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希少植物、ガラス容器で手軽に栽培 福井大教授ら商品化
福井大学教育地域科学部の前田桝夫(ますお)教授(62)=植物細胞学=が中心となって、産学連携で新しい形の観賞用植物「マイクロフローラ」を商品化した。研究に使っていた密閉・無菌培養技術を転用して、日本には生息しない花などを手入れ無しで育てられるのが売りだ。直径8センチほどの球体のガラス容器の中で、養分や水分を含んだ培地から植物が育つ。土を使わず無菌状態を維持できるので病院でも観賞できるという。坂井市三国町の種苗生産会社「苗屋」で昨年から販売している。開発を思い立ったのは00年、同大付属養護学校の校長の時。同校の卒業生らの就職がうまくいかない様子を見て、「彼らの仕事を作ることはできないだろうか」と考えた。販売が軌道に乗れば、製造工程を手伝ってもらうつもりだ。密閉・無菌培養技術は、もともとシダやイネなどの生殖現象や生育などを比較研究するために使っていた。ガラス容器の中だと、外気の温度や湿度の影響を受けにくいためだ。それでも商品化するまでには、うまく咲く花がなかなか見つからず、300種類以上を試した。3年前に完成した商品化第1号は日本の湿気には適していない中南米のラン「シグモルキス」や絶滅危惧種「越前大文字草」。前田教授は「今後も高山植物など、育てにくい花を入れて付加価値を高めていきたい」と話している。 1/15朝日アリは違反者をかぎ分け攻撃する
新しい研究によると、女王が存在しているにも関わらず働きアリが身のほど知らずに繁殖活動を行おうとした場合、仲間の働きアリたちがその企てをかぎ取って攻撃を仕掛けるという。通常、アリのコロニーでは女王アリだけが子を産み、オスは交尾の後にその生命を終える。新たに生まれたオスや女王格のメスはほかの場所で繁殖を行うために去っていくが、働きアリとして生まれたメスはコロニーを築くためにそのまま残り、次世代の世話をする。働きアリは、生物学上は単為生殖が可能である。つまり、オスと交尾しなくても子を産むことができる。ところが実際に働きアリが単為生殖を行おうとすると、フェロモンという化学物質が生じ、ほかの働きアリたちが触角で感知することになる。基本的には“におい”で感知するのだが、私たちの知っている臭覚とはまた違う」と、アメリカのアリゾナ州立大学に在籍する研究論文の共著者ユルゲン・リービッヒ氏は言う。同氏の説明によると、コロニーが女王を失った場合には働きアリたちは子を産むことが許されるようになる。しかし、女王がいる間は女王だけが受精可能状態のシグナルとなるフェロモンを出すことが許されており、働きアリがルールを破ろうとすると、その繁殖行動が成功しないようほかの働きアリたちが物理的な阻止行動を始めるという。この研究は、アメリカ科学専門誌「Current Biology」のオンライン版に1月8日付で掲載された。
アリが行う繁殖監視行動とフェロモンの間には相関関係があることが過去の研究で証明されており、したがって、フェロモンが密告情報となっていると考えるだけの強い理由があった。「問題はこれまで誰もそれを証明できなかったことだ」とリービッヒ氏は話す。同氏の研究チームが研究対象としたのはアシナガアリ属の一種(学名:Aphaenogaster cockerelli)だが、その理由は、科学者が手に入れやすい化合物をこのアリがフェロモンとして発するからである。今回の研究の中心となった大学院生のエイドリアン・スミス氏がこの化合物を自然な量で働きアリに塗りつけると、そのアリはほかの働きアリたちから攻撃を受けることになった。「別の化学物質を使用した場合は何も影響がなかった。したがって、繁殖ルールの違反者の識別は、この特定の化合物によって行われていたことになる」とリービッヒ氏は説明する。
カリフォルニア大学リバーサイド校のレス・グリーンバーグ氏によれば、アリの化学信号を人為的に操作できるのであれば、それを応用してほかの昆虫のコミュニケーションも解明できるはずだという。同氏は、「今回の研究は、社会性昆虫が社会秩序をどのようにして維持するのか、それを示す興味深い例を提供してくれた。今回の研究技術で、優勢順位や巣仲間の識別といったほかの行動の分析もできるはずだ」と指摘する。
アリのコロニーの行動と人間の社会的相互作用の間には、ある程度の類似があると前出のリービッヒ氏は考えている。「“ズル”をしたいという衝動は、あらゆる社会で見られる特徴だと思う。アリの社会でも、コロニー全体と個体の利益が一致しない局面では同じ問題が発生する。もしすべてのアリが自己利益だけを追求すれば、協力のメリットは失われてしまうだろう」と同氏は続けた。
しかしフロリダ州にあるアーチボルド生物研究所の主任研究員である生物学者のマーク・デイラップ氏は、今回の研究成果をそれほどうまく人間の社会的行動に当てはめることができるかどうかについては疑問を抱いている。「人間社会では、実質的な権限が無い象徴的な地位でも、選ばれれば社会の安定を促進する役割を果たすこともある」とデイラップ氏は言う。それでもデイラップ氏は、「印象的で興味深く、原因と結果の道筋が綿密に突き詰められているという点で特に賞賛に値する」と、この新しい研究を評している。
デイラップ氏、グリーンバーグ氏、そしてリービッヒ氏とも、ミツバチやスズメバチなどほかの社会性昆虫でもおそらく、受精可能状態を示すフェロモンが同様の役割を果たすことができると考えている。
Rebecca Carroll for National Geographic News 1/13オスのチーターの鳴き声が排卵を誘発
オスのチーターは文字通りメスの“体のスイッチ”を入れるようだ。最新の研究によると、オスのチーターが発する特殊な鳴き声が、メスの生殖器系が排卵を行う引き金となっていることが判明したという。ほかのネコ科の動物とは異なり、メスのチーターはまれにしか排卵せず、時季もまちまちで、生殖サイクルの周期も定まっていない。そのため、飼育下のチーターを繁殖させることは非常に困難となっている。しかし、ついにその謎が解き明かされた。今回の発見により、希少なチーターの保護繁殖活動が大いに促進されるかもしれない。チーターの鳴き声を研究する生物音響学の専門家チームがその新事実を発見した。
研究チームのリーダーでサンディエゴ野生動物公園のマット・アンダーソン氏は次のように話す。「繁殖が行われる数日前に、詰まったような連続音の鳴き声をオスが発していることに気付いた。片方の性別だけが発する鳴き声は生殖に関係していることが多いため、私たちは注意深く観察した」。研究チームは、性的に成熟したメスのチーターを2頭のオスに引き合わせて実際に複数回検証を行った。その際、チーターの発する鳴き声を録音し、排泄物から検出されるホルモンの量を測定した。すると、オスの独特な連続音の鳴き声に伴い、メスの排泄物中の生殖ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加していることが判明した。そして、連続音の鳴き声の頻度を記録して分析した結果、連続音の鳴き声が増加すると、排卵を引き起こすメスの生殖ホルモンがそれに合わせて着実に増大していることがわかった。「鳴き声とホルモン量の間にこのように密接な関係があるとは予想していなかった。本当に驚くべき発見だった」とアンダーソン氏は話す。研究チームの話では、今回の発見は希少なチーターの繁殖にとって大きな意味を持つという。
国際自然保護連合(IUCN)によると、現存する成体のチーターの個体数は推定7500頭にすぎない。さらに野生のチーターは絶滅寸前で、アフリカを除けばイランで100頭弱が確認されているだけだ。研究チームの一員でサンディエゴ野生動物公園の生態学者フレッド・ベルコヴィッチ氏は、「このチーターの習性を基に、特定の音声がどのようにして動物を性的に興奮させるのかを実証できれば、保護繁殖プログラムを改善することができるだろう」と話す。音声を利用して生殖機能を突然に活性化する方法は鳥類ではよくみられる習性だが、哺乳類ではほとんど例がないという。似たようなケースとして、アカシカでは、オスがうなり声でメスの排卵のタイミングを早めることが知られている。しかし、オスの哺乳類があるシグナルを使ってメスの生殖サイクルそのものを活性化するという例は、これまで観察されたことがなかった。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の生態学者ダン・ブルームスタイン氏は、「今回の発見は素晴らしいものだが、必ずしも予想外の結果ではない。動物の行動を観察し、その排泄物に含まれるホルモンを調査することで、どうすれば絶滅の危機に瀕する種の繁殖活動が改善できるのかがわかる。今回の研究はそれを十分に示している」と話す。
Matt Kaplan for National Geographic News
タンザワサカネラン:学術誌で正式発表 丹沢で発見のラン新種認定 /神奈川
◇県内のみで自生は2例目
丹沢山中で発見されたラン科植物の「タンザワサカネラン(丹沢逆根蘭)」が、日本植物分類学会の学術雑誌の最新号に発表され、新種として正式に認められた。県内だけで自生している植物としては1958年に発表されたユリ科の多年草「サガミジョウロウホトトギス」以来、2例目になるという。
タンザワサカネランは、県内在住の植物愛好家が02年に丹沢山系の三ツ峰山稜で発見した。菌類から栄養をもらう無葉緑の腐生植物で、地上部の高さは7〜9センチ。外形はサカネランに似ているが、全体的に小型で白色、がくや花弁がほとんど開かない点で異なるという。丹沢山中のサカネランは5月中に花茎を伸ばして開花するが、新種は6月末から7月初めに花茎を地上に出す。これまでに世附(よづく)織戸峠(山北町)や、塔ノ岳付近(秦野市)、清川村の宮ケ瀬の標高800〜1000メートルのモミ林で発見されており、丹沢山中では広範囲に分布しているとみられている。02年の発見から県立生命の星・地球博物館の勝山輝男学芸員(植物分類学)が、国定公園内の許可を取り、標本採集して調査を進めていた。国立科学博物館、首都大学東京・牧野標本館などでも調べたが、丹沢以外では見つかっていないことが分かった。このため、勝山学芸員と長野県高森町蘭植物園の谷亀高広学芸員、国立科学博物館筑波実験植物園の遊川知久研究員と共著で論文を学術雑誌に発表した。勝山学芸員は「サカネランの中で、花が完全に開かないのは、この新種しかない。地味な植物だが、希少価値はかなり高いと思う。県内でしか自生が確認されていない植物が発見されたのは、約半世紀ぶりのことで、『丹沢特産』がもう一種増えたことになる」と話している。1/12毎日生物、35億年で2回大型化=「真核」出現と多細胞化で−米独チーム
地球上の最大の生物は、35億年以上前に最初の生命が誕生してから徐々に大型化したのではなく、約19億年前と6億〜4億5000万年前に急激に大きくなった可能性が高いことが分かった。酸素濃度の上昇がきっかけで、最初は現在の動植物に至る真核生物が出現し、2回目は多細胞生物が繁栄し始めた時期に当たる。バージニア工科大などの米独研究チームが12日までに化石の解析成果を米科学アカデミー紀要電子版に発表した。1/12時事
最大の生物は、植物では米カリフォルニア州の森林にある高さ百十メートル以上のセコイア(スギ科)で、動物では体長が三十数メートルにもなるシロナガスクジラ。大型化の段階を十六段階に分けると、真核生物は、細胞核がない原核生物の細菌や古細菌に比べ、六段階大型化した。五億年くらい前のオルドビス紀には、オウムガイ類の巨大な祖先が多細胞生物の王者として出現し、さらに六段階大きくなった。非常に長い貝殻を持つオウムガイ類の祖先は、体積では恐竜より大きい。その後シロナガス鯨とセコイアは1.5段階ずつ大きくなったにすぎないという。1/13日経から補足細胞内小器官、増殖を制御 千葉大など「定説」覆す発見
葉緑体やミトコンドリアといった細胞内の小器官は、進化の過程で細胞に取り込まれた微生物の名残で、細胞核に支配されている、と考えられてきた。だが細胞の増殖過程を調べてみると、逆に葉緑体などが細胞核に信号を送り、DNAの複製を促していることが、千葉大や東京大などによる研究でわかった。従来の「定説」を覆す成果で、今週、米科学アカデミー紀要(電子版)に論文が発表される。使ったのは、シゾンという原始的な単細胞藻類。研究グループの田中寛・千葉大教授(分子遺伝学)によると、シゾンの増殖過程では、まず小器官のDNAが複製され、その後、細胞核のDNA複製が行われていた。そして、小器官のDNA複製を阻害する薬剤を与えると、細胞核のDNAも増えなかった。だが、小器官のDNA複製の際にできるテトラピロール類と呼ばれる物質を与えると、細胞核でのDNA複製が進み始めた。葉緑体などが、この物質を通してDNA複製の信号を送り、細胞増殖を制御していたことになる。まるで寄生体(パラサイト)のようにも見えることから、グループはこの信号を「パラサイトシグナル」と名付けた。タバコの細胞を使った実験も行い、この信号が種子植物でも働いていることがわかった。田中教授は「ヒトや動物でも、この信号が働いていることを示せれば、医学的に重要な知見が得られる可能性もある」と話している。1/9朝日山岳遭難:60歳以上が4割 経験10年以上のベテランも増加傾向――昨年/岐阜
県警は、昨年の山岳遭難の発生状況をまとめた。60歳以上の遭難者が全体の4割を占め、10年以上のベテラン登山者の遭難は31人に上った。県警によると、1年間の遭難者数は67人(男性51人、女性16人)で、9割の61人が県外からの登山者。登山の経験別にみると▽未経験者14人▽3年未満5人▽5年未満6人▽10年未満11人▽10年以上20年未満18人▽20年以上30年未満7人▽30年以上の経験者は6人――だった。飛騨山岳会の瀬木紀彦さん(62)=高山市桐生=は、「ベテランの登山者でも、新ルートを開拓しようとして道に迷ったり、遭難する例が増えている」と話す。遭難の内容では、道に迷ったのが16件▽滑落、転落15件▽転倒10件▽発病・疲労10件−−と続いた。また、登山届を提出しないで登った登山者は41人と大半を占め、地図が読めなかったり、知識なく登山する中高年も増えているといい、各務原市内の登山用品販売店の男性店長(45)は「最近はインターネット上の情報などで手軽に山の知識を得ることができるが、経験則とのバランスが取れていないのでは」と話している。1/15毎日
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