ハイビジョンスペシャルは89分のロングバージョンです。
こちらの方が落ち着いた作りになっています。
この番組を見ると、このウォーカー・シタデルの岩壁登攀をどんなふうに撮影したかがわかります。
僕の立場は岩を攀じ登るクライマーの一人であり、
クライミングをしているクライマーをどうやって撮影するか考える人間であり、
また、カメラマンをどうやって現場まで連れて行くか考える人間でした。
まさにスーパーバイザーの役割を担っていたわけだけど、
僕のことを知っている人を除いては、番組を見てそんなふうに思った人は一人もいなかったようです。
それは、つまりこの番組はそのくらいうまくクライマーとカメラマンの役割分担ができているかのように撮れていたということでもある。
そんな撮り方ができていたとすればクライマー側だけではなくカメラマン側にも立つ人間としては申し分なく、
まさに面白い撮り方ができたのだなと思ってしまう。
メンバー決定以後いろんなことがあったけど、結果的にはこの番組はなかなかよくできた登攀の番組になったと思う。
登攀の番組を作りに行って自分が主役になってしまっては実は失敗もいいところなのだが、
結果的にこういう作りしかできなかったのがすごく残念だ。
しかし、登攀も撮影もどう転ぶかわからない。
この番組は登攀の番組としては、今まで放送された登攀の番組の中でも出色の出来だと思っているのは僕一人ではないだろう。
NHKオンデマンド
NHKスペシャル 極北の大岩壁 〜北極圏・1200メートルの壁に挑む〜 「最後の秘境」と呼ばれる、極北・カナダの巨大岩壁に日本人クライマーが挑みました。緊迫感あふれるクライミングと、北極圏の壮大な自然を空と海から映し出します。視聴期間:購入後3日0時間 購入期限:2010年7月31日 【購入される前に】 ご購入前に必ず「利用規約」を確認し、「視聴確認」が問題なく行えることを確認してください。 「視聴確認」で正常に映像が流れない環境にもかかわらず商品を購入した場合、返金には応じかねますことをご了承ください。
極北の大岩壁 〜北極圏・1200メートルの壁に挑む〜 2003年放送 本編時間:50分 語り(語り手):武内陶子 高さ1200メートル、垂直に切り立った岩壁が数百キロも連なる北極圏のカナダ・バフィン島。海から吹き上げる強風や落石などのため、登はんが難しく危険な岩壁です。この巨大岩壁に挑戦した木本哲(さとし)さんをリーダーとする日本人登山家チームにカメラが同行しました。危険と過酷さをしのぎ、みずからの限界に挑みながらの緊迫感あふれるクライミングと極北の壮大な自然を空と海から映し出します。 |
「熱帯の大岩壁」や「極北の大岩壁」や「白夜の大岩壁」って
ある意味「しぶとい山ヤになるために」の中の八ヶ岳横岳西壁大同心雲稜ルートの冬季登攀と似ているかもしれない。
実際、技術的に問題はなく、余裕で登れるだろうと思っていたのは自分だけだったのかもしれない。
見知らぬ壁が登れるかどうかはグレードがついていればグレードを見ればわかることだ。
グレードというのはそのためにある。
そして、経験と言うのはそこがどの程度のグレードならどんな登攀になるか想像させてくれる。
オンサイトで登る力はそういう判断力を育む。
何も怖がることはない。
自分にそれなりの力があると信ずるに足るなら一歩を踏み出すことに躊躇はいらない。
一歩を踏み出せば道は自ずと開けていく。
失敗しようと成功しようとそこから得られるものは大きい。
もし、何も得られなかったとしたら、それこそ目標が大きすぎたということだろう。
そのときは、出かけるまでに自分がそこで何をしようとしたのかもう一度考えてみるべきだろう。
そうしなければ発展はない。
失敗は生かせない。