き物はいません。
この生き物は淡水甲殻類で、全長は2.5センチメートルほどです。雄はアゴに2本の牙が発達していますが、雌は牙が未発達ということ以外に、雌雄に外見上の違いは見られません。アゴの牙で物を挟むことができますが、淡水池の様子からは外部の動物に対して牙を持つ必要性は考えられません。
雌は先端が丸い卵のうを持っており(写真の少し赤っぽく見える部分)、中には20個余りの卵があります。卵のうのつくりはたんぼで繁殖するホウネンエビに似ています。もちろんホウネンエビと同じ甲殻類と思われるので似ていて当たり前なのですが、見ての通り、体に大きな脚はありません。ホウネンエビは ヒレ脚で泳ぐのですが、こいつは左右に張り出したのヒレを前から後ろへ順に上下に動かして泳ぎます。絶滅したアノマロカリスの体の両側には14対のヒレがついているのですが、この生き物にもそれと同じくらいの数の対になったヒレがついてい て、アノマロカリスと同じように体側のヒレを順に動かして泳ぎます。ヒレの先端は赤みを帯び、尾に近づくにつれ赤みの幅が増しています。
始めてこの動物を見つけたときは胸が高鳴りました。それというのも、サイズこそ違え、カンブリア紀に繁栄し、その後絶滅したあのアノマロカリスにあまりにも似ていたからです。こんな動物が現在に生きているなんて思ってもみませんでした。こんなことなら何もアノマロカリスがどうやって泳いでいたか研究者が考える必要 などまったくなかったのではないでしょうか――。僕はそう思ってしまいました。だからこの生き物は新種の可能性もあると考えています。アノマロカリスは絶滅したと考えられており、現生動物との関連は定かではないとされている生き物ですが、この生き物との関連はどうなのでしょうか。
人間の遠い祖先といわれるカンブリア紀の生き物ピカイヤに似た動物が現在も生きている(ナメクジウオの仲間)のですから、アノマロカリスに似た生き物が現在に生きていても不思議ではありません。
雄には5ミリほどの牙が2本突き出ていますが、雌は未発達で牙はありません。卵のうはホウネンエビなどの淡水エビに酷似しています。ただし、この生き物には脚がありません。また、泳ぎ方そのものがホウネンエビとは異なります。アノマロカリスの仲間の中ではアノマロカリス・カナデンシスにもっとも似ている気がします。でも彼らは体長が60センチから2メートルもある巨大なもので、この動物の体長とはあまりにもかけ離れています。
図 アノマロカリス・カナデンシス (準備中)
日本のNHKは、特別番組用にアノマロカリスの実物大模型を制作した。その模型は、体の両脇に重なりあって並ぶひれのような葉状体を波打たせて泳ぎ、まるでコウイカのように機敏な動きをする。前方にも 後方にも進めるし、ただ、水中に浮かんでいることもできた。(「眼の誕生」から)
敵がいないせいかこの写真の生き物は機敏ではなかったけど、まったくこれと同じ動きをする。 驚かすとけっこう早くうごくのだが、そんな状況が発生するような環境には思えない。もう一度しっかり調査しなけりゃならないな。
アノマロカリスに関する詳しい情報⇒1|2| ホウネンエビに関する情報
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いくつか寄せられた情報はこの生物の生態を表すものではありませんでした。こいつは未だ謎の動物です。
自己紹介(木本哲登山および登攀歴)
木本哲プロフィール(「白夜の大岩壁・オルカ初登頂」のページから)
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Satoshi Kimoto's World(木本哲の登攀と登山の世界)
しぶとい山ヤになるために=山岳雑誌「岳人」に好評連載中
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